ふらりひとりで喫茶店。“初めてでも常連気分になれる名店”~vol.1 東京神保町「さぼうる」の巻~

カルチャー

2023.02.15

イマドキのカフェではなく「純喫茶」と呼ばれる喫茶店が人気です。控えめに灯りがともされ、BGMは穏やかなピアノやクラシックかジャズ…そんな趣のある素敵な空間にひとりでふらりと訪れてみると、後回しにしていたちょっとした考え事の答えが降ってきたり、読みかけだった本を読破できたり、そしてなにより心がこもった素敵なもてなしに心が温まります。

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目的地にしたくなる喫茶店

さぼうるブルーオペレーションが耳障りでなく正確で、ごく普通のメニューが飛び切り美味しい喫茶店にハマります。

「ちょっとお腹が空いたから」「誰かとお茶をするために」ではなく、ひとりでわざわざ「この空間を味わうために」行く喫茶店が、私にはいくつかあります。そのいずれもに共通しているのは【穏やかで確かなオペレーション】【ごく普通のメニューが飛び切りおいしい】ということ。

店内ほの暗い店内で「ひとりの時間」を味わうのは至福のひととき。

穏やかで確かなオペレーションとは「ホット(コーヒー)ワンですっ!」などと大声でコールしているにも関わらず、コーヒー1杯がなかなか来なかったり、紅茶が到着してしまったり…というようなエラーが無く、ボリューム低めの報連相でスタッフさんたちの連携が整っているということ。ごく普通のメニューとは、言わずと知れた純喫茶の王道であるクリームソーダやプリンにホットケーキ、サンドイッチやオムライスなどを指し、それらのお味が奇をてらわずど真ん中のおいしさだと「見つけたっ!」と思わずテーブルを叩いてしまうのです。

最寄り駅は東京神保町

神保町流石は本の町神保町。駅の看板も本棚を模してありますね。

昨年秋に2度の東京出張で2度伺ったのが神保町の老舗「さぼうる」さん。新宿線・三田線・半蔵門線「神保町駅」A7出口を上がればすぐの所です。

創業1955年の名店 さぼうる

さぼうる玄関赤電話が目印の入り口は、こんな風。
「中はどうなっているんだ!?」と好奇心がそそられます。

実はSNSでこのお店が大人気の老舗であることを知っていたので、店名が「サボる」という言葉が由来ではなくスペインの言葉であることや、クリームソーダで有名なことは予習していましたが、今回の来店で1回の体験は100の情報を超える!ということを実感しました。

抜群のオペレーションと穏やかな空気感

サンプルイメージ2階座席からは入口付近が見えます。
付近には、カラフルなクリームソーダを楽しむ女性たちや
おひとりでピザトーストを食している物静かな男性が
それぞれの愛で方でこの空間を味わっていました。

「こちらの奥のお席か2階のふたり席、どちらがいいですか?」と訪れた際は2度とも、空いている席を示していただき、好きな方を選ばせてもらいました。席の案内、お水の提供&オーダーを取りに来る方、サンドイッチとソーダを運ぶ方は全て別の方でしたが、青いクリームソーダとたまごサンドは的確にサービスされ、初めてでも常連さんの居心地の欠片を味わうことができました。とても忙しく入口付近には行列が絶えない…というのに、ひとりひとりを丁寧にもてなしてくれるのが、さぼうるさんです。

店長は4代目

おさんぽ神保町お店にあった冊子「おさんぽ神保町」には、伊藤店長のインタビューが掲載されていました。

ちょうど席近くに置いてあった冊子に、伊藤店長のインタビューが掲載されていました。2021年に先代の鈴木マスターが亡くなり、学生時代から16年間ここで勤めてきた伊藤店長がお店を継がれたとのこと。そして奥さまともここで知り合い、今は3児のパパであることや「さぼうるは、たくさんの大切な人に出逢えた運命の場所」とのコメントがありました

なないろのクリームソーダ

サンプルイメージ出典:www.amazon.co.jpさぼうるのクリームソーダが主役の絵本「なないろのクリームソーダ」。

こんな素敵な絵本もありました。こちらは、さぼうるのクリームソーダが主役の絵本。お店の様子を「ひみつきちみたい!」と表現されていますが、そのとおり!あちこちに落書きや民芸品、写真にサインに…と、見るモノ感じるモノであふれています。

大阪「純喫茶ハンシン」でご挨拶

サンプルイメージ1度目に来店した、その2日後に私の地元大阪にさぼうるさんがやってきた!

1度目に来店した日に「明日はお休み」という貼り紙を見つけていました。「今日来れてよかったなぁ」くらいにしかその時には思わなかったのですが、なんとお休みの訳は私の地元大阪のデパート催事への出店だったのです!

阪神メニューいつも大人気のこの企画。私も毎回訪れています。

早速、準備で忙しい様子が書かれていたインスタにコメントをして、いそいそと出かけました。もちろん当日のメニューは、なないろのクリームソーダ。

伊藤夫妻=4代目さぼうる

サンプルイメージ前回はブルーを選びましたが、今回はぶどう。
ほんのり巨峰っぽいぶどうの香りがして、バニラアイスとよく合います。
とてもおいしかった!

