年ごろのわが子。子どもが「何を考えているかわからない」時の関わり方

家族・人間関係

stock.adobe.com

2024.12.12

臨床心理士・公認心理師のyukoです。問題行動が起きて相談に来る親御さんの多くから「最近子どもが何を考えているかわからない」という言葉をお聞きします。成長につれて知らないことが増えていくのは当然ですが、最低限把握しておきたいことや見守っていたいことについて考えていきます。

広告

今まで何も問題のない子だったのに。

中学2年の息子。最近親の財布からこっそりお金を抜いていることがわかり、よくないことだときつめに叱った。「お金が足りないなら言って」と伝えたものの、以降は何も言ってこず。お金を何に使ったのかもよくわからないまま終わり、今何を考えているのかもよくわからない。中学に入り学校の出来事も話さなくなったけど、年齢的に普通なのかな?

悩む夫婦出典:stock.adobe.com

小学校高学年から中学あたりになると、家庭内での口数が減り、子どもが何を考えているのかわからなくなる親御さんは多いよう。
特に、これまで聞き分けよく過ごしていた子が問題行動を起こしたり、家では見せない姿を外で見せていたと知ったとき、親は動揺しやすくなります。

子どもが何を考えているのかわからなくなったとき、どの程度踏み込んで関わっていくべきか、年齢を考慮してそっとしておくのがよいのか。難しい時期の子どもとの関わり方を見直していきます。

どこまで干渉する?どこから放任する?

子どもについて知っておきたいこと

最低限把握しておきたいこととしては、健康状態があげられます。
健康状態といっても、風邪をひいていないか、病気をしていないかだけではありません。
食事の量は変わりないか、成長に応じて増えているか、睡眠の質は保たれているか。
特に夜の時間を自室で過ごすようになると睡眠リズムについては把握しにくくなるので、朝の声かけによって確認できるといいですね。

学校で大きな問題がないかについても知っておきたいところ。
学校行事や部活動、クラスの様子や学習状況について、時折声をかけて様子を知っておけるといいでしょう。

キッチンで話す親子出典:stock.adobe.com

また、SNSの使い方や学校外の友人、先輩との付き合い方については要注意。
親の目が届きにくく見逃しやすいからこそ、トラブルが起きる前の対策が必要です。
時間帯問わずスマホを手放せなかったり、夜間に外出したがるなどはしっかりと注意するのも大切。
利用しているSNSなどについては、雑談の中で日常的に触れていけるとよいでしょう。

子どもと距離をとり見守りたいこと

趣味や好きなことについては、詳細に知りすぎなくても問題ありません。
特に、読んでいる本や聞いている音楽、検索ワードなどは子ども個人の繊細な感情が反映されていることもあります。本人から語りたがらなければ、見守っておくのがよいでしょう。

友人関係についても、本人が困っていなさそうであれば口を出す必要はありません。
子どもの口や噂話から、友人の素行に関する情報を耳にして心配に思う場合は、付き合い方や距離感について少し話題を振りつつ、見守っていけるとよいでしょう。

この時期、親に対する態度や感情の起伏に親が反応しすぎるのもおすすめしません。強い口調や不適切な言葉をかけられたとき、注意したり、叱ったりするのはもちろん大切です。

しかしそこから「うちの子の性格はよくない方向に変わってしまっているのでは」と不安に思いすぎる必要はありません。一時的な感情の揺れや親に対する反抗的態度は子どもの成長にとって重要な過程といえます。

「この時期がきたか」とおおらかに構えていけるといいですね。

大切なのは、心の扉をノックする関わり

「あんた何考えてんの?」「はっきり言わないとわからないでしょ」と伝えても、心を閉ざす一方。
イメージとしては、扉をこじ開けようとするのではなく、ノックするような声かけが求められます。

子どもが何を考えているかわからないと不安になり、感情的になってしまうとつい「黙ってないでなんか言って」などと言ってしまいます。
しかし無理に聞き出そうとしたり、感情的に関わってしまうと、余計に何も言えなくなってしまう子が多いです。かといって、「何を言っても無駄だから」と割り切って諦めると会話は少なくなってしまう一方。

大切なのは、根気強く声をかけ続けることです。
「話したくなったら教えてね」「どんな〇〇でも大丈夫だよ」など、折を見て声をかけておくことが後の関係性に繋がります。

笑顔で話す親子出典:stock.adobe.com

また、一見無意味に思えるような何気ない雑談もできる限り絶やさないほうがよいでしょう。
テレビやゲームの話、ご飯の話など、どんな話でも一日数分でも会話をするのが大切です。

子どもの口数が少なくなっても、心の繋がりは維持しながら親子ともに成長していけるといいですよね。

広告

著者

yuko

yuko

臨床心理士・公認心理師。現在は小児の総合医療センターと大学の心理教育相談センターにて勤務。児童期から思春期の子どもへのカウンセリングやプレイセラピー、子育てに悩む保護者の方への育児相談を専門にしています。色彩心理学やカラーコーディネートについても学んでおります。

気になるタグをチェック!

saitaとは
広告