目の前の家事に“気づけない夫”を責める前に知っておきたいこと

家族・人間関係

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2025.05.07

こんにちは。家事シェア研究家の三木です。 「なんで気づかないの?」という夫へのモヤモヤを抱えるママさんからの相談。見えない家事と、見えない“気づき”の壁。その理由と小さな突破口をお話しします。

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夫が“気づかない”理由

家事に疲れる女性出典:stock.adobe.com

「もう限界……。私ばっかり家事してる気がして、しんどくなってきた」

先日、あるママさんから相談を受けました。

彼女は共働きで、子どもは小学生。仕事に育児に毎日バタバタで、夫婦の家事分担がうまくいかず、モヤモヤしているという。

「うちの夫、“言えばやる”んだけど、“言わないとやらない”。それって結局、私が毎回“お願い”しないといけないってことでしょ? もう疲れた……」
その言葉に、僕はとても共感したのです。

同じ悩みはとても多い!

シンクに置きっぱなしの食器出典:stock.adobe.com

じつは、こうした悩みはとても多い。

たとえば、毎朝、キッチンに行けば、食器がそのまま。リビングには子どもの服が脱ぎっぱなし。一日中、片づけてばかりいる自分と、のんびりしている夫。

「なんで気づかないの?」って、何度も心の中で思う。「私がやらないと、結局誰も、何もしてくれない」と。
そしてとうとう我慢できなくなって、相談してくれたママさんは夫にぶつけたのだ。

「目の前に山積みの洗濯物があるのに、なんで放っておけるの!? 私ばっかりやらなきゃいけないの、おかしくない?」

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夫のひとことが、意外だった

不満がつのる女性出典:stock.adobe.com

そのときの夫の返事は、「ごめん、気づかなかった」だったらしい。

「気づかないわけないでしょ」とママさんは言った。

でも、夫は本当に“悪気なく”気づいていなかったらしい。

目の前に山積みになっている洗濯物に気が付かないなんて、あるはずがない。部屋の隅っこのちょっとしたホコリじゃないのだ。見えないはずなんてありえない。

でも、その話を聞いて、僕は言いました。
「本当に、気がついていないんだと思います」と。

“気づける人”と“気づけない人”の違い

よくよく考えてみて欲しい。家事をする人は日々、細かい変化を観察するクセがついている。

  • 牛乳の残り具合に気づく
  • 子どもの表情の違和感に気づく
  • タオルが湿っていることに気づく

そういう、いわば“気づきの筋トレ”を毎日している。でも、家事をしない人はその筋トレをほとんどしていない。
人は、興味のないことには気がつかない。僕は、子どもが生まれて初めて、社会がこんなにもアンパンマンで溢れかえっていることを知った。
それまでは、アンパンマンなんて一切目に入ってこなかったのに。

つまり「気づかない」のではなく、「気づく経験がなかった」のだ。

気づける仕組みをつくる

家事を見える化する出典:stock.adobe.com

「そうしたら、どうすれば気づいてもらえますか?」とママさんは聞いてきた。

「まず、“気づいてほしい”って気持ちをいったん脇に置いて。その代わり、“気づける仕組み”を一緒に作ってみましょう」

たとえば、

  • 冷蔵庫に家事リストを貼る
  • “名もなき家事”を紙に書き出して、見える化する
  • 週1回、家事についてゆるっと振り返る時間をつくる

夫に“当たり前に見える”視点を共有することで、だんだんと「気づく練習」ができるようになる。
何でもかんでも、自分ひとりで、知らぬ間に終わらせてしまうのではなく、気がつくための仕組みを色々と試してみるのがいい。

一朝一夕では、家事に気づくようにはならない

家事もコミュニケーション出典:stock.adobe.com

気づいてよ! って怒りたくなる気持ちはよくわかります。
だけど、残念ながらそれはあまり効果がありません。一時的に改善されても、それって、ただビビっただけの話。しばらくすればまた、元通りです。

それより、“気づける仕組み”をどう作るかを一緒に考えるほうが、楽なはず。
アプリを使ってもいいし、紙に書き出してもいい。やり方にこだわるよりも、とりあえずやってみること。

そして、面倒くさくても話し合いを少しでもいいからすること。
結局、家事ってコミュニケーションなんです。

わが家の家事に気がつく仕組み、ぜひ作ってみて下さい。

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著者

三木智有

三木智有

NPO法人tadaima!代表 日本唯一の家事シェア研究家/子育て家庭のためのモヨウ替えコンサルタント。著書に『家族全員自分で動く チーム家事』がある。

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