いただいたのは、ぶどうのクリームソーダ。お忙しい中、突然に名乗って喋りだす不審な大阪人に驚きながらも(笑)お相手してくださった伊藤夫妻に感謝です。

伊藤夫妻感染予防対策用のビニールカーテン越しですが
お写真をお願いするとこの笑顔!ありがとうございました。

場所は大阪梅田でしたが、しっかりこのカウンターは「さぼうる」の空気感そのものでした。おふたりがいらっしゃる場所にはもれなくどんな環境でも、先代の鈴木マスターから受け継がれたさぼうるスピリッツが宿るのです。長く深く愛されている…という自信が空気を温めてくれるんだなぁ…と、しみじみしていたら、アイスが溶けそうになりました(汗)。

2度目は開店前に並ぶ!

サンプルイメージ初冬の冷たい小雨の金曜日の朝、1番に並びました。

最初の来店から1か月後、前夜には皇居ランを済ませ、午後には両国への取材を控えた午前10時半頃、さぼうる前に到着。11時の開店までお店の前で並んで待つことにしました。バイトのスタッフさんやお隣のさぼうる2のスタッフさんが食材を運び込んだりマスターにご挨拶に来たり…の朝のルーティンの様子を垣間見ながら迎えた11時。開店の時間に奥さまに「おはようございます!」と声をかけさせていただくと「あっ!やっぱり!どこかで見たな…誰だっけな~って思ってたんですよ(笑)。」と笑顔。まだ2回目なのに生意気ですが、新米の常連さん気分です。

「茹でたてでおいしいですよ!」

チーズポテト今回注文したのはチーズポテト。
さぼうるは喫茶と夜はお酒、となりのさぼうる2はレストランなので
ギリギリさぼうるメニューなのかな?と。
後ろに並べられた食卓塩やタバスコの整列の仕方もまた美しくて素晴らしい!

この日もホテルの無料朝食をボイコットして、ゆるっと周辺をジョギングした後、徒歩で到着した神保町。っかりお腹が減ったのでボリュームどど~ん!なチーズポテトを注文しました。キュートなバイト女子にお聞きすると「ポテトに野菜が入っていてチーズがたっぷりですごくおいしいです!」とのことだったので即決!その後、奥さまが「今、ジャガイモが茹であがったところなのでおいしいですよ!」と声をかけてくださいました。バイト女子のプロモーションどおり、チーズポテトはホクホクポテトにタマネギやコーン、そしてたっぷりのチーズとサラミの塩味が加わり、大満足!とてもおいしくいただきました。

心もとろける「いちごジュース」

いちごジュースなみなみと注がれている、いちごジュース。
前回、クリームソーダと迷いに迷った経緯があります。

前回、クリームソーダと迷いに迷ったのが、いちごジュース。とろみのある滑らかな、そしていちご感が抜群!の味わいですが、これが!チーズポテトにしばらく専念していても分離せず「家で作るものとは全然別物」であることがわかります。氷とイチゴと…ミルク?クリーム?なんだろう?そこはビギナーにとっては謎のまま置いておく方が、多分素敵ですね。「謎を解く」という通う理由ができますもの。

食後の素敵なサプライズ!

シャーベット食事後のスタッフさんからの声かけのタイミングも
何もかもが「ちょうどいい」のが、さぼうるスタイル。

前回もそうでしたが食事が終わった頃に「この後ゆずシャーベットが付きますが…」と声がかかりました。小ぶりでさわやかなシャーベットは、クリームソーダでアイスを味わった後でもするん!と食べられます。今回は熱々チーズポテトの後だったので、特にさっぱりおいしく感じました。

初めてでも常連気分になれる名店

2階から2階から1階を見下ろす。

結局のところ、いいお店というのは「お客さんを選ばない」のかな、と思います。初めての人も先代からの常連さんにも、誰にも同じように丁寧にもてなしてくださるのが、ここ「さぼうる」さん。SNSでは「趣がある」「歴史を感じる」「あれもこれも美味しい」とはありましたが、もてなしの心に触れるには、ジャングルのような?入口から赤電話に迎えられてみなければなりません。ぜひ神保町の象徴である秘密基地へ!私の体験が「特別なものではない」ことを確認するために…!

今日の喫茶店「さぼうる」

さぼうる本の町神保町でひときわ目立つ店先。

◆03-3291-8404 アルコール利用のみ予約可(喫茶利用の予約は不可)
◆東京都千代田区神田神保町1-11
◆アクセス  都営地下鉄 新宿線・三田線「神保町駅」A7出口より徒歩1分
       東京メトロ 半蔵門線「神保町駅」A7出口より徒歩1分   
       JR御茶ノ水より徒歩6分    神保町駅から35m
◆営業時間  [月~土] 11:00~19:00
◆定休日   日曜日(※祝日は不定休)

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著者

みやむらけいこ

みやむらけいこ

ライター歴20年。「あなたに逢いに行きます」取材ではなく出会い、インタビューではなく会話。わかりやすい言葉で丁寧に「ひと」を伝えます。好きなものは、サーフィンと歌舞伎、主食はチョコレート。#人生はチョコレート

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