赤字期間は17年間。売上が1%以下に激減しても「無添加」を貫いたワケ #シャボン玉石けんの裏側

家のこと

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2022.04.08

ついつい後まわしにしがちな「食器洗い」。毎日やることだから、少しでもストレスなくできるといいですよね。シャボン玉石けん株式会社から新登場した泡タイプのキッチン洗剤は、手肌にやさしく、泡立ても不要! ボトルを押すと、ふわふわモコモコの泡が出てきます。ありそうでなかった「泡タイプ」のキッチン洗剤開発の裏側を、同社担当者に聞きました。

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教えてくれたのは

シャボン玉石けん株式会社 マーケティング部・川原礼子さん
1910年創業。1961年より合成洗剤の製造・販売を開始するも、安心・安全な製品をとの考えから、1974年に無添加石けんの製造・販売に切り替え。原料へのこだわりと手間ひまかけて丁寧に炊き上げる「ケン化法」を貫き、無添加石けんのパイオニアとして人と環境へのやさしさを伝え続けている。シャボン玉石けん株式会社オンラインショップ

プッシュすればふわふわの泡が出る『台所用せっけん泡タイプ』

――ロングセラーの『台所用せっけん』が、ふわふわの泡が出る「泡タイプ」にリニューアルしました。泡タイプのキッチン洗剤はめずらしいですね。

 そうですね。現在市場に出ている台所用洗浄剤の多くは液体タイプです。最近はスプレー式のものも出てきていますが、ふわふわの泡タイプは現時点ではおそらくこの商品のみだと私たちは考えています。泡タイプなら、スポンジに洗剤をつけるときに液だれせずに、無駄なく使っていただけます。

泡タイプのキッチン洗剤出典:www.shabon.com

――なぜ「泡タイプ」にリニューアルしたのですか?

 じつは、5年ほど前から泡タイプの台所用洗浄剤の構想が社内にはありました。というのも、当時販売していた『台所用せっけん液体タイプ』を市販の泡ボトルに入れて使用していた社員がいたのです。泡ボトルに入れて使ってみたところ、食器洗いのたびにスポンジにつけた洗剤を泡立てる手間がなくなり、液体タイプには戻れないと思うほど、使い勝手がよかったと聞いています。ただ、当時はユーザーに受け入れられるか疑問に感じる声もあり、発売には至りませんでした。さまざまなバリエーションの台所用洗浄剤やボトルが登場しているいまなら受け入れられるのではないかと考え、今回リニューアルに踏み切りました。

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4人に1人が「食器洗いが負担」と感じている

――コロナ禍に入り、食器洗いのトレンドに変化はあるのでしょうか?

 私たちが行った生活者への意識調査によると、日常的に手肌の乾燥や手荒れを感じることがあると回答した方は全体の8割以上を占めています。手荒れの原因としてトップに上がったのが、「食器洗い」。コロナ禍で負担が増えた家事の第3位にも入っていて、4人に1人が負担に感じていることがわかりました。

  グラフ出典:www.shabon.com

手荒れ対策としては、約8割の方がハンドクリームなどを使用していると回答しています。ただ、家事を行うごとにハンドクリームを塗ることにストレスを感じている方も6割以上います。こうした調査結果や市場背景などを踏まえて、台所用洗浄剤に求められるのは次の3つだと私たちは考えました。まずは、「手肌にやさしい」こと。次に、「油汚れに強い」こと。そして、「泡ぎれがスッキリしていること」。この3つのニーズを満たすべく、泡タイプの台所用石けんの開発が始まりました。

無添加石けんへの強いこだわり。赤字期間が17年間続いたことも

――『台所用せっけん泡タイプ』を使用して、泡立ちの良さとキープ力に驚きました。

泡立ちについては、原料の油の種類や配合比率などさまざまな組み合わせを考えて、用途別にベストの比率・構成で石けんづくりを行なっています。また、昔ながらの釜炊き製法「ケン化法」で作っているので、出てくる泡には天然の保湿成分が含まれています。食器洗いをしたあとも、手肌がしっとりしていると感じていただけると思います。

釜炊き製法出典:www.shabon.comシャボン玉石けんでは、昔ながらの釜炊き製法「ケン化法」で手間ひまかけて製造しています。釜炊き職人が五感をフルに働かせて、石けんの微妙な変化を調整。時間をかけて仕上げることにより、肌にやさしい保湿成分を含んだ石けんができ上がります。

――現在ではおなじみとなった無添加石けんですが、合成洗剤から無添加石けんへと切り替えたときには売上が激減したそうですね。

 はい。当社では1960年代からいち早く合成洗剤の取り扱いを始めていましたが、機関車を洗うための無添加粉石けんの開発依頼を受けたことをきっかけに、無添加石けんの開発に取り組みました。先代社長は長年原因不明の湿疹に悩まされていたのですが、無添加粉石けんの試作品を使ったところ数日で治まり、合成洗剤を使うと湿疹が悪化しました。そうした実体験から、1974年に無添加石けんへと全面的に転換。ただ、合成洗剤隆盛期だったこともあり、売上は1%以下まで激減。赤字期間が17年間続きました。

――17年間! かなり長い期間続いていたのですね。

 それでも私たちが「健康な体ときれいな水を守る」という企業理念を貫き通したのは、肌荒れに悩む方の最後の受け皿として、安心して使っていただけるものを提供し続けたいという思いがあったからです。当社では、現在も「無添加」「ケン化法」にこだわって商品づくりをしています。肌にやさしいもの、安心安全なものを求めて当社の商品にたどり着いたという方も多く、そういう声をいただくと本当にうれしいですね。「おむつかぶれがよくなった」「手荒れが落ち着いた」などお客様からのうれしいお手紙に支えられています。

スポンジ除菌や野菜・果物洗いにも使える!

スポンジ出典:stock.adobe.com

――肌にやさしいキッチン洗剤なら、食器洗いへのストレスを減らせそうですね。

 自宅で食事をする回数が増えたことで、食器洗いを溜めないようにカトラリーやコップをこまめに洗う“ちょこっと洗い”をしている方も多いようです。泡タイプなら、プッシュすればすぐ泡が出るので、泡立ての面倒さを軽減できると思います。
 また、食器洗いはもちろん、スポンジの除菌や野菜・果物洗いにも使えます。きゅうりやトマト、りんごなど、そのまま食べる食材を洗うときにもお使いいただけたらと思います。「石けんで洗うと味が変わるのでは?」と思われるかもしれませんが、味が変わることはありません。実際に野菜洗いに使用したモニターからは「ぬるつき、ベタつきもなく、表面がさっぱりする」という感想が寄せられています。これ1つあれば、食器も野菜・果物もさっぱりきれいに洗えますよ。

ふわふわの泡でスッキリきれいに。コロナ禍で増えた食器洗いの負担が、少しでもラクになるといいですね。

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