3 お金のトラブル
高額課金(クレジットカードやキャリア決済)
今や子どもから大人まで幅広い世代で楽しまれているオンラインゲーム。基本プレイは無料でも「有料アイテム」があったり課金した方が有利にゲームが進行するなど、お金を必要とする場面があります。
そもそも、子どもはどこからどこまでが無料の範囲でどこからが課金が必要なのかがわからないことも。まず保護者は、スマホに入れたアプリをきちんと把握し「これは課金すると手に入るアイテム」「これは無料で遊べる」といったことを説明してあげましょう。
レクチャーなく子どもに遊ばせていると、クレジットカード情報の入力画面が出てきて、わけがわからないまま親のカード情報を勝手に入力してしまい、気が付いたときには大金が引き落とされてしまったというケースもあります。「このように子どもが勝手に課金してしまったという場合でも、返金されないことがほとんど」と鈴木さん。クレジットカードの管理責任は保護者自身。パスワードの扱いや課金設定にも気を配り、無断で使わせないように工夫しましょう。
どうしても課金をしたい子どものいる家庭に鈴木さんがおすすめするのが「コンビニなどでも手軽に買えるプリペイドカード」。自分のお小遣いやお年玉で購入し、その範囲内で遊ぶというのは大切なことです。そしてその都度、何にいくら使ったかを小遣い帳につけるとさらにいいでしょう。
また、端末設定でアプリ内課金を無効にすることもできますが、年齢に応じてお金を使うということの意味を理解させ、自分でコントロールする力を体得していくことも大切です。
オンラインショッピングでのトラブル
オンラインショッピングは、検索しだいで商品も豊富に見つかり、実際店舗に行く手間も省けてとても便利ですが、経験が不足している子どもの間でトラブルも頻発しています。
- 代金を払ったのに、商品が届かない
- ニセモノだった
- 転売禁止のチケットなど買ってはいけないものを買ってしまった
- 個人情報が悪用されてしまった など
「レアな商品があった!」「他より安い!」と、よく知らないサイトで購入するのは要注意! そのサイトやショップをじっくり調べてみましょう。明らかに価格が安い、日本語表現がおかしい、良くない評判があるところでの購入は避けたほうが無難です。利用のルールをしっかり守って使うとともに、安全性の確認を怠らないように指導しましょう。
親子での会話がトラブル回避に
ここまで、スマホを使うことによって起こる可能性があるトラブルなどをご紹介しましたが、ITリテラシーを高めることでたいていのことは解決できますし、親も子どもがスマホを使うのをただ怖がるのではなく、子どもが使うサービスやアプリを一緒に使ってみて、その特性や注意点を探ってみることが大切です。
また「テレビで見た詐欺や事件、トラブルなどのニュースを見て親子で会話すること」も子ども身の危険を防ぐことにもつながると鈴木さんは言います。ニュースをきっかけに、ネット絡みで起こる事件を身近な事として話し合ってみましょう。普段から親子の会話からネットやSNS絡みの犯罪の知識をつけておけば、実際に身近に危険が迫った時も、前もって回避することにつながるかもしれません。
そして、親がTwitterでみかけたデマ情報、自分宛に届いたスパムメールなどがあれば、子どもに見せて「こういうのが来たよ。気をつけようね」と話をするのもいいでしょう。そして、子どもにも怪しいものを目にしたら、教えてもらうように促し、お互いに逐一、情報を共有しておくことができればベストです。
今回教えてくれたのは…鈴木朋子さん
鈴木 朋子 さん
ITジャーナリスト・スマホ安全アドバイザー
メーカー系SIerのシステムエンジニアを経て、フリーライターに転身。SNSなどスマートフォンを主軸にしたIT関連記事を多く手がける。デジタルカルチャーを追い続け、スマホネイティブと呼ばれる10代のIT文化に詳しい。子どもの安全なIT活用をサポートする「スマホ安全アドバイザー」としても活動中。著作は『親が知らない子どものスマホ』(日経BP)、『親子で学ぶ スマホとネットを安心に使う本』(技術評論社)など、著書は監修を含め、20冊を超える。
「ホンマでっか!?TV」(フジテレビ)、「スッキリ!」(日本テレビ)、「ゴゴスマ」(CBCテレビ)、「ビーバップ!ハイヒール」(ABCテレビ)、「マサカメTV」(NHK総合)、などテレビ、ラジオ、新聞、雑誌などのメディアにも出演。
おすすめ書籍
「親子で学ぶ スマホとネットを安心に使う本」
子どもにはじめてスマホを買い与える人は必見!
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スマホやタブレットを使う子どもが増え、子どもがインターネットの悪影響を受けないか、ネット犯罪の被害にあわないか心配する親が増えています。本書は子どもが安全にインターネットを利用するために、親はどうすればよいかを実例を交えて解説します。気軽に読めるやさしいページ構成で、子どもが安全にインターネットを使うための方法を考えます。
「親が知らない子どものスマホ」
「親が知らない子どものスマホ」
入学前にSNSでつながる中高生。心の内はLINEの「ステメ」に書く。今はLINEで行われる「不幸の手紙」。「自画撮り被害」に潜むネットの闇。Instagramが新たないじめの温床に? “エアドロ痴漢”にご用心! 入学直前、夏休み、文化祭……危ないのはいつ? トラブルの「兆し」を見逃さない! 学校生活“要注意”イベントカレンダー付き。10代のスマホライフを理解するための用語収録。
今やネットが当たり前の時代、子どもたちとネットの世界を遮断することは現実的ではありません。遠ざけるばかりではなく、むしろ正しい向き合い方を教えることが保護者の役目とも言えます。今回紹介したトラブルについても、知識や正しい情報を持っていれば、大幅にそのリスクを減らすことができると専門家の鈴木さんは言います。スマホの世界の入口に立った子どもをしっかりと手引きしてあげましょう。