教えてくれたのは……心理カウンセラー・気功師範 佐藤城人さん
過去にアルコール依存症を患った経験があり、克服する過程で40代に再度大学に入学、心理学と出会う。
インナーチャイルドを抱える方々を中心に、これまで10年間で約5000名様の悩みをサポート。特製タロットカードやカラー&アートセラピー・NLPを取り入れたセッションを得意とする。2019年(令和元)カウンセラーを養成する一般社団法人インナークリエイティブセラピスト協会を設立。
ストレスの軽減に取り入れる「マインドフルネス」
私は心理カウンセラーをしており、お会いするクライアントの方はストレスフルな状態の方がほとんどです。不安などのマイナスの感情に、今にも押しつぶされそうな状態になっています。そこで、希望される方とは「マインドフルネス」に取り組んでいます。
近年、「マインドフルネス」が流行っていますよね。アメリカのGoogleやAppleなど、多くの企業が研修プログラムとして導入しており、社員のストレス軽減や集中力の向上などを目的におこなわれています。
そのマインドフルネスのキーワードは、「今ここ」。
“今この瞬間”に意識が向いていない場合、ストレスフルで集中力が低下している状態と言えるかもしれません。幸福への近道は、「今ここ」にありそうです。
「今ここ」とは?
「今」とは
過去でも未来でもなく、「今現在」のことです。
過去や未来にばかり、意識が向く人はいませんか? よく「過去と他人は変えられない」と言うように、過去の出来事は、どれほど頑張っても変えることができません。また、未来を100%予測することもできません。ということは、私たちにできることは、まさに「今」に意識を向けることなのです。
「ここ」とは
「ここ」=自分自身です。
例えば、周囲の期待に応えようとして、無理を重ねた状態。相手の感情に巻き込まれ過ぎて、疲れ切った状態。このような状態のときに「私はここに居る」と言えるでしょうか?
相手に合わせることや共感することも大切ですが、必要以上に反応してしまうと、自分を見失ってしまいます。
「今ここ」に生きるとは
私は元々アルコール依存症を患った過去があり、精神病院に入院をした経験もあります。断酒をして25年経過していますが、あの当時は「今ここ」に居ませんでした。
入院している中で「過去の出来事は変えられない。しかし、過去の受け止め方を変えることならできる」と気づき、その経験を生かす発想が持てたからこそ、今の仕事に就くこともできたのでしょう。
心理学者アドラーの言葉に「不完全な自分を受け入れる」とありますが、頭では理解できても、実践するとなると難しいと感じる方も多いと思います。
親や周囲が、あなたに「100点満点の姿」を期待していると仮定します。これに対して「私は私でありたい」と願うあなたの姿。
この2つを比較すれば、どうしても後者の方が不完全となってしまいます。
小さい頃から、親の期待に応えようと頑張ってきた自分がいるかもしれません。しかし、そろそろ「私は私」と考えてみてはいかがでしょうか。
不完全な自分を受け入れるための一歩として、「自分の人生の主人公は自分」と捉えてみることから始めてみてくださいね。
マインドフルネスの考え方で「これだけ」は押さえておきたいこと
マインドフルネスの考え方で、1点だけ押さえていただきたいポイントがあります。
それは、「今ここを否定しない」ことです。幸せになりたいと願うことはOKですが、そこで「今がダメだから」と捉えないようにしてください。
ブッダの言葉に「幸福への道は無い。幸福こそが道」とありますが、これは「今この瞬間に幸せは存在する」という意味です。今、見つけることのできない人が、将来に見つけることができるのでしょうか?
過去や未来ではなく「今」、他者や周囲ではなく「ここ」。このように意識を向けてみると、幸せな気持ちになれることでしょう。
幸福感とは、見つけることではなく、感じること。そのためのキーワードが「今ここ」です。
そして、「今ここ」の捉え方も、正解はひとつではありません。さまざまな考え方があってOKだということを心に留めておいていただけたらと思います。