誰かのためにがんばるアラフォー女性にこそ「セルフラブ」が大事な理由

家族・人間関係

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2023.06.24

最新刊『「誰かのため」に生きすぎない』が発売前重版になり、メディアやSNSで注目を集めている精神科医・藤野智哉先生。「40代は、自分のことに目を向けてみるタイミング」なのだとおっしゃいます。なぜこの時期に、自分のことに目を向けるといいのでしょうか? アラフォー女性こそ意識したい「セルフラブ」について、藤野先生に教えていただきます。

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教えてくれたのは……藤野智哉先生

藤野智哉先生

精神科医。産業医。公認心理師。
幼少期に罹患した川崎病が原因で、心臓に冠動脈瘤という障害が残り、現在も治療を続ける。学生時代から激しい運動を制限されるなどの葛藤と闘うなかで、医者の道を志す。現在は精神神経科勤務のかたわら、医療刑務所の医師としても勤務。障害とともに生きることで学んできた考え方と、精神科医としての知見をメディアやSNSで発信中。

書影

「誰かのため」に生きすぎない
著者:藤野智哉
価格:1,650円(税込)
発行所:ディスカヴァー・トゥエンティワン

40代は、アイデンティティーが揺らぐ時期

「40代は、アイデンティティーが揺らぐ時期でもあるんです」と話すのは、精神科医の藤野智哉先生。子どものこと、パートナーのこと、仕事のこと、親のこと。日々がんばっているアラフォー女性には、少し意外に感じる言葉かもしれません。一体どういうことなのでしょうか?

藤野先生 「40〜64歳くらいまでの『壮年期』は、次の世代に引き継いでいく年代だと考えられています。子どもや部下を中心に据えて、自分自身は少しずつ引いたポジションをとることが増えていくんですね。

母親や妻という役割や、職場での立場のなかで日々がんばってきて、次第に子どもや部下が自分の手を離れていくことを感じる方も多いと思います。自分のアイデンティティーが揺らいで不安になって、なかには子どもに依存したり、子離れできなかったりする人も出てきます。

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誰かのためにがんばることは、とても素晴らしいことなんです。一方で、誰かのために生きていると、自分の人生にはあまり向き合わないで済むという側面もあります。

だから、早いうちに第二の人生をスタートして、自分のための人生を、ちょっとずつ取り戻していってほしいなって思います。ちょっと厳しく聞こえるかもしれないけれど、自分のために生きる覚悟をしてほしい。その覚悟ができると、今後の人生がすごく楽しくなっていくと思います。」

まずは自分にとっての“幸せの形”を書き出してみて

第二の人生をスタートするためにも、藤野先生がおすすめしているのが、「自分を知る」こと。自分にとって幸せなこと、大切なことを書き出すことを勧めています。

藤野先生 「自分の幸せの形を知らないまま、人のインスタをいくらマネてみても幸せになれませんよね。なぜならそれは自分の幸せの形じゃないから。誰かが考えた基準や、誰かの評価でつくった輪郭はふわっとしていて、他者の評価次第で揺らいでしまいます。

だからこそ、自分は何が好きで、何が大切なのか、“自分の輪郭”を自分の言葉でつくって、自分の価値を再認識してみましょう。」

セルフラブとは?

こうして自分の価値を再認識することが、「セルフラブ」につながると藤野先生はおっしゃいます。そもそも、セルフラブとは、どのようなことなのでしょうか?

藤野先生 「セルフラブとは、いいところも悪いところも含めて、あるがままの自分を受け入れることです。愛の形としては、赤ちゃんを愛することに近いかな。これができるからいい、これがあるから好きというのではなく、本能的なところで受け入れる。『自己受容』に近い感覚です。

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誰かを好きになるときって、その人のことをめちゃめちゃ観察しますよね。こんないいところがあって、あんなことに喜んで、こんなことには疲れちゃう……とか、常にアンテナを張ってしっかり見ていると思うんです。

でも、自分自身のことは、ほとんどの人が見ていない。意識していないんですね。だから、自分を好きになるセルフラブの第一歩として、まず自分をよく見て、よく知ってほしい。どんなことが好きで、どんなことで幸せになるのか。
自分に興味を持って、“自分の幸せの形”に目を向けてみることから、始めてみてほしいなって思います。」

環境は変えられなくても、世界の見方は変えられる

誰かにやさしくするように、自分にもやさしくしてほしいと藤野先生。どうにも満たされないと感じていたり、生きづらさを抱えていたりするようなときこそ、自分に目を向けてほしいとおっしゃいます。

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藤野先生 「生きづらいと認識しているのは、自分の脳なんです。まわりの環境は変えられないけれど、自分の生き方、考え方で世界の見え方は変えることができます。

自分の幸せの輪郭がしっかりしていくと、これまで満たされないという思いを抱えていた人も、どうしたら幸せになるのか、次第に見えてくるかもしれませんよ。」

「自分のために生きる覚悟をすると、すごく楽しくなっていく」と藤野先生。誰かのためにがんばりがちなアラフォー女性こそ、自分自身のことにも目を向けていきたいものですね。

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