教えてくれたのは……仁田友香(にった ゆか)さん
管理栄養士専攻大学卒業後、キユーピー株式会社に入社。入社後は研究開発本部にて、病院施設向けの病者用食品及び高齢者向けの商品延べ100品以上の開発に従事。現在は外部と連動した食と健康の発信、また自治体向けの講演活動、資料作成等、社内外に向けて食と健康に関わる活動を推進中。
意外と知らない【小松菜の3つのメリット】
今年の夏は連日続く猛烈な暑さにより、身体の疲れや怠さを感じている方も多いと思います。
「小松菜」は、身近な野菜として多くの方がふだんから何気なく食べていると思いますが、じつはカルシウムやカロテンなど、疲労回復の効果が期待できる栄養素が多く含まれる野菜なのだそう。サラダとして取り入れるのがおすすめです。
管理栄養士の仁田さんに、小松菜を摂取するメリットについて詳しくうかがいました。
1.栄養価が高い
小松菜は、「カルシウム」や「鉄分」、「ビタミン C」「カロテン」などを多く含み、栄養素が高い食材です。
特に、「カルシウム」は100gあたり約170mg含まれており、野菜の中でもカルシウム含有量がずば抜けて多いのが特長です。
2.価格が安定
天候不順などの影響で多くの野菜の価格が高騰している中、小松菜は比較的価格が安定しています。栽培期間が短く、さまざまな環境に適応できるため、天候などの外部環境に左右されにくい食材です。他の野菜に比べ低価格なため、お財布に優しくおすすめです。
また、地産地消の地域も多く、保存性にも優れているので、廃棄率も少ない“サステナブル”な野菜です。生産量は年々増加し、ニーズが高まっていることが分かります。
3.料理が簡単
茹でたり炒めたりするイメージが強い小松菜ですが、じつはアクの成分であるシュウ酸が少ないため、下茹でせずにそのまま調理して食べることができます。とくに暑いこの時期は、火を使わずに調理できるのもうれしいポイントです。
夏バテに効果的な栄養素
ビタミンB1・B2
【主な食材】豚肉、うなぎ、大豆、ほうれん草、レバー、みそなど
ビタミンB1は、摂取した糖質をエネルギーに変える体の活力になる栄養素です。
ビタミンB2は、脂をエネルギーに変換する働きがあります。
ビタミンC
【主な食品】キウイフルーツ、レモン、パプリカ、ブロッコリーなど
コラーゲンの生成に役立ち、細胞の結合や、皮膚や血管、骨を丈夫にしてくれます。体内での生成ができないため、食事などで摂取する必要があります。
クエン酸
【主な食品】梅干し、レモン、みかん、お酢など
エネルギーを生み出す際に重要な役割を果たしている成分です。疲労回復にも役立ち、疲労の原因となる乳酸の排出を助けてくれます。
ミネラル
【主な食品】ナトリウム(食塩)、カリウム(果物)、カルシウム(乳製品)、マグネシウム(海藻)、鉄(レバー)、亜鉛(煮干し)など
体内で合成できないので、食べ物からとる必要があります。発汗により失われやすいので、夏はこまめに摂取するのがオススメです。
「小松菜」に含まれる夏バテ対策に効果が期待できる主な栄養素
カルシウム
100gあたり約170mg含まれ、ほうれん草の3倍以上と言われています。強い歯や骨をつくるだけでなく、筋肉の収縮や神経を安定させる作用もあります。
鉄分
100gあたり約2.8mg含まれており、貧血予防に効果があります。たんぱく質やビタミンCと一緒に摂取することでより効果が期待できます。
カリウム
100gあたり約500mg含まれ、過剰になったナトリウムを排出し、高血圧やむくみの解消に役立ちます。
ビタミンC
100gあたり約39mg含まれ、抗酸化作用に寄与します。熱に弱く水に溶けやすいため、生で食べることでより効果が期待できます。
βカロテン
紫外線、喫煙、ストレス、飲酒などから発生する活性酸素から体を守り、老化や生活習慣病を防いでくれます。
気象庁の発表によると、今年は9月になっても平均気温が高く、残暑が厳しくなる見込みです。
暑さによる身体へのダメージを軽減するためにも、ぜひ毎日の食卓の中でサラダとして積極的に小松菜を取り入れてみてくださいね。