教えてくれたのは……小林青果株式会社
創業以来70年以上にわたり、北九州中央卸市場にて青果の生産者と小売店舗のバイヤーを結ぶ仲卸業を営む小林青果株式会社。九州各県だけでなく、全国各地から旬の食材や特性の強い商品を仕入れ、お客様へお届けしている。安全で安心できる食品の提供はもちろん、作り手の思いや熱量、消費者の期待、販売店の信頼を大切にしている。
玉ねぎの栄養アップを狙うなら「細かく切って放置」が正解!
玉ねぎには、アリシンという抗酸化物質が含まれています。
このアリシンは、玉ねぎの細胞が傷ついたときに生成される防御物質で、血液をサラサラにしたり、免疫力を高めたりする効果があります。アリシンは加熱すると分解されてしまうため、生の玉ねぎにしか存在しません。
このアリシンをより多く摂るためには、「玉ねぎの切り方」がポイントになります。
玉ねぎは切ることで、細胞が傷つきやすくなり、アリシンの生成量が増えます。特に、細かく切るほどアリシンの量が多くなるため、栄養アップを狙うなら細かく切るのが◎です。
切った後はすぐに食べるのではなく、10分ほど放置しましょう。アリシンが安定化し、効果が持続します。
おいしい食べ方と正しい保存方法
切った玉ねぎは、サラダやスープなどに加えると、栄養豊富においしく食べられます。食べるときは、口臭予防のためにミントやパセリなどを一緒に摂るのがおすすめです。
切った玉ねぎは酸化しやすいので、冷蔵庫で保存する場合はラップに包んで空気に触れないようにしましょう。
ほかの野菜も“ひと手間”で栄養アップ
玉ねぎ以外にも、ひと手間で栄養をアップできる野菜があります。簡単な方法なので、ふだんの食事作りに役立ててくださいね。
にんじん
にんじんは、β-カロテンを豊富に含む野菜です。
β-カロテンは体内でビタミンAに変換され、目や皮膚の健康をサポートする働きがあります。しかし、生のにんじんでは β-カロテンの吸収率は約5%程度と低くなってしまいます。
◆にんじんの栄養アップのためには……?
切ってゆでると、細胞壁が壊れてβ-カロテンが水に溶け出します。この水を捨てずに飲むか、冷凍すると3日後くらいにβ-カロテンが2倍に増えるという研究結果があります。
きのこ
きのこは、食物繊維やミネラル、ビタミンB群などを含む低カロリーな食材です。
きのこには旨み成分のグアニル酸やアミノ酸が多く含まれていますが、生のままではこれらの成分は水溶性ではありません。
◆きのこの栄養アップのためには……?
きのこは冷凍することで細胞壁がこわれ旨味が3倍にアップ。食べるときは解凍せずに凍ったまま料理に加えて加熱調理しましょう。
切った野菜の栄養価をキープする「正しい保存方法」
栄養価をキープするためには、保存方法も大切です。最後に、切った野菜の正しい保存方法をご紹介します。
冷蔵保存の場合(保存期間の目安:3~4日以内)
切った野菜は買ったら早めに食べるのが理想ですが、すぐに食べられない場合は冷蔵庫の冷蔵室に入れて保存しましょう。野菜室よりも温度が低い冷蔵室の方が傷みや変色を防げます。
空気に触れさせないように、密閉できる袋や容器に入れて保存することも大切です。表面の水分は拭き取っておきましょう。
冷凍保存の場合(保存期間の目安:1か月ほど)
生で食べたいレタスや白菜などの葉物野菜は食感が悪くなるため、冷凍保存に向きません。
冷凍保存に適した野菜は、根菜類や小松菜などの青菜です。
冷凍する前に、切ってからブランチング(短時間で加熱すること)しておくと、栄養価をキープできます。1回ずつの量に分けて小分けにして冷凍保存しましょう。切って冷凍した野菜は、解凍せずにそのまま調理に使ってください。
野菜の栄養を逃さず、おいしく食べるためには「切り方」「調理方法」「保存方法」が重要なポイント。健康的な食事を楽しむために、ぜひ取り入れてみてくださいね!