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「待てない親」になっていませんか?子どもの“自己肯定感が下がる親の言葉”とは

家族・人間関係

 「待てない親」になっていませんか?子どもの“自己肯定感が下がる親の言葉”とは

2022.07.13

非認知能力育児のパイオニアとして知られるボーク重子さんの新刊『しなさいと言わない子育て』が発売になりました。ボーク重子さんが発信する子育てについての情報は、これまでも子育てで悩む多くの親を救ってきました。そして今回の著書にも、子どもも親も幸せになる子育ての秘訣がたっぷり詰まっています。そこでsaitaでは、ボーク重子さんに新刊に込めた思いやご自身のこれからについてお話を聞き、全5回に分けてお届けします。

お話を伺ったのは……ボーク重子さん

ボーク重子さん

Shigeko Bork BYBS Coaching LLC 代表、ICF会員ライフコーチ。『非認知能力の育て方(小学館)』『子育て後に何もない私にならない30のルール(文藝春秋)』など多数。新著『しなさいと言わない子育て(サンマーク出版)』も話題。

「しなさい」と言うのは、子どもの主体性を奪うこと

ボーク重子さん

――『しなさいと言わない子育て』というタイトルを見た瞬間に、「耳が痛い!」と感じる親は多いと思います。そもそも、親はなぜ「しなさい」と言ってしまうのでしょうか。

できないことをできるようにするのが子育てだと思っているからだと思います。親自身がそう言われて育ってきたというのが大きいですよね。「やっていないこと=ダメ。だからやらせなくては!」というのが子育てだと思ってしまっているんです。「できない」が前提になっているから「しなさい」と言うんだけど、逆に「できて当たり前」という気持ちもあるからできないことが目に付くんです。

――子育て中の身としては、「そ、その通りです……」となるお話です。できるようになってほしいなという親心が子どもを苦しめてしまうんですね。

できないのではなくて、やったことがない。慣れていない。教えてもらっていない。やり方を知らないだけ。子どもは、やればできるようになるんです。大人にとっては簡単なことでも、子どもにはこれから学んでいくことばかり。でも、親はできるようになるのが待てない。これは大人の論理ですよね。

――「しなさい」を、良かれと思って言っている親は多いと思います。この言葉を使わずにどう子育てをするの? と思ってしまうのですが。

子どもは、「しなさい」と言わないとできない、育たないという前提を、多くの親が持っています。そして、親なんだからやらせなくてはいけないという気持ちも強い。でも、人は自分で自分をコントロールしたいという「心理的リアクタンス」というものがあるので、「しなさい」と言われた瞬間に「いやだ!」となる。言われたこととは違うことをしようとするものなんです。だから、「しなさい」と言えば言うほど、子どもは反対の行動をとったりするんです。

――言えば言うほど、ですか……。

「しなさい」と言うのは、その子から主体性を奪うことなんです。大人でも、「しなさい」と言われたらいやでしょ? 言われた時点で、自らやろうという気持ちが失せちゃうし、やる気もなくなる。言われたことをやっているだけで、何も自分で決めてやっていないから自己肯定感もどんどん下がっていくんです。「しなさい」と言うことに良いことは何もないんです。

本当の自己肯定感というのは“無条件”に認めること

ボーク重子さん

――ということは、自発的にやっている子どもは自己肯定感が高く育つのでしょうか。

自分がやりたいなと思ってやったことや、やりたくないけどやらなくてはいけないことをしっかりやれたら、「自分はすごい!」と思うでしょ? そういう経験は、いろんな意味で自己肯定感を上げてくれます。
「自己肯定感を上げる」という言葉をよく聞くけど、本当の自己肯定感というのは“無条件”なんです。何かをやったから、何かができたからではなく、ただ存在するというだけで良いということ。でも、その前段階で、こんなことをやっている自分はすごいというのはとっても良いことだと思います。

――自己肯定感をあげるというのは、本当に難しいことですよね。

最近、おもしろいなと思った話があるんです。よく「私、自己肯定感が低いんです」って言う人がいるじゃないですか。それって、本当に自己肯定感が低いのかな? 単純に、自己を肯定するハードルが高すぎるんじゃないのかな? という話になったんです。結構そういう人って多いと思うんです。自己肯定感を高めるって、何も特別なことはできなくて良いんです。毎朝、目を覚まして、そこにいるというだけで素晴らしい! そういう自分を肯定するだけで良い。私たちは、自分で“自己肯定が低い自分”を作り出しているだけなんですよね。

――自己肯定感が低い自分を作りだしてしまうのは、環境によるものですか?

今の子どもって、常に比べられる環境の中で育ち、1日に何回も他人に評価されるタイミングがあるんですよね。もし、自分という存在を無条件に肯定するということができないと、他人からの評価に一喜一憂することになってしまう。そして、それが続くと「自分ってなんなのかな?」となってしまって、大きくなったときに他人からの評価でしか自分を評価できなくなってくるんです。

子どものテストの点数が低いときに親が伝えたいことは

ボーク重子さん

――どのように変えていけばいいのでしょうか。

テストの点数が上がれば褒められて、下がればダメというだけの環境にいる子どもは多いと思います。パパやママに意識してほしいのは、例え点数が低くても「あなたが大事な、大事な存在であることに変わりはない」と伝えること。これが本当に大事。どんなときも無条件に、その子の存在を肯定するんです。

――その子の存在自体を肯定するんですね。

「しなさい」と言わなくなれば自己肯定感が上がるのではなくて、自分で決めてやったことに納得することで、自分で自分を認めやすくなります。ぜひ子どもたちにその機会を作ってあげてほしいんです。
パパやママも自分に置き換えて考えてみてください。「やりなさい」と言われたら、自分には自分の考えがあるんだから、任せてよ! ってなるはず。子育てでも、見守るということはすごく重要です。『しなさいと言わない子育て』では、4つの非認知能力を育む環境を整えようということをお伝えしています。

子どもに「しなさい」ということが、子どもから主体性を奪うことにつながるとは驚きました。日常でこの言葉を使っていないか、まずは意識してみてはいかがでしょうか。
 


著者

上原かほり

上原かほり

フリーライター歴10年。読んだ人の心にふわっとした空気が流れるような記事や情報をお届けできるよう心がけています。