教えてくれたのは……山田恭司さん
旭化成ホームズ株式会社 LONGLIFE総合研究所 主任研究員。一級建築士、防犯設備士の資格を保持している。
じつは、侵入リスクが多い「窓」
前回の記事では、侵入窃盗や、闇バイトなどの「匿名・流動型犯罪グループ強盗犯罪」に狙われないためには、録画機能つきのインターホンでの非対面の対応や防犯カメラを取り入れるなどして防犯意識の高い家だと示す重要性などを山田さんに伺いました。
へーベルハウスの15年間にわたる調査によると、シャッターが閉まっている窓や面格子がついている窓であれば侵入被害は少ない一方で、シャッターが開いている窓や面格子がない窓の侵入は多く、小さな窓であっても侵入リスクがあることが分かっています。また、面格子つきの窓を開けたままで侵入されたケースでは、9割が浴室の窓からの侵入であることも判明しています。
山田さんは、「有効45cmの開口部があれば人の肩が通り抜けられるため注意が必要だ」と指摘しています。特に地面から低い位置にある窓は割りやすく入りやすいため、侵入のリスクが高いこともわかっているそうです。
空き巣や強盗を入らせないための「窓にできる5つの対策」
空き巣や強盗を入らせないためには、“窓を強化すること”がポイントになるのだと、山田さんはおっしゃいます。今回は、窓にできる5つの対策を教えていただきました。
1.出かける時や就寝時はシャッターを閉める
山田さん「侵入者を入らせないためには、窓を強化して侵入までの時間をかけさせることが重要です。前回お話しした狙われないための4つの対策の1つ、“シャッター、窓の戸締り習慣をつける”ことは入らせないための対策にもつながります。」
2.防犯ガラスに変える・防犯フィルムをつける
山田さん「シャッターや面格子がない窓であれば、防犯ガラスに変える、または防犯フィルムをつけることをおすすめします。ガラスとガラスの間にやわらかいフィルムを挟んだものが防犯ガラスです。普通ガラスや網入りガラスは、窓に穴を開けて手を入れ、鍵をあけて侵入する被害が多いため、フィルムを入れることで簡単には穴が開けられず、侵入に時間がかかるようになります。後から貼るタイプのフィルムもあり、その場合は部分張りではなく、全面張りを検討してください。フィルム貼りは、性能を担保するために認定品を専門店で施工することをおすすめします。
国が認定した防犯性能の高い建物部品(防犯試験で5分以上の侵入を防ぐ試験に合格したもの)には、緑色の“CPマーク”がつけられています。“CPマーク”のシールのあるものを選び、対策しましょう。」
※施工の可否は、窓の仕様などによって異なります。
3.補助鍵をつける
山田さん「後づけ可能な市販の補助鍵などをつけ、ツーロックにすることをおすすめします。侵入者は穴を2か所開けることになるため、侵入までの時間を稼ぐことができます。
補助鍵は手が届くのであれば窓の上につけることが望ましいです。肩から上の場所につけると、侵入者の腕力は弱くなるため、こじ開けるのに時間がかかります。突起タイプの補助錠にすると、サッシを傷めにくいうえにこじ開けにも強いです。」
4.二重サッシにする
山田さん「リフォームになるため費用はかかりますが、内側の窓枠にもう一つサッシを施工して二重サッシにする方法もあります。内窓を防犯ガラスにすると、ガラス強化もツーロックもできるうえに断熱性も向上します。」
5.鍵の正しい使い方を知る
山田さん「窓に“ストッパー付きクレセント”や“サブロック”がついているのに使っていない方は、今すぐ活用していただきたいです。
防犯ガラスではガラスに小さな穴を開けてドライバー等で鍵のレバーを押し開錠される手口が多いですが、ストッパーを下げておくだけでレバーが動かなくなります。また、サッシ下のサブロックをオンにしておくことで窓のストッパーになります。窓についている鍵の正しい使い方を改めて確認しておきましょう。」
「家に入らせない」対策に加えて「自宅の敷地に入らせない」ことも重要なのだと、山田さんはおっしゃいます。次回の記事では「敷地に入らせないための対策」について、ご紹介します。
※画像はすべてイメージです。
◆第1回「狙われやすい」:侵入されやすい家には共通点があった。「狙われやすい家」“4つの特徴”
◆第2回 「狙われない」:空き巣や強盗に狙われないための“4つの対策”