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女優をやりながら調理師免許と幼稚園教員の免許を取得!「やりたいことは諦められない」水野真紀さんの挑戦

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 女優をやりながら調理師免許と幼稚園教員の免許を取得!「やりたいことは諦められない」水野真紀さんの挑戦

2022.07.28

映画『今夜、世界からこの恋が消えても』に出演している女優の水野真紀さん。難病の娘を支える気丈で優しいお母さん役を心温まる演技で見せています。水野さんは、仕事と子育てを両立して頑張る一方、調理師と幼稚園教諭の免許を取得するなど、とてもアクティブに人生を楽しんでいる女性です。そんな水野さんに映画のお話とともに、充実した人生の秘訣を伺いました。

水野真紀さんインタビュー

水野真紀出典:sekakoi-movie.toho.co.jpインタビューで意外な一面をお話ししてくれた水野真紀さん

映画『今夜、世界からこの恋が消えても』は、前向性健忘という病(眠るとその日の記憶をすべて忘れてしまう)を抱えた、真織(福本莉子)が、透(道枝駿佑)と出会い、本気の恋に落ちていく物語。水野さんは、娘の病を受け入れ、彼女の毎日を見守るしっかり者かつ心優しい母の役です。まずは障害を持った娘を持つ母を演じることについて、水野さんに伺いました。

東宝シンデレラは、女子校のような世界

今夜、世界からこの恋が消えても出典:sekakoi-movie.toho.co.jp(C)2022「今夜、世界からこの恋が消えても」製作委員会

――今回は、記憶障害を抱えた娘をサポートする母親役ですが、役作りについて教えてください。

水野真紀さん(以下、水野さん):まず、前向性健忘について調べて、役に向き合いました。個人差があるようですが、寝てしまうと以前の記憶がなくなってしまうということは、勉強はどうするのだろう、進学や就職はできるのだろうかと、色々な疑問が浮かび、親としては悩み事や心配事が多いだろうと思いました。でもそのことだけを考えていると気持ちが重くなってしまうので、そのような背景を頭に入れつつ、娘を思い、何事もない平穏な毎日が送れるように支える母であろうと思いながら演じました。

今夜、世界からこの恋が消えても出典:sekakoi-movie.toho.co.jp(C)2022「今夜、世界からこの恋が消えても」製作委員会

――娘役の福本莉子さんは、水野さんと同じ「東宝シンデレラ」の後輩ですね。

(水野真紀さんは第2回東宝シンデレラオーディション審査員特別賞。福本莉子さんは、第8回グランプリ受賞)

水野さん:そうですね。福本莉子ちゃんはグランプリを受賞した当時、まだ高校1年生でした。今回共演できて「素敵な女優さんに成長したのね」と、まるで身内のように嬉しくなってしまいました(笑)。

私は東宝シンデレラの皆さんの出演作はよく観るのですが、作品を通して、彼女たちが成長していく姿に涙してしまいます。長澤まさみちゃんの『世界の中心で愛を叫ぶ』、上白石萌音ちゃんが声の出演をした『君の名は。』など、涙が止まりませんでした。

福本莉子出典:sekakoi-movie.toho.co.jp(C)2022「今夜、世界からこの恋が消えても」製作委員会

――いつも後輩の皆さんを見守っていらっしゃるんですね。

水野さん:東宝シンデレラ出身の女優たちの関係は、女子校みたいな雰囲気があるんです。先輩が後輩にバトンを渡していくような感じですね。第1回目の東宝シンデレラは沢口靖子さん。その沢口さんから私へ、そして、私から長澤まさみちゃん、まさみちゃんから上白石姉妹、浜辺美波ちゃん、莉子ちゃんへと続いていく。女子校の先輩後輩みたいです。

やりたいことは諦めたくない!とロンドン留学

――水野さんは、ロンドンに留学したり、調理師免許と幼稚園教諭一級免許を取得したり、女優として活躍しながら、免許を取得する勉強をされてきましたよね。仕事をしながらの挑戦は大変だったのではないですか?

