チョコっといい話 久遠チョコレートとその活動
まさかベルギーのショコラティエに、山椒の使い方を指南されるとは思いませんでした……さて、気を取り直して、私が向かったのは「日本のチョコレート」。大人気のクラブハリエやパティシエ エス コヤマには、ソーシャルディスタンスを保ちながらも行列ができていました。しかし、私が思わず「わぁ! キレイ!」と手に取ったのは、大阪キタ新地にもお店を抱えるこちら、久遠チョコレート。
こちらは障がい者雇用を積極的にされていて、また障がい者だけではなく、子育て中の女性や社会の中で悩みを抱える若者達など、多様な方々の雇用促進と賃金向上、地域活性化を中心にSDGs達成にも尽力されています。PROJECT LEADERである。夏目浩次さんの目標は「全ての人々がかっこよく輝ける社会」。カカオ農家へ清潔なトイレを寄贈したり、子どもたちに通学用のロバを寄付するなど、その活動は世の中の隅々までに目や手が行き届いていて、まさに久遠チョコレートのみなさんこそが「かっこよく輝いて」いるのです。
さまざまなアグレッシブな活動から、チョコレート界でも一目置かれる、そんな存在が久遠チョコレート。なかなかご縁がなくて、口にするチャンスがありませんでした。その活動にばかり目が行って、肝心のお味の噂を聞いていなかったのです。今回初めていただいてみて、とても軽くておいしくて、何枚も手が出てしまいました。。その上、目移りするほどのフレーバーの数々! 個包装なのも、このご時世にはとてもありがたいので、今後もどんどん発展されると確信しました。おいしく食べて誰かの応援ができる! こんなに「イイコト」他にないですよね
パリ代表?日本人ショコラティエ―ル佐野恵美子さん
さて、いよいよフランス。Pから始まる大スターさま方のお話や作品のご説明は、専門家の方々にお任せして、私はまたもや気まぐれにフラフラと阪急うめだ本店9階祝祭広場をほっつき歩いていました。「さて、どこにするかな? ちょっとコーヒーでもどこかで飲んでからにす……あれ???」休む気満々だった私の前に現れたのは「LES TROIS CHOCOLATS PARIS」。
実は、番外編ではなく「本編」の連載「人生はチョコレート」に登場したいただくために、少し前から女性ショコラティエ=ショコラティエ―ルさんを数名、追いかけています。そのうちのおひとり(大迫力の実力派!)が、このLES TROIS CHOCOLATSのシェフショコラティエ―ルである佐野恵美子さんとフランスで同じ製菓学校に通われ「親友」だと、どこかの記事で読んだことがあったのです。そして「とにかくエミコちゃんはスゴイ!」と褒めちぎっておられたのです。
「あ、佐野さんのお店だ!」そのまんま口から出てしまったのでスタッフさんも驚いておられましたが(笑)もう買う気満々になっているのはバレてしまったので、まずは直球ど真ん中の「ハートのチョコレート」を1箱選びました。初めてのショップでは、色んな事があるので(謎)「1箱だけ」をマイルールにしているはずが、「いや、あの方が褒めちぎっておられたんだから間違いない!」と思えたので、ルールを犯してもう1つ買ってしまいました。そうでした、ルールは破られるためにあるのでしたね。
とてもとてもラブリーで可愛らしいフォルム。色味もさまざまな輝きがあって、女子にとっては「ひと粒食べれば、10歳若返るのでは?」と夢を描いてしまいそうなハートたちです。それぞれに赤やピンクが美しく「みんな違って、みんないい」チョコレート。左から、ミルク・プラリネ・キャラメル・カフェオレ・抹茶のラインナップ。
ちょっともったいぶりますが、こちらのパッケージやディスプレイの真ん中に光り輝く「3」の文字。そして屋号の中にもある「trois」も「3」。こちらは佐野さんが実家である福岡の老舗、その名も「チョコレートショップ」の3代目であることを表しています。おじいさまの代から続くお店は現在はお父さまが守られており、佐野さんが将来は老舗を3代目として継ぐことになりそうです。
そして、これがラメ感が美しい「プラリネ」です。先っちょのとんがり具合が本当にキュート! ハートって可愛く描くのがとても実は難しいんですよね……上手にハートを書く練習を、おそらく小学生時代に全ての女子が経験するのではないでしょうか? そんな小学生、いや全ての女子のお手本になりそうな色と形の理想形が、まさにこれです。
真ん中の色を見れば、わかりますね? はい、こちらはキャラメルです。ちょっと透明感のある生キャラメルがセンターに目いっぱい詰まっています。とろんとした舌触りですぐに溶けてしまうのですが、最後の最後にちょっとだけプリンのカラメルのような火で少し焦げたような味と香りが残ります。この一瞬に丁寧な工程を積み重ねていることが感じ取れて、とてもうれしくなるひと粒です。
これをナイフで切るときに、実はちょっとワクワクドキドキしたんです。それはおそらく1か月以内には種明かしができるかと思うのですが、開けてちょっとホッとしました。「ああ、抹茶だ~」当たり前なんだけど、当たり前じゃない……(秘)そして、お味は抹茶風味ではなくて、きちんと抹茶! しっかりジャパニーズ! おそらくこれはパリでも人気なのではないでしょうか。上品に苦く甘く、そしてお茶の香りが最初から最後まで揺らぎなく感じられます。
出会い*ふれ合い*チョコレートストーリー
2回に渡って「人生はチョコレート番外編」として、阪急うめだ本店で行われている「チョコレート博覧会」についてレポートさせていただきました。私はいつでも、ひとりのチョコレート愛好家として、コンビニからヨーロッパの有名ブランドまで、分け隔てなく美味しく楽しくいただきたいと思っています。いや、そんなこと心がけたりしなくても、日本のコンビニチョコはとても美味しくて、空腹も凹んだ心も癒してくれるし、一流のショコラティエの作品はそのペーパーバッグを手にしているだけで、バレエダンサーのように背筋を伸ばして歩きたくなりますよね。そんな魔力を持ったこの愛すべきひと粒、ひとかけらにこれからもたくさん「逢いに」行きたいと思っています。
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