夏休み明け「学校に行きたくない」…。子どもの“ヘルプサイン”の見分け方

家族・人間関係

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2024.08.23

臨床心理士・公認心理師のyukoです。今も昔も、夏休みの終わりは子どもにとって口惜しいもの。夏休み明け、子どもが「学校行きたくない」と言ったとき、どのように関わればよいのでしょうか? 子どもが発する「ヘルプサイン」を見逃さず、どのように向き合うべきかを考えていきます。

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「学校行きたくない」と言われたらどう応じるのが正解?

もうすぐ新学期。下の子は「みんなに会えるの楽しみ」と元気に過ごしている一方、上の子は暗い表情。今までも休み明け前は落ち込みやすい子だったから、今回もなんとなく憂鬱なだけかな?そう思っていたら、始業式目前の日に「学校行きたくない」と言い、準備も全くしない様子。ただ嫌だと言ってるだけ?それとも本当に行かないのかな?どう対応すればいいんだろう。

悩む母親出典:stock.adobe.com

GW明け、夏休み明けは登校を拒否する子が最も増える時期。
深刻度は様々で、「行きたくないなあ」と口にするも、行ってみたら楽しく過ごせる子もいれば、ずっと抱えていた欝々とした気持ちをやっとの思いで口にしたような子も。後者の子の場合は、まずは気持ちを口にしてくれたことを受け止め、しっかりと話を聞き、時間をかけてケアしていくことが求められます。

しかしわが子がどのくらい深刻な様子で言っているのかを見分けるのはなかなか難しいもの。
危険信号の見分け方と支え方について考えていきます。

「行きたくない」の見分け方

青信号→話を聞いたらすっきりして気持ちが変わる

夏休み明け、登校を心底拒否しているわけではなくても、学校に行きたくないと言う子は多くいます。

  • 夏休みの自由な時間が過ごしやすかった。
  • 宿題が終わっていない。
  • 家族といる時間が長くて嬉しかった。

休暇を楽しむ家族出典:stock.adobe.com

普段とは異なるゆっくりとした時間を過ごすのが楽しく、終わるのが惜しいなあという気持ちから、学校に行くのが憂鬱になる子も多いんですね。まずはどうしてそう思うのか理由を尋ね、憂鬱な気持ちを受け止めてあげられるとよいでしょう。そして、夏休みの思い出を振り返ったり、残っている宿題の見通しを立て、また次の楽しみを計画するなどして背中をポンと押してあげられるとよいですね。

黄信号→学校の話になると少しテンションが下がる

新学期の準備に乗り気でなかったり、学校の話題になると少しテンションが下がるような子は黄色信号。理由を言える子もいれば、もやもやした気持ちを言葉にできない子も。無理に話させるのはよくないですが、学校の話をタブーにしてしまうと余計に言いづらくなってしまうことも考えられます。

「落ち込んでいることについて話せそうなタイミングで、話せる範囲で話してくれたら嬉しい」と伝え、様子を見守っていくのが必要です。できれば他の家族とも、あまり無神経に踏み込みすぎないことや、何か理由を聞いたら共有してほしいことなど、対応について話し合えるといいでしょう。

赤信号→学校の話はできない雰囲気、欝々としている様子

明らかに表情が暗く、夏休みの終わりが近づくにつれ鬱々とした様子が見られたら、赤信号に近いかもしれません。特に、こんな様子には要注意。

  • 好きなことも楽しめなくなっている
  • 食欲の低下、または普段より食べ過ぎている
  • 夜寝つきが悪い、朝早くに目が覚めている

助けを求める子ども出典:stock.adobe.com

ただ夏休みが楽しかっただけであったり、学校が面倒と感じている程度でしたら、このような様子にはなりません。体重の増減や睡眠に著しい変化や問題が見られた場合は、医療機関の受診も視野に入れてください。判断が難しい場合は、学校の先生やスクールカウンセラーに相談するとよいでしょう。

学校に行く・行かないの問題ではなく、まずはその子が安心した環境でのびのびと生活できるのが第一。新学期が始まってからも、学校に行ったから大丈夫、行ってないから大丈夫ではない、という軸ではなく、日常生活全体に目を向けていくのが大切です。

まずは子どものヘルプサインを理解して、気持ちをキャッチしていけるといいですよね。

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著者

yuko

yuko

臨床心理士・公認心理師。現在は小児の総合医療センターと大学の心理教育相談センターにて勤務。児童期から思春期の子どもへのカウンセリングやプレイセラピー、子育てに悩む保護者の方への育児相談を専門にしています。色彩心理学やカラーコーディネートについても学んでおります。

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