教えてくれたのは……川谷 潤太さん
株式会社脳レボ 代表取締役/講演家。脳科学や大脳生理学、バイオフィードバックなどをベースに、企業の人材育成、子どもや保護者の受験指導、スポーツチームやプロ野球選手などアスリートへの指導で、数々の奇跡といわれる実績を残しており、全国から問い合わせが殺到。講演家として講師デビュー7年で講演回数1,300回、受講者は10万名を突破している。
人間関係がうまくいかなくなる原因
子育て世代の多い40代前後の女性が職場や友人関係でうまくいかない原因は、どのようなケースが多く見られるのでしょうか。これまで多くの方の悩みに対して寄り添ってきた川谷さんに伺いました。
川谷さん:人間関係がうまくいかなくなる原因は、個々の環境や状況の違いに大きく影響されます。例えば、子育て中の既婚女性と未婚の女性では、悩みや価値観が異なるため、育児に関する話題が理解されにくいこともありますよね。
育児をしている人は、日常生活や職場で助けを求めることが多くなるかもしれませんが、感謝の気持ちを示さなければ、相手は疲れてしまいます。相手の努力を認めることや、感謝を伝えることを含めた日常的なコニュニケーションが欠けてしまうと、関係を悪化させてしまうことになるのです。
ほかには、金銭感覚の違いもトラブルの元です。経済的に余裕のある友人とそうでない友人との間で、お金に関する価値観の不一致が摩擦を生むことも考えられるでしょう。
人間関係がうまくいかない人が無意識にやりがちなNG行為や発言
職場や友人関係で人間関係がうまくいかない人は、無意識にやってしまいがちな行動や発言をしている傾向があるとのこと。その背景には、自分自身の過去の経験や相手を安易に理解したいという“思考と行動のクセ”が一因になるのだと、川谷さんは言います。大きくわけて「3つのポイント」があるそうです。
1.「比較する」こと
川谷さん:比較することは、ほとんどの場合、相手を嫌な気持ちにさせて人間関係に悪影響を及ぼします。子どもの頃から他人や兄弟と比較されることが多い経験をしていると、大人になってからも無意識のうちに比較してしまいがちです。
比較して褒められることがあるとします。これは一時的には嬉しい気持ちになりますが、他人より優れていることに価値をもつことになるため、今度は褒められた人が「他人との比較」にフォーカスした見方をするようになる可能性があります。うまくいく人は、ポジティブな面でもネガティブな面でも、人を比較する表現は避けています。
2.「一括りにする」こと
川谷さん:「あの人は〇〇なタイプ」と決めつけるなど、世代や性別に基づいて一括りにしてしまうことは、相手のことを安易に整理してしまっています。具体的にいうと、「男だから」「女だから」「高卒だから」「大卒だから」「最近の若い人は」などが挙げられます。相手を“一人の個人”として認識していないと、相手の気分を害する可能性があるのです。
3.「もらってばかり」な状態であること
川谷さん:うまくいっている人は、「ギブ&テイク」のバランスを意識し、相手への感謝の気持ちや小さな気遣いをすることで、信頼関係を深めています。うまくいかない人は、このような気遣いが少なく、相手からもらうということに偏ってしまっている可能性があります。
こちらも「比較」と同様に、子どもの頃から親に与えられることが多い経験をしてきたことが一因として考えられます。大人になってからも、無意識のうちに相手からもらうことに対して罪悪感をもたない傾向があるのです。
うまくいかないときには、自身を振り返ってみることも大切
最後に、人間関係がうまくいかないと感じているときの対処法について教えていただきました。
川谷さん:まずは、自身の発言に「比較」や「一括りする」思考が入っていないかを振り返ることが大切です。長い目で見たときに、これらの発言を減らすことは良好な人間関係を築く上で有効です。
一括りにしてしまうことへの対処法としておすすめなのが、関係性を良くしたいと思う人を、まずは一人からで良いので、その人が何に関心をもっているのかを知ることです。例えば、「子どものこと」や「甘いものと辛いものどちらが好き」など、相手が関心をもっていることに意識を向けてみましょう。相手を理解することで、一括りにしてしまうクセから抜けられるようになります。
「もらってばかり」ということに対しても、「相手の興味に合った話題で話しかける」「相手の好きなものをお土産に買っていく」など、相手が喜ぶ行動を心がけることで、人間関係の改善につながります。ただし、そのためには、日常の「挨拶」や「声かけ」を怠らないことも忘れてはいけません。
次回の記事では「人間関係がうまくいく人の行動のコツ」について、ご紹介します。