ワールドチョコレートツアー!
前回は、阪急うめだ本店で2月14日まで行われている「バレンタイン チョコレート博覧会」で、まずはコンコースウインドーの迫力に足を止め、1階ではアーティスティックなNYチョコレートと可愛いアクセサリーに目を奪われ、そして9階ではカカオが潜むジャングルやぞうさんが待ち受けるチョコランドに迷い込み、最後にはこちらの「小便小僧師匠」に出くわすまでをお伝えしました。そして、今回は後編。ワールドチョコレートツアーがいよいよ始まります。とは言っても、巨匠ショコラティエや超有名セレブブランドなどは、名だたるチョコレート専門家の方にお任せして……ただのチョコレート愛好家の私は「へえ! なるほど!」な、ちょっとしたエピソードとともに、「ほぼ誰ともかぶらない2021チョコレート」をテーマにした、チョコ噺を1席。最後までお付き合いのほど、よろしくお願いいたします。
なにはともあれ、ベルギー!
阪急うめだ本店9階の祝祭広場にて、最初に出会ったのが「ノイハウス」。こちらは薬局として始まったという変わり種のブランドです。それは1912年のこと、創設者のジャン・ノイハウスさんは、お客様を喜ばせるためにチョコレートで薬を包んで処方していたようです。ああ、なんてラブリーな薬局!「今でもどこかでやってくれないかしら?」と思ったのは私だけではないはず……もちろん真面目に人々の健康を願ってお薬を出しておられたのでしょうが、どんなお薬も今のように飲みやすくはなかったのでしょう。もしかすると、とっても苦いものもあったりして、患者さんの中には受け取ったはいいけど「飲まずにポイ!」という人も多かったのかもしれません。おそらくそんな人々の様子を聞きつけて、誰にでも飲みやすいように、とジャン・ノイハウスさんが工夫した結果なのだと思います。そして、その「お薬チョコレート」が、実はチョコレートブームを今もけん引する、ひと口サイズの麗しのひと粒「ボンボンショコラ」の始まりなのです。
こちらの特徴はヌガー。現在の日本のチョコレートにはあまり見かけなくなりましたが、その味わいは濃厚でノスタルジック。昨今のビターブームとは一線を画す「きちんと甘い」ひと粒が必ず入っているのがお家芸です。
ノイハウスだけではなく、これはもしかするとベルギーチョコレートの特徴かもしれませんが、ナッツを砕いたものにキャラメルがかかっている……いや、逆かな? キャラメルがけ、いや飴がけ? をしたナッツを砕いたものがチョコに入っていることが多いように思います。(すみません。たどたどしくて……なんせ完全素人のチョコレート愛好家なもので。)このジョリジョリした噛み心地と食べ応えが、満足感に繋がります。ああ、んまい!
そういえば、この連載の第1回に登場していただいた、チョコレートバイヤーみりさんも仰っていました。とにかくベルギーのチョコレートは「丸くて大きな粒なのが特徴」なのだそうです。そしてどこか「懐かしい~」味とのこと。しかも、庶民的なチョコレートショップでは「粒単位」ではなく「グラム単位」でチョコレートを売っているんですって! ガサガサと計りながら、どんどん割れるのも気にせず底の深いチョコレート用のバロティンボックスに詰められてゆくさまを本の中でも書かれていました。そういえば、このバロティンボックスも、発祥はノイハウスとのこと。ん~だんだん老舗の女将さんになりきって、うんちくを延々と話しているような気分になってきたので、この話はこの辺で……。
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