水野さん:大変でしたね。でも、仕事が忙しいことを理由に、やりたいことを諦めたくなかったし、後悔したくなかったんです。私は短大を卒業してから、女優になり、お芝居の仕事をしてきましたが、だんだん「私、このままでいいのかな」と悩んでしまって。一度、女優のお仕事から離れて、自分を取り戻したいと思い、26歳のときに事務所に相談しました。「そんな女優はいらない」と言われたら、それまでだと覚悟を決めて。そしたら、大河ドラマの仕事が終わったら留学をしていいと言われて、2年後、3か月の留学が実現したんです。

イギリスお菓子出典:pixabay.comロンドンのイメージ写真

――有言実行ですね! ロンドンでは何を勉強されたんですか?

水野さん:お菓子作りを学んでいました。でもロンドンで生活する中、西洋的な料理は、自分の口には合わないことに気づきました。そのとき、体調と食事の関連性を強く実感し、調理の裏側を知りたくなって、31歳の春に調理師学校へ行くことにしたのです。ちょうど「水野真紀の魔法のレストラン」(毎日放送)のお仕事も決まって、調理師の学びが生かされるし、タイミングが良かったんだと思います。週5日、調理師学校へ通いながら、学校の長期休みは、しっかり女優のお仕事をこなしました。

――すごいバイタリティですね!

水野さん:でも、当時、独身だったので「学校に通うのなら、結婚は先延ばししてね」と事務所から言われました。何かを得るためには、何かを犠牲にしなくてはいけない。こういう感覚を当時は当然のように受け止めていましたね。

40代の大学生!幼稚園教諭の免許を取得

水野真紀出典:sekakoi-movie.toho.co.jp40代で編入試験に合格して大学生に!

――幼稚園教諭の資格を取得したのは、学習意欲が、今度は教育に向いたのでしょうか?

水野さん:43歳の頃、人生後半戦をどう生きていこうかと思案しまして。子育てをする中、人生における教育の大切さを再認識したこともあり、教育を学ぶために47歳の時に受験をしました。私は短大卒なので、正確には4年制大学への編入試験ですね。

受験を意識した頃、ドラマや舞台の仕事が続いており、とても大学に行く時間的余裕はありませんでした。でも「必ず編入試験を受ける」と念じて、教育に関する資料・新聞記事等を読み込んだりして勉強を進めていました。

――そのときはまだ挑戦するタイミングではなかったのですね。

水野さん:そうですね。そのうちドラマの仕事も落ち着いてきて、息子の中学受験が終わる頃、編入試験に挑戦しました。受験については、誰にも言っていません。だって不合格だったらカッコ悪いじゃないですか(笑)。合格してから、家族に報告をしたら「家でボーっとしているより、いいんじゃない」と(笑)。

――大学生活はいかがでしたか?

水野さん:充実していましたが、第二外国語や卒論執筆では地獄の苦しみも味わいました(笑)。でも何か世の中に恩返しというか貢献できることを学びたいと思い、幼稚園の教員免許を取得するために、満員電車に揺られながら通学しました。

困ったのは資料作りですね。PCに詳しくないので、ワードやパワーポイントの活用法を大学のお友達に教えてもらいながら作成しました。やはり普通の学生より時間がかかるので、疲れ果てて、お昼休みは図書館で寝てしまって(笑)。そうしないと体力が持たなかったんです。

やりたいと思ったときにエネルギーが出るはず

水野真紀出典:sekakoi-movie.toho.co.jpアグレッシブに挑戦し続ける水野さん

――水野さんは、挑戦し続ける人生を歩んできたんですね。やりたいことがあっても、なかなか一歩踏み出せない人も多いと思うので、すごいです。

水野さん:やっぱりその時にしか出ないエネルギーがあると思うんです。ロンドン留学も28才だから行けたけど、48才だったらそういう力が湧いてきたかどうか。やりたいことなら、絶対にエネルギーが出てくるはずなので、そのときにしか出てこないエネルギーを大切にしてほしいです。

――なるほど!

水野さん:あとはタイミングですよね。働きながら子育てしてらっしゃる方も多いと思いますが、ご家庭やお仕事の状況を考えて、できるだけ迷惑をかけないように、かつ、やりたいことができるタイミングを図ることは大事だと思います。

食事は、家族と自分の未来を作っている

お弁当出典:pixabay.com料理のイメージ画像(実際に作られた料理の写真ではありません)

――水野さんは調理師の免許をお持ちなので、食生活についてもお伺いしたいです。食事で気をつけていることなどありますか?

