「自分の容姿に悩むわが子」へつい言ってしまいがちな“NGワード”と適切な関わり方

家族・人間関係

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2024.12.19

臨床心理士・公認心理師のyukoです。小学校高学年くらいからダイエットや美意識に目を向け始める子が増えています。目が小さい気がする、くせ毛が気に入らない、もっと痩せないといけない。親としては気にならないししっかり食べてほしいけど、ときにその愛情がすれ違いを引き起こすときも。容姿に悩む思春期の子との付き合い方を考えます。

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「整形したい」とつぶやく娘を見て心配に。

SNSやTVの影響からか、「自分の顔が好きじゃない」「もっと目がぱっちりしてたらな、整形したいな」などと言うようになった中2の娘。クラスの子と自分を比較していたり、食べる量を制限し始めたりする様子も気になる。自分の容姿に自信がない娘に対してはどう声をかけたらいい?

鏡を見る女子高生出典:stock.adobe.com

思春期になると、かつての無邪気さが消え、周囲の目を気にしたり自身のコンプレックスを感じ始めたりするもの。そんなとき、親はどう声をかけていくと子どもの支えになるのでしょうか。

親の愛情ゆえに、つい言ってしまいがちな言葉が子どもの心を余計に傷つけてしまうこともあります。避けておきたいNGワードを例に挙げ、子どもの悩みに寄り添う対応を考えてみます。

親がつい言ってしまいがちなNGワードとは?

「何がそんなに不満なの?」

子ども本人の悩みといっても、親から受け継いだ容姿にコンプレックスを感じている様子を見ると、感情的になるときもあるかもしれません。
また「こういうところが似てしまってごめんね」などの申し訳なさを感じる親御さんも。
親子を繋げて考えすぎると、親自身が否定されている気持ちになり、子どもに対して余裕をもった声かけができなくなってしまいます。

まずは、親子といっても子どもの体は子どもだけのものであり、遺伝はあったとしても子ども自身が付き合っていくものだと割り切るのが大切。
まずは思春期特有の繊細さや難しさを理解したうえで、子どもの悩みに向き合えるといいですよね。

「そのままが一番かわいいよ、何もしなくて大丈夫」

多くの方が、子どもは子どもらしく着飾らないのがかわいいと感じるでしょう。
中には、「変に着飾らないでほしい」「そのままでいてほしい」という親の気持ちから、メイクやおしゃれを頑張る子に「そんなの変だよ、似合わないよ」と声をかけてしまうケースも。

叱る母親出典:stock.adobe.com

しかし、子どもが過ごしている世界での「かわいい基準」があるので、大人の言葉は耳に入らないもの。憧れに近づくための努力を否定されると、傷ついたり反発心を抱いたりしてしまいます。

なので、わが子にとっての「かわいい」や「憧れ」を否定せず、理解するのも重要になってきます。
「そのままでも十分だと思うし、好きな自分に近づくのもいいと思う」というメッセージを言葉を選びながら伝えていけるといいですよね。

「誰もそんなこと思ってない、気にしすぎだよ」

思春期は自分がどう見られているかを強く意識する時期。
フォローのつもりであっても、自意識過剰と言ってしまうと子どもは傷ついてしまいます。

人は、周囲と比べたり、周囲からどう見られているかを気にしながら、少しずつ自分を認めていくもの。その過程をどう過ごすかは子ども本人の選択であり、結論を押し付けるのは適切ではありません。

悩める期間をそっと見守っていけるとよいでしょう。

親が正解を提示する必要はない。

わが子が少しでも楽しい毎日を送ってほしいと願う親心はもっとも。
「子どもに合った情報を見つけてあげなければ」と感じたり、「こうしたら? ああしたら?」と言いたくなるかもしれません。

たしかに子どもが悩んでいるときに相談に乗ってあげるのは大切ですが、先回りして答えを提示する必要はありません。

親から見て「それ正解?」と思うような方法であっても、子ども自身が試行錯誤して考えて、そのときの最適解を見つけるのもひとつの成長といえます。
まずは子どもの選択を見守り、必要に応じて手助けしてあげられるとよいでしょう。

例えば、

  • アイプチをして学校に行くようになったのはいいものの、瞼が荒れ始めている。
  • くせ毛を直すために何度もアイロンを通しているので髪が傷んでいる。

笑顔で話す親子出典:stock.adobe.com

このようなときは、低刺激のものを一緒に探したり、ヘアケアのスプレーを併用するなどのフォローがあるとよいかもしれません。

コンプレックスとの付き合い方に一般的な正解はなく、子ども自身が時間をかけて折り合いをつけていく必要があります。
子どもが「まあ、悪くないかな」と思えるくらいの塩梅を見つけていけるといいですよね。

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著者

yuko

yuko

臨床心理士・公認心理師。現在は小児の総合医療センターと大学の心理教育相談センターにて勤務。児童期から思春期の子どもへのカウンセリングやプレイセラピー、子育てに悩む保護者の方への育児相談を専門にしています。色彩心理学やカラーコーディネートについても学んでおります。

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