身近な家族だからこそ重要な「境界線」の考え方

家族・人間関係

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2025.10.08

こんにちは。家事シェア研究家の三木です。 「家族のためにがんばっているのに、なんだか息苦しい」 そんな気持ちになったことはありませんか。 家族を大切に想っているのに、なぜか心がすり減ってしまったり、自分ばかりが大変なんじゃないかとモヤモヤしたり。 じつはぼく自身もそうしたモヤモヤに気持ちが落ち込むことがあります。 こうしたとき大切にしているのは「距離の取り方」をちょっと見直すこと。 「支え合う家族」をつくるには、「ひとりひとりの自立」が欠かせません。 あえて少し距離を取ることで、ちょうどよい依存関係に立ち返ることができます。

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自分と相手のあいだに、ゆるやかな“境界線”を引く

境界線出典:stock.adobe.com

ぼくはいつも「家族はチーム」のようなものだと言っています。でも、いつも一緒にいると、つい「相手の生活(QOL)も自分の責任」と感じてしまうことがあります。

子どもの落ち込みや、パートナーの不機嫌に、必要以上に巻き込まれてしまう。そんなときは、自分と相手の間に“ゆるやかな境界線”を意識してみます。

「私は私、あなたはあなた」。
一見冷たく感じますが、自分自身が家族のQOLに対する責任を全部担う必要はないんです。自分を守るための線は、家族の信頼を壊すものではありません。
むしろ、安心して関われる距離を生み出すものです。

感情は「自分のもの」として扱う

感情出典:stock.adobe.com

「あなたがこうするから、私はイライラする」と言いたくなるとき。でもその気持ちは、相手ではなく“自分の中”で生まれたものです。
「私はいま、イライラしている」と主語を自分に戻すと、不思議と冷静になれます。

感情を相手にぶつけるのではなく、「自分はこう感じている」と言葉にしてみる。それだけで、家族の会話の空気がやわらぎます。
我慢や遠慮ではなく、正直に伝えること。それが、自立した関係のいちばんの土台です。

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「わかってもらう」より、「わかり合う」

「わかってもらう」より、「わかり合う」出典:stock.adobe.com

「何度言っても伝わらない」とイライラすること、ありますよね。でもそれは、相手が悪いわけでも、自分の努力が足りないわけでもありません。そもそも、人は“自分の世界”の中で考えているもの。だから、相手の行動の背景に「なぜそう思うのか」を聴いてみると、見え方が変わります。

「どうしてそう考えたの?」たったそれだけの一言で、家族の関係は驚くほど柔らかくなることがあります。

正しさをぶつけ合うよりも、理解を少しずつ育てていく。
それが、自立しながらつながる家族の姿です。 だけど、相手も心に余裕がないときは「どうして?」に答えたくないときもあるでしょう。心配する気持ちはわかりますが、詰問にならないように、答えたくないようであれば無理に聞き出さないことも必要です。

家族は「支える側」から「支え合う側」へ

真面目でがんばる人ほど、家族を支えようと背負い込みがちです。けれど、家族の中で誰かひとりが無理をしてしまうと、全体のバランスが崩れてしまう。だからこそ、「手伝う」「任せる」ではなく、「一緒に回す」意識が大切です。
そして、それこそが「家事シェア」です。 家事でも育児でも、みんなが少しずつ役割を担えば、家族はもっとチームになります。

自立した家族は、完璧じゃなくていい

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自立とは、距離を置くことでも、冷たくなることでもありません。お互いを信頼しながら、それぞれのペースで動ける関係のこと。
変化に合わせて柔軟に形をつくり直せる家族こそ、本当にしなやかな家族です。

がんばらなくても、つながっていられる。そんな関係を目指して、“支え合う家族”の第一歩を、踏み出していきましょう。

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著者

三木智有

三木智有

NPO法人tadaima!代表 日本唯一の家事シェア研究家/子育て家庭のためのモヨウ替えコンサルタント。著書に『家族全員自分で動く チーム家事』がある。

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