教えてくれたのは……岩田かおりさん
家庭教育コンサルタント。株式会社ママプロジェクトJapan代表取締役。
幼児教室勤務、そろばん教室の運営を経て、「子どもを勉強好きに育てたい!」という想いから、独自の教育法を開発。「子どもを学び体質に育てる」と「親を幸せ体質にする」ことを目指し、親がガミガミ言わずに勉強好きで知的な子どもを育てる作戦『戦略的ほったらかし教育』を全国へ展開中。
『自分から学べる子になる 戦略的ほったらかし教育』
著者:岩田かおり
価格:1,760円(税込)
発行所:ディスカヴァー・トゥエンティワン
思春期の子どもにどう接する?
スマホを見てばかりで勉強しているようには見えないし、何を聞いても「別に」というばかり。そんな思春期の子どもにどう接していいかわからず、「昔はこうじゃなかったのに……」と悩んでいる方もいるかもしれません。
子どもが思春期を迎えたら接し方をガラリと一変しなければいけないと考えがちですが、『自分から学べる子になる 戦略的ほったらかし教育』の著者・岩田かおりさんは「家庭教育を解決するアプローチは、学童期でも思春期でも基本的に同じ」と話します。
岩田さん 「子どもが自分の力で育つためには、子どもの学び体質をつくる環境整備と、幸せ体質をつくる親の自分理解という2つが大切です。これは子どもが何歳になっても変わらない基本の軸です。ただ、子どもの自我がより強くなる思春期は、子どもが自己決定できるように、親の意見のボリュームや伝え方には少し工夫が必要になってきます」
子どもの自立心が育つ!親の関わり方“5つのヒント”
思春期に入った子どもには、どのような“戦略”が有効なのでしょうか。岩田さんに教えていただいた5つのヒントを紹介します。
【ヒント1】親がしゃべりすぎない
岩田さん 「子どもと会話するとき、自分が何割くらい話しているのか意識してみましょう。多くの親が、子どもより多く話しています。子どもとの会話でどれくらい話しているのかわからないときは、一度、話している様子を録音してみるといいですね。思っていた以上に話している自分に気づくかもしれません」
【ヒント2】「私のときは」はNG
岩田さん 「自分が子どもと同じ年齢だったときの話をしたくなるかもしれませんが、避けたほうがいいでしょう。子どもの共感を得にくく、時代が変わっていて子どもの体験とずれている可能性があります」
【ヒント3】子どものモチベーションアップはサポートする
岩田さん 「『なんだかやる気が出ない』は、大人にも子どもにもあることだと思います。子どもの学習を親が肩代わりすることはできませんが、モチベーションを上げる手伝いはできるはず。自室で勉強がはかどらないなら、リビングで勉強するスペースを用意して親はそばで仕事や家事をする、ファミレスやカフェなどのほうが集中できるならお茶代を出すなど、子どものやる気を引き出す環境づくりでサポートしましょう」
【ヒント4】選択肢の提案はする
岩田さん 「子どもの将来を見据えて、『こんなことやってみたら?』と選択肢を提示したくなるときがあると思います。そんなときは、価値観を押し付けるのではなく、子どもが選択肢や情報にふれる機会をつくりましょう。わが家では、月に数回、気になるウェブ記事をLINEでシェアして、目を通すように伝えています。『私はこう思うけど、どうしたいか考えてみてね』と意思決定は子どもに委ねましょう」
【ヒント5】先まわりしない
岩田さん 「子どもに失敗してほしくないからと先まわりしたくなるかもしれませんが、失敗という体験を経て初めてわかることもあります。何かをやり切るには、子どもが自分ごととしてものごとをとらえることがとても重要です。自分ごとにするきっかけを得るためにも、子どもの行動を先まわりするのは控えましょう」
ユーモアのセンスを加えてみよう
岩田さん 「子育てに悩むということは、子どもによりよい状態でいてほしいという愛情の表れでもあります。ただ、愛情はあるのにユーモアが足りないと、子どもを責めるような雰囲気になりがちです。子育ては、難しく考えようと思えばどこまでも難しくなってしまうもの。だからこそ、いかに複雑にしすぎないかがとても大事だと思います。子どもとのやりとりがうまくいかないときは、『ユーモアが足りなかったな』ととらえて、子どもと対話しながらお互いに納得できる解決策を見つけられるといいですね」
不安や焦りにとらわれるより、少しのユーモアを大切に。思春期の親子関係に悩んだときは、岩田さんのアドバイスを思い出してみましょう!