お話を伺ったのは……川原恵美子さん
1946年生まれ。香川県まんのう町でそば店を営み15年。75歳で始めたYouTubeチャンネル「【田舎そば川原】料理・漬物」は、「そうめん ゆでるな!」の動画で注目を浴び、またたくまに登録者数が42万人越え(2022年6月現在)。旬の食材を生かしたおいしい漬物やおかずが家庭で作れると大人気に。地元の生産者との絆や、頑張り続けている生き方、人柄に憧れる人も多い。
『ひとつひとつ、たいせつに。』(SBクリエイティブ)
著者:川原恵美子
価格:1,595円
お客さんからの一言ではじまったYouTube
――まずは『ひとつひとつ、たいせつに。』の出版、おめでとうございます。75歳でYouTubeにチャレンジした理由をお聞かせください。
川原さん:私は20代の頃から料理のレシピを集め、自分で作った農作物で調理することを趣味としていました。数えきれないほどのレシピは、料理が上手な2人の息子に遺す財産として温めていました。そんなときに私が経営する「田舎そば川原」の常連のお客さんが「一緒にYouTubeチャンネルを作りませんか?」と声をかけてくれたのがはじまりです。
――お客さんからの提案だったのですね。
川原さん:そうです、私はYouTubeのことはわかりませんが、約50年で培った料理の知恵を、多くの人に共有できたらなという思いもあったのではじめることにしました。そして、やるからには中途半端にやるのではなく、3年は続けようという思いでスタートさせました。
――特に「そうめんゆでるな!」という動画が話題です。実際にYouTubeをはじめてみていかがですか?
川原さん:みなさん「すごいですね!」「そうめんがバズっていますよ」と声をかけてくれるのですが、私にはその感覚はわかりません。以前からみなさんに教えてあげていたレシピをカメラの前でしているだけなので、なにがすごいのか、わからないんです。スタッフの皆さんが次々に新しい企画を提案してくれるので、そのお陰で今日があるようなものです。私が特別頑張ったわけではないんですよ(笑)。
※話題の「そうめんゆでるな!」の動画はコチラ
YouTubeは私の栄養剤
――川原さん自身の魅力も、YouTubeの登録者数に影響を与えていると思います。
川原さん:常々皆さんにお話ししているのですが、どれだけ私がすごいレシピを持っていたとしても、YouTubeを撮ってくれる人、それを観てくれる人がいないことには意味がありません。だから、日々の家庭料理に興味を持って、登録してくれる視聴者さんがすごいと思います。私はスタッフさんに支えられて、自分のレシピをお伝えしているにすぎません。でも、とても楽しいですよ。
――具体的にどんなところが楽しいですか?
川原さん:いろんな人と交流できるところです。「お母さんに癒される~」、「いつまでも元気でおってね!」と声をかけてもらえることが私の栄養剤。自分の孫みたいな方がたくさんいるので私が元気をもらっていますよ。皆さんの言葉を大事に、これからも自分が育った「香川県まんのう町」に恩返しをする気持ちで続けていければいいなぁと思っています。
――では、同年代の方にYouTubeをすすめたいと思いますか?
川原さん:誰も彼もYouTubeをやったらいいというわけではないと思います。無理矢理やるものではないですから。でも、私のようにこれまで作ったレシピを「誰かに残したい」という気持ちがあれば、楽しいと思えますよ。私も自分が作ったレシピが誰かの役に立ってくれれば、生きてきた意味があると思えますね。
【取材後記】
75歳ではじめたYouTubeについて包み隠すことなく、お話してくださった川原さん。「自分ひとりの力ではない。周りの方の助けがあってこそ」という、謙虚な気持ちと温かいお人柄が登録者数にも反映されていると感じました。取材後、私も早速チャンネル登録。川原さんのレシピ「豚の角煮」や「基本の唐揚げ」、「煮卵」は家族にも好評で本当に助かっています。これからも1人の視聴者として川原さんのレシピを参考にさせていただきたいと思います。
第一回:(当記事)「そうめんゆでるな!」が話題。76歳YouTuber川原さんのチャンネル登録者数が「42万人」の理由
第二回:親の離婚に借金。76歳人気YouTuber川原恵美子さんが苦労の中でも「前向きに」生きてこられたワケ
第三回:“40代が人生の山だった…”76歳のYouTuber川原恵美子さんの「幸せに生きるための秘訣」