お話を伺ったのは……田中えりさん
マインドフルネス瞑想講師・ヨガ講師。MELON インストラクター。名古屋市生まれ。30代後半に病気になったのをきっかけにヨガ、瞑想、東洋医学を学ぶ。子育て中の親向けに定期クラスや講座・ワークショップを行うほか、団体や行政のイベントを担当。現在は、マインドフルネスサロン MELONのインストラクターの一人としてクラスを担当するなど、心と体の「ととのえかた」を伝えている。
『イライラ・モヤモヤが消える ママの心のゆるめかた』
著者:田中えり
価格:1,540円
超簡単!「ほめノート」でまずは自分をほめる習慣をつけよう
――田中さんの著書でも紹介されていますが、田中さんが考案された「ほめノート」は自分のことをほめる習慣がつき、子どもの自己肯定感にも結び付きそうです。まずは、はじめたきっかけを教えてください。
田中えりさん(以下、田中さん):「ほめノート」は、子どもが学校からもらってきた“学校だより”に「自己肯定感が低い子どもが多いです」という一文を目にしたことがきっかけです。どうしたら子どもたちの自己肯定感が上がるだろうと考えたときに、自分のことをほめるノートを作ってみたらいいのでは? と思って子どもたちに提案してみたところ、「やってみたい!」と前向きだったのではじめてみることにしました。
――「ほめノート」のルールを教えてください。
田中さん:難しいルールはなく、寝る前に今日一日を振り返って、自分のできたことや、うれしかったことを3つ書くだけです。わが家ではこのように書いていますよ。
〇月△日
- 友だちに消しゴムを貸してあげた
- 校庭のお花に水をあげた
- お店の人に「ありがとう」が言えた
ノートはお子さんにつき、1冊です。そして交換日記のように、コメントを書けるときは私は書いていますよ。
コメントと言っても、「すごい!」「よかったね!」「それは嬉しかったね」など感じたことを書くだけで、アドバイスはしないようにしています。
小さな喜びに気づくことが大事
――お子さんによっては、自分のできたことやうれしかったことを3つ書くという行為が難しいことはありませんか?
田中さん:最初はどんなことを書けばいいのか思いつかないかもしれません。もしくは「別にない」「わかんない」などの回答も多いかもしれませんね。だから最初は一日を振り返るとき、一緒に向き合ってあげてくださいね。
たとえば、「先生のお手伝いをしたよ、とか給食のデザートが美味しかったよ、など小さなことでもいいんだよ。ちょっと考えてみてね」という声かけをしてあげるといいと思います。
――田中さんのお子さんの反応はいかがですか?
田中さん:まずは寝る前に今日一日を振り返り、自分のポジティブな感情に気づけるので、とても気分良く眠りにつけるようです。
そして、家族の中で「ありがとう」という言葉が増えました。お互いを感謝し、思いやれる気持ちが育まれてきているようにも思います。
とはいえ、まったくネガティブにならなくなったというわけではないです。子どもが落ち込んでしまうこともありますが、「今度はこうしてみる」と前向きに気持ちを切り替えられるようになった気がします。
――書き出すという行動も意味がありそうですね。
田中さん:そうですね。頭の中に浮かぶことを書き続ける、ジャーナリングというものがあります。ジャーナリングは「書く瞑想」とも言われます。言葉にして書き出すことで、自分の状態に気づくことができるのです。
1人でも多くのお子さんが「ほめノート」によって自分の心を客観的に見つめ、自分と仲良くなってくれたらいいなと思います。
――思春期に入ってからのスタートは難しいと思うので、小さい頃から習慣づけておくとよさそうですね。
田中さん:なかなか思春期のお子さんとはじめるのは難しいと思うので、小学校低学年くらいからはじめるといいかもしれませんね。思春期のお子さんであれば、声をかけるだけでも違うと思います。
わが家もこれから子どもたちが思春期に入り、いつまで「ほめノート」を続けてくれるかわかりません。様子をみながらいろいろな形でコミュニケーションを取っていきたいと思います。
子どもが一日を振り返り、できたことやうれしかったことを振り返る「ほめノート」。続けることで、自分の良さや頑張りに気づける気持ちを育めそうですね。ノート1冊あればできるので、今すぐはじめてみてはいかがでしょうか。