「整形したい」と子どもに言われたら。親として一度考えてほしいコトとは

家族・人間関係

2023.01.23

臨床心理士・公認心理師のyukoです。最近、10代から整形を希望する子の増加が話題となっています。背景には、SNSやインフルエンサーの影響があったり、整形の経験をオープンに話す風潮があるようです。今の10代の子にとって、整形はより身近でハードルの低いものになってきているんです。もし子どもが「整形したい」と言ってきたら。親としての対応や検討事項を考えてみました。

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令和を生きる10代の整形事情

中学生くらいになると、ダイエットを意識したりメイクに興味を持ち始めたり、小学生のころよりも一層容姿が気になってきます。
また、SNSなどで仕入れる情報が増え、より様々な視点から考えるようになり、自分自身への評価が厳しくなってくる時期でもあるんです。

特に近年は、SNSで同年代のインフルエンサーを目にする機会も増え、整形がより身近に感じられるよう。
インスタグラムやTwitterでは、整形アカウント通称「整形垢」といい、整形に関する情報を赤裸々かつ紹介に発信するものまであるんです。

スマホを見る中学生出典:stock.adobe.com

数十年前までは、ピアスの穴を耳に開けることに抵抗がある親御さんも多かったと思います。
ましてや、顔にメスを入れて二重にしたり、鼻にヒアルロン酸を入れて高くするなど、考えられなかったのでは。

しかし今は、整形はもはや恥じたり隠したりするものでなく、「かわいくなるための手段のひとつ」に過ぎなくなっています。
わが子を理解していくためには、まずジェネレーションギャップを受け入れていく必要性もあるんですね。

「整形したい」と言われたとき、一緒に考えたい大切なこと

何に影響されているのか

0歳のときから見ているわが子の可愛らしい顔。「整形したい」などと言われたら当然戸惑ってしまいますよね。
「生まれつきの顔を変えたいだなんてありえない」と、一蹴してしまう気持ちももっとも。

一時の感情であればすぐに諦めるかもしれませんが、子どもが本気で訴えているのなら、耳を傾けて聴く必要があります。

まずは「どうしてそう思うようになったの?」「ママはそのままで十分だと思うけど、自分ではどこが気になるの?」と本人なりの理由や捉え方を尋ねてみてください。
韓国のアイドルやSNSのインフルエンサーに憧れて希望しているのか、身近な友人に整形している子がいるのか、それとも容姿について誰かから嫌なことを言われたのか。

「問題解決には本当に整形が必要なのか」を見極めていくのが重要です。

どの程度コンプレックスに感じているのか

ふと思い立った程度の発言なのか、何年も前からコンプレックスに思っているのかも、話を聞くうえで大切な視点です。

10代の子が整形をするには親の同意書が必要になりますが、子どもの思いに根負けして許可せざるを得なかったと話す方が多くいるそう。
毎日アイプチ(二重にするための糊)をしてまぶたが荒れてしまっていたり、毎日化粧に何十分も費やしコンプレックスを隠そうとしている子を見ていると、「これで本人が納得いくなら」と感じるようです。

鏡を見る女の子出典:stock.adobe.com

私個人の考え方としては、リスクやデメリットを十分理解したうえで、子ども自身の責任と選択で臨むのであれば整形はひとつの選択肢のように思います。
ですが、術後の管理や万が一トラブルが生じたとき、親がサポートしていく必要があるのも事実です。
「勝手にしなさい」ではなく、「身体に異変を感じたらすぐに話してね」と言える段階でなければ、同意書にサインするのは危険かもしれません。

正しい知識をインプットする

反対するにしても、賛成するにしても、親自身が正しい知識を取り入れていくのは大切です。

反対だったとしても感情で押し通さず、リスクを説明したり、「~歳になっても気持ちが変わらなかったらもう一度考えよう」と約束するのは今後の親子関係にとって重要なんです。
なぜなら、この話し合いがないと、成人以降親への相談なく整形をしたり、”親は自分を理解してくれない”ととらえる可能性があるからです。

逆に同意するとしても、慎重に情報を収集していく必要があります。

おすすめなのは本を読んで整形の知識を学ぶこと。
ネットでは、一見正しい知識が書かれているように見えても、ステルスマーケティング(サービスを、広告だと気づかれないように宣伝すること)になっているものもあるからです。

そして、複数のところにカウンセリングに行き、術後のアフターケアや価格設定を比較検討するのが大切。

カウンセリング出典:stock.adobe.com

今しか使えないキャンペーンなどと言われ、しつこい勧誘をする場所もありますが、流されずに対応する必要があります。

後悔のない選択と信頼し合える親子関係を

多感で反抗的な思春期の子どもと折り合いをつけるのは難しいかもしれません。
お互いに納得のいくまで根気強く話し合い、後悔のない選択と良好な親子関係を守っていけるといいですよね。

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著者

yuko

yuko

臨床心理士・公認心理師。現在は小児の総合医療センターと大学の心理教育相談センターにて勤務。児童期から思春期の子どもへのカウンセリングやプレイセラピー、子育てに悩む保護者の方への育児相談を専門にしています。色彩心理学やカラーコーディネートについても学んでおります。

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