教えてくれたのは……Confinkle Business Studio合同会社 石守芽以さん
オランダ在住の心理カウンセラー&人事コンサルタント。女性と子どものメンタルヘルスの専門家として、様々な企業や学校においてカウンセリングやコミュニケーション研修等を行っている。一児の母であり、仕事と家事・育児の両立に奮闘中。趣味は愛犬の散歩。
「話したいこと」「話したくないこと」は相手によって異なることを知っておく
話題の内容によっては相手を不快にしてしまうケースもあるため、話題選びには慎重さが必要なのだと石守さんは言います。具体的に、どのような内容に気をつけるとよいのでしょうか。
石守さん:容姿や学歴、年収などは、知らぬ間にコンプレックスに触れてしまう可能性があるため、避けたほうが無難です。未婚・既婚、子どもの有無なども、相手の状況やタイミングによっては、触れてほしくない話題かもしれません。相手との普段のコミュニケーションで話さないような話題にわざわざ触れるときは、注意しましょう。
具体的に挙げると、あまり仕事以外の話をしない同僚にプライベートに関する話題を振る、子どもの話が中心のママ友に対して職業や役職を尋ねるなどです。自分にとって楽しい話題でも、相手も楽しめるとは限りません。恋バナなどは最たる例でしょう。手っ取り早く盛り上がる話題と思われがちですが、放っておいてほしい人も一定数いることに留意しましょう。
このように述べると安心して話せる話題がないように感じてしまいますが、話したいこと・話したくないことは相手の性格や立場、関係性によって変わります。聞いてみないと分からない場合も多いですよね。話題に対して相手が困った表情を見せるなど乗り気ではないようなら、粘らずに話題を切り替えるほうが賢明です。
「相手のため」と、アドバイスするときに気をつけるべきポイント
話していて「相手のために」と思い、アドバイスしたくなることもあるのではないでしょうか。石守さんによると、その際には「3つのポイント」を意識することが大切なのだそうです。
1.相手の表情を見ながら話す
石守さん:相手が明らかにムッとしていたり、顔を背けたりするような様子があれば、中断して相手の話を聞くようにしましょう。
2.自分の価値観を押しつける発言は控える
石守さん:良かれと思って言った言葉が、相手を追い詰めたり、関係を悪化させたりすることもあります。配慮に欠けた言い方や、相手がアドバイスよりも話を聞いてほしかっただけの場合、そのような事態になりがちです。「~すべき」「~しないとダメ」といった自分の価値観を押しつける発言は避けましょう。
一方的な言い方は相手にプレッシャーを与え、不快感や不信感につながりやすいため要注意。「~することは難しそう?」「~はどうかな?」など、相手に選択権を渡す言い方が望ましいです。
3.まずは、しっかりと相手の話を聞く
石守さん:相手がアドバイスを聞けるような状態であるかどうかも、ポイントになります。まだ気持ちの整理がついていないときに具体的なアドバイスをしても、なかなか響きません。自分が悩んでいるときに、友人が共感・肯定してくれると「分かってもらえた」と嬉しくなるのと同じことです。まずは、しっかり話を聞く姿勢をもつことが大切です。
たとえ気をつけていたとしても、自分の発言で相手を傷つけてしまうこともあるかもしれません。そのときは、どのような対応が適切なのでしょうか。次回の記事では「良好な人間関係を築くためのコツ」について、ご紹介します。