新学期にクラスがまだ決まっていない
カナダでは夏休み明けが始業式(入学式)ですが、初日に学校に行ってもまだ新しいクラスは決まっていません。というのも、カナダでは2ヶ月の長い夏休みのあいだ、先生もお休みだからです。新しい教室の準備などで少し学校に出てくることはあっても、クラス替えや事務仕事は子どもたちと同じ始業式から始まるわけです。
小学校0年生(日本の年長にあたる年)であるキンダーガーテンのみ仮のクラス分けがされており(様子を見て数週間後に再編成されることもあります)、それ以外の学年は前年度と同じクラスで同じクラスメートと最初の1週間ほど過ごします。1週間ほど経ってやっと新しいクラスが発表され、新しい教室に移動します。
スプリットクラス(2つ以上の違う学年が一緒のクラス)がある
カナダの多くの小学校で取り入れられているスプリットクラス。学年全てが合同クラスという学校もあれば、合同とそうでないクラスがある学校もあるようです。息子も1、2年生合同のクラスです。日本で育った親にとっては、「え? 別の学年と一緒にどうやって勉強するの?」という不安がありましたが、スプリットクラスの目的は、人数調整の他、上級生が下級生に勉強を教えたり、互いに助け合い、学力の発達や社会性の発達を促すことだそうで、なるほどなぁと納得しました。勉強に関しては、体育や音楽など一緒に行うものもあれば、言語や算数など、学年別に行うものもあるそうです。
教科書がない
カナダの多くの小学校では教科書を使わず、主にプリントを教材として用いるようです。大体使った教材は年度末に全て持ち帰ってくるので、そこで初めて親は勉強したものを目にするわけで、普段何を学んでいるかは子どもに聞くか先生からのお便りがある場合はそれ頼みとなります。筆記用具も学校にあるものを使うので、毎日持っていくのは、ランチ、スナック、帽子くらいでしょうか? 着替えや上履きは学校に常備してあります。ちなみに、日本国籍を所持していれば、領事館で申し込めば、日本の教科書をもらうことができます。
州で定められたカリキュラムがあるが、進行度合いは先生によって随分違う
カナダの公立小学校は、学校によってというより、先生によって勉強の進行度合いが随分違います。息子のクラスの先生は比較的ゆっくりで、まだ宿題が出たこともないし、何を勉強するかはウェブサイトを見てね! という感じのラフさです。何を勉強しているのかも具体的に説明がないので親はいまいちわからないのですが、連絡帳があって今日やったことを記入しているクラスもあるそう。
教室におもちゃが沢山あって勉強はゆったりというクラスもあれば、おもちゃは全くなくて宿題やテストがあるクラスもあり、州の目標カリキュラムがあるとは言え、教科書を使わないので日本のように明確なゴールはなく、それぞれの先生に教育方針が任されているようです。遠足などに関しても同じで、日本のように学年全員で行くこともありますが、各クラスで先生が決める場合もあり、そのため同じ学校の同じ学年でも遠足の数がバラバラです。
体操服がない
カナダのほとんどの公立小学校では、体操服や体育館シューズがなく、普段着のまま体育の授業を受けます。ちゃんとした時間割をもらっていない息子の場合、いつ体育のクラスがあるのかを把握するのも難しいので、毎日動きやすい服装で通学させています。
掃除の時間がない
日本では給食の後に掃除の時間がありますが、カナダには掃除の時間がなく、掃除は業者が行います。皆で自分たちの教室をきれいにする日本の文化、私は好きなのですが……。
オレンジシャツ、ピンクシャツデー
2月の最終水曜日はピンクシャツデー、9月30日はオレンジシャツデーで、この日は強制ではないですがピンク、オレンジの服や小物を身につけて登校しましょうと学校から連絡があります。ピンクシャツはいじめ撲滅の意味を込めて、オレンジシャツは昔先住民寄宿学校で殺された多くの子供たちへの追悼の意味が込められており、この日が近づくとこの日のきっかけになった出来事について学校でも学ぶそうです。息子の学校には先住民の子どもが多いので、特にオレンジシャツデーについては時間をかけて学ぶようです。
先生も生徒もとにかく自由!
日本では前髪が目に入らないようにとか、爪を切りなさいとかいろいろ言われて育った覚えがありますが、カナダの小学生は髪を染めたりピアスをしたり化粧をしたり、好き勝手な格好で登校しています。先生も非常に自由で、ピンクの髪に鼻ピアスでスケボーで登場なんていう先生もいます。移民国家でLGBTの人にも優しいカナダ。見た目も文化もジェンダーも多様性を受け入れて、個々の個性、才能を伸ばしながら楽しく学校生活を送ろうという姿勢が見られます。
いかがでしたか? 日本とは随分違うカナダの小学校。親として日本との違いに戸惑うことがありつつも、カナダならではの自由な環境でいろいろなことを吸収して、のびのび育って欲しいと願っています。
※カナダ在住筆者の体験談がベースとなっています。