大人は子どもを勝手に解釈しがち。子どもを「観察する力」が大切なワケ

家族・人間関係

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2025.01.29

子育てをするうえで、何がもっとも大切だと思うでしょうか? きっと10人の親がいれば10通りの解答が出るでしょう。今日はぜひ、その大切なことのひとつに「観察する力」を加えて欲しいと思います。

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「観察する力」とは?

観察する力出典:stock.adobe.com

僕が以前、あるオルタナティブスクールでインターンをしていたとき。子どもたちと接するにはまず何よりもよく観察することを教えられました。

あるとき、こんなことがありました。
小学2年だったAくんがどうしても算数の授業に集中できず、遊んだり、机をガタガタしたり、周りの子どもに話しかけたりしてしまっていたのです。周りの子の勉強の邪魔にもなるし、インターンだった僕がAくんを教室から連れ出して話を聞くことになりました。

「算数の何がそんなに嫌なの?」
そんなことをどれだけ聞いても、ちっともちゃんとした答えが返って来ません。はぐらかされたり「算数は嫌いじゃない」と言ったり、とにかくグズグズしていて話が進みません。無理に聞き出しても仕方がない。でも、いまのままじゃ授業に戻っても聞く気持ちにもなれてないことははっきりしていました。
結局、その時間は何も進展しないまま授業時間が終わってしまったのです。

子どもを観察する力出典:stock.adobe.com

それを先生に報告しに行ったとき「もうすこし、Aくんをよく観察しておいて」と言われました。この学校では、どんなアプローチも最初の一手は「観察をすること」からはじまるのです。

観察とは、ただぼーっと眺めていることではありません。どんな行動をしているのか、それはなぜしているのか、他のことどんなコミュニケーションを取っているのかなどなど。
できるだけ客観的な視点で事実だけを拾っていきます。

大事なのは、自分の「解釈」にとらわれてしまわないこと。
「Aくんはこういう性格だから、こうするんだ」という解釈は、もしかしたらただの思いこみかもしれません。

裁縫が嫌いだった出典:stock.adobe.com

そして、しばらくAくんを観察していると、どうやら算数が嫌いで集中力を欠いていたわけではなさそうなのです。嫌いなのは、その次の授業である「裁縫」。そして裁縫がはじまると必死で誰かにやってもらおうとしていました。Aくんは、次の授業の裁縫が不安すぎて算数の授業にも集中できていなかったのです。

その後、Aくんとゆっくり話をして、裁縫の何が苦手なのか、どうすればいいのかなどを一緒に考えました。結果としては、休み時間中にいっしょに裁縫の練習をすることで、不安を払拭し、落ち着きを取り戻したAくんは、また算数の授業を普通に受けるようになっていきました。

大人は子どもを勝手に解釈しがち

子どもを観察する力出典:stock.adobe.com

自分の子どもでなくても、大人はちょっとの情報やその子の一部分を見ただけで勝手に解釈をしてしまいがちです。これが、よく知っているわが子であればなおのこと。「この子は人見知りなんです」とか「この子は絵を描くのが苦手なんです」なんて風に、つい解釈をしてしまいます。

でも、人見知りな場面もあるかもしれませんが、そうでない場面だってあるかもしれない。絵は上手じゃないかもしれないけど、本人はべつに嫌いとも苦手とも思っていないかもしれません。

親が知った風に子どもの言葉を代弁してしまうと、子どもは自分の言葉で自分を表現することをサボるようになります。

観察とは、できるだけフラットな目線で、子どもの行動を知ろうとすること。
解釈はいったん置いておいて、行動に着目してみましょう。

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観察するときは、監督じゃなく観客で

子どもを観察していると、思わず口を出したくなります。

たとえば、お風呂掃除を手伝ってくれているとき。
「あぁ、そうじゃなくて。もっと端っこの方もちゃんとこすらないと、こっちが汚れてるよ」なんて具合に。どんどん口出ししたくなります。

お風呂掃除をする子ども出典:stock.adobe.com

ですが、そんなにアレコレ口を出していては、ちゃんとした観察はできません。それでは観察じゃなくて、まるで監督です。

アレコレ口出しをするのではなく、最後まで見届けてから、フィードバックを伝えるようにする。
観察をするときは、監督じゃなく観客のような気持ちで。

口出しをせずに、ちゃんと観察をしていると子どもは大人が思うよりずっと多くのことを知っていたり、学ぼうとしていたり、できたりすることに気がつくことができます。

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著者

三木智有

三木智有

NPO法人tadaima!代表 日本唯一の家事シェア研究家/子育て家庭のためのモヨウ替えコンサルタント。著書に『家族全員自分で動く チーム家事』がある。

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