「夫婦のコミュニケーション」は結論より“プロセスが大事”なワケ

家族・人間関係

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2025.08.20

こんにちは。家事シェア研究家の三木です。 夫婦の対話は結論よりも、そこにたどり着くまでのプロセスの方が実は大切。 最近、夫婦向けのコミュニケーション講座でもよくお伝えしているのですが、これを僕は「プロセス・コミュニケーション」と呼んでいます。 対話のプロセスに価値を見いだせるようになると、夫婦の話し合いががぜん変わります。 今日は、そんなプロセス・コミュニケーションの手法についてお伝えします。

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なぜ、結論よりもプロセス?

夫婦の話し合い出典:stock.adobe.com

「対話は『より良い結論』を出すためにするのでは?」と思う方も多いかもしれません。 とくに、夫婦で意見が割れてしまったときなどは。

子どもの受験、習い事、家族の引っ越しなどの大きな話から、 旅行はどこに行くか、外食はハンバーグか回転寿司か、みたいな小さな話まで……。
どうしたらお互いが納得感のある対話ができるのでしょうか。

実は、結論を急ぐほど、夫婦の溝は深くなりがちです。「どっちが正しいか」「どちらの意見を採用するか」という白黒つけたがる思考になると、どうしても相手を論破しようとしてしまいます。

でも、夫婦は勝ち負けを決める関係ではありませんよね。お互いの考えや気持ちを理解し合い、一緒に最適解を見つけていく関係のはず。そのためには、「結論に向かう過程」を大切にすることが欠かせないんです。

プロセスを重視することで、「私はこう考えているんだな」「夫はそういう価値観なんだな」という理解が深まります。そして、その理解こそが、夫婦の絆を強くしてくれます。

「結論ありき」から「気持ちファースト」へ

気持ちファースト出典:stock.adobe.com

プロセス・コミュニケーションの第一歩は、「気持ちファースト」の姿勢です。

例えば、子どもの習い事について話し合うとき。「英語教室に通わせたい」という結論から入るのではなく、「子どもの将来が心配で……」という気持ちから話し始めてみてください。すると、パートナーも「確かに、将来のことは僕も気になってた」「でも、今は子どもらしく遊ぶ時間も大切だと思うんだ」と、同じ土俵で話ができるようになります。

「どの習い事にするか」という結論を急ぐより、「子どものことを思う気持ち」を共有することで、二人の距離がぐっと縮まります。そして、その上で一緒に考えた結論は、お互いが納得できるものになりやすいんです。

旅行先を決めるときも同じです。「沖縄がいい」「北海道がいい」と主張し合うより、「家族でゆっくりしたいね」「子どもに新しい体験をさせてあげたいね」という思いを確認し合う。そこから一緒に候補を考えていくと、自然と全員が満足できる答えが見つかります。

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「聞く」技術がプロセスを豊かにする

話を聞いている様子出典:stock.adobe.com

プロセス・コミュニケーションで最も大切なのは、「聞く」技術です。
相手の意見に反論したくなったときこそ、まず深く聞いてみてください。

「なるほど、そう考えているんだね。その理由をもう少し聞かせて」
「そういう見方もあるのか。私は気づかなかった」

こんな風に、相手の考えに興味を持つ姿勢を示すと、パートナーも安心して本音を話してくれます。そして、話しているうちに、相手も自分の考えを整理できて、新しいアイデアが生まれることもある。

また、「私はこう思うんだけど、あなたはどう感じる?」と、相手の意見を求める問いかけも効果的です。一方的に話すのではなく、対話のキャッチボールを意識することで、お互いの理解が深まります。

大切なのは、「正しい答え」を見つけることではなく、「二人で考えている」という実感を共有することです。

時間をかけることで見えてくるもの

互いに大切にしている価値観出典:stock.adobe.com

「でも、そんなに時間をかけて話していられない」と思う方もいるかもしれません。確かに、忙しい日常の中で、毎回じっくり話し合うのは難しいでしょう。

でも、大切な決断ほど、プロセスに時間をかける価値があります。急いで結論を出して後からモヤモヤするより、最初にしっかり話し合って、お互いが納得できる答えを見つける方が、結果的に時間の節約になります。

また、プロセスを大切にした対話を重ねることで、夫婦の「話し合いの型」ができてきます。お互いの考え方のクセや、大切にしている価値観が分かってくると、日常の小さな決断も驚くほどスムーズになります。

「うちの夫婦は話し合いが得意」という自信も生まれて、どんな問題が起きても「二人で乗り越えられる」という安心感につながります。

夫婦の対話は「チームづくり」

プロセス・コミュニケーションの本質は、夫婦が「チーム」になることです。「私vs夫」ではなく、「私たちvs問題」という構図で話し合えるようになると、どんな課題も一緒に解決していけます。

結論を急がず、まずはお互いの気持ちを確認し合う。相手の意見を最後まで聞き、自分の考えも丁寧に伝える。そして、時間をかけて一緒に答えを見つけていく。

そんな対話ができる夫婦は、きっと何年経っても仲良しでいられるはず。ぜひ今日から、「結論よりプロセス」の対話を試してみませんか?

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著者

三木智有

三木智有

NPO法人tadaima!代表 日本唯一の家事シェア研究家/子育て家庭のためのモヨウ替えコンサルタント。著書に『家族全員自分で動く チーム家事』がある。

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