水野さん:お料理は好きだし、今食べているものが5年後、10年後の自分を作ると考えているので食生活は大切にしています。だからお仕事の現場へもお弁当を持参することが多いです。

撮影現場で出していただくロケ弁は、力仕事のスタッフさんのために、ボリュームのあるメニューが多いんですね。でもそれを毎食食べていると、太ってしまったり、肌荒れを起こしてしまったりすることもあるので、20〜30代の頃は、野菜が多めのお弁当を保冷剤とともに発泡スチロールの箱に入れて、撮影に持っていきました。スタッフの方に「釣りに行くんですか?」とか言われたこともあります(笑)

――インスタでは美味しそうなお弁当写真をアップされていますね。

水野さん:ポイントは、食材を調味料のように使うこと。はんぺん、カニカマ、ソーセージには旨味・塩分が含まれています。なので、野菜と和えたり、炒めたりする時に余計な味付けはしません。オリーブオイルもうちでは完全に調味料です。

大したものを作っているわけではないんですよ。でもお弁当作りには慣れているので、息子のお弁当作りも苦になりません。「このお弁当が彼の人生を作るんだ」と思って作っています。

――食生活は美容にも関係しますよね。

水野さん:そうですね、美容には腸活が大事だと思っています。毎日、ちゃんとお通じが出ることが健康にも美容にもいいことではないでしょうか。

うちはガス炊飯の玄米ですし、雑穀もいただきます。お肉とお魚とともに根菜もバランスよく摂取することが大事。私は毎朝、黒すりごま、おからパウダー、黒大豆のきな粉、ココアをヨーグルトに入れていただいています。黒すりごまは20代の頃から続けていますね。そのおかげで私、白髪は少ない方じゃないかな(笑)

青春映画で昔を懐かしむことは、大人のレジャーです

今夜、世界からこの恋が消えても出典:sekakoi-movie.toho.co.jp(C)2022「今夜、世界からこの恋が消えても」製作委員会

――では最後に『今夜、世界からこの恋が消えても』を楽しみにしている読者のためにメッセージをお願いします。

水野さん:なにわ男子の道枝駿佑くんや福本莉子ちゃんが出演しているので、若い子向けの映画だと思われるかもしれないけど、違います!

私は、過去を懐かしむことは、老いゆくものにとってのレジャーだと思っているんです。この映画は、自分の高校生時代を呼び起こされます。「こんなこと自分にもあった」「この気持ちわかる」と、気持ちが高揚するんです。そうすると、細胞が活性化して、口角も上がり、目も覚めて、美活になるんですよ。

だから青春映画を大人が鑑賞する効果は絶大! 若い主人公の映画を見て、若さを享受することは、本当に素敵な体験です。自分の記憶を呼び覚まし「これから作る思い出が、人生を支える記憶になっていく」と実感できると思います。だから、若い子だけの映画だと思ってはいけません!と、声を大にして言いたいです。

――青春映画は大人女子の美活、確かにそうですね。素敵なお話ありがとうございました。
 

撮影・取材・文:斎藤 香
ヘアメイク:根津しずえ
スタイリング:梅原ひさ江(オフィス梅原)
衣装クレジット: 服/ファビアナフィリッピ ジュエリー/シャンテクレール

水野真紀(みずの・まき)

1970年、東京生まれ。
1987年、「東宝シンデレラ」審査員特別賞を受賞。東洋英和女学院短期大学を卒業後、NHK連続テレビ小説「凛凛と」で、女優デビュー。その後、ドラマ、映画、バラエティなど多方面で活躍。現在は、MBS毎日放送「水野真紀の魔法のレストラン」の司会としてレギュラー出演中(毎週水曜日19:00~20:00)

『今夜、世界からこの恋が消えても』

今夜、世界からこの恋が消えても出典:sekakoi-movie.toho.co.jp(C)2022「今夜、世界からこの恋が消えても」製作委員会

監督:三木孝浩
原作:一条岬「今夜、世界からこの恋が消えても」(メディアワークス文庫/KADOKAWA刊)
出演:道枝駿佑(なにわ男子)、福本莉子、古川琴音、前田航基、西垣匠、松本穂香、野間口徹、野波麻帆、水野真紀、萩原聖人
(C)2022「今夜、世界からこの恋が消えても」製作委員会


著者

kaori saito

kaori saito

映画雑誌の編集者を経てフリーライターになり、現在webサイトを中心に取材執筆活動をしています。新作映画を続々紹介していきますので、よろしくお願いいたします。