発酵性食物繊維は”茶色系の食品”に多く含まれる
食物繊維というとサラダなど葉物野菜を想像しますが、発酵性食物繊維は茶色系の食品に多く、玄米ご飯や大麦などの穀類にはβ-グルカン、アラビノキシランといった発酵性食物繊維が豊富には含まれ、主食として食べられることから多くの量を摂ることができます。
他には 根菜にイヌリン、豆類にはオリゴ糖などの発酵性食物繊維が多く含まれています。果物にも発酵性食物繊維のペクチンが含まれ、多く含まれるものの代表はキウイフルーツです。こんにゃくは食物繊維を含む代表的な食品として知られますが、実は含まれるグルコマンナンという食物繊維はほとんど発酵せず体外へ排出されてしまいます。
腸活の主役はヨーグルトだけではない
近年、腸活が健康増進のキーワードになっています。「どんな食べ物で腸活をしてい ますか?」という質問に対して、9割が「ヨーグルト」と答え、腸活にはヨーグルトがいいといいう認識が多いことが分かりましたが、発酵性食物繊維の働きが明らかになるにつれて、腸活の主役がヨーグルトだけではなく、発酵性食物繊維も加わろうとしています。
もちろん、ヨーグルトも腸活にとって有効な食品ですが、ヨーグルトに含まれる菌は大腸に到達しても、定着せずに体外へ排出されてしまいます。人間の腸内には、生まれたときに母親から受け継いだ菌が棲んでいます。食品など外部から摂る菌は、ほとんど定着しないといわれています。
これからの腸活は、自分の腸にもともと定着している有用菌を増やすこと。そこ に大きく役立つのが、発酵性食物繊維なのです。
(※)Sience|Maternal gut microbiota in pregnancy influences offspring metabolic phenotype in mice(10.1126/science.aaw8429)
教えてくださったのは……青江誠一郎(あおえ せいいちろう)先生
大妻女子大学・家政学部食物学科・教授/農学博士日本食物繊維学会 理事長/編集委員 千葉大学大学院自然科学研究科博士課程修了。一般社団法人日本食物繊維学会副理事長。雪印乳業株式会社技術研究所を経て平成15年度より大妻女子大学家政学部助教授に就任。平成19年度より 現職。大麦の食物繊維とメタボリックシンドローム予防に関する論文にて、平成22年度日本食物繊維学会の 学会賞を受賞。
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