自分と相手のあいだに、ゆるやかな“境界線”を引く
ぼくはいつも「家族はチーム」のようなものだと言っています。でも、いつも一緒にいると、つい「相手の生活(QOL)も自分の責任」と感じてしまうことがあります。
子どもの落ち込みや、パートナーの不機嫌に、必要以上に巻き込まれてしまう。そんなときは、自分と相手の間に“ゆるやかな境界線”を意識してみます。
「私は私、あなたはあなた」。
一見冷たく感じますが、自分自身が家族のQOLに対する責任を全部担う必要はないんです。自分を守るための線は、家族の信頼を壊すものではありません。
むしろ、安心して関われる距離を生み出すものです。
感情は「自分のもの」として扱う
「あなたがこうするから、私はイライラする」と言いたくなるとき。でもその気持ちは、相手ではなく“自分の中”で生まれたものです。
「私はいま、イライラしている」と主語を自分に戻すと、不思議と冷静になれます。
感情を相手にぶつけるのではなく、「自分はこう感じている」と言葉にしてみる。それだけで、家族の会話の空気がやわらぎます。
我慢や遠慮ではなく、正直に伝えること。それが、自立した関係のいちばんの土台です。
「わかってもらう」より、「わかり合う」
「何度言っても伝わらない」とイライラすること、ありますよね。でもそれは、相手が悪いわけでも、自分の努力が足りないわけでもありません。そもそも、人は“自分の世界”の中で考えているもの。だから、相手の行動の背景に「なぜそう思うのか」を聴いてみると、見え方が変わります。
「どうしてそう考えたの?」たったそれだけの一言で、家族の関係は驚くほど柔らかくなることがあります。
正しさをぶつけ合うよりも、理解を少しずつ育てていく。
それが、自立しながらつながる家族の姿です。 だけど、相手も心に余裕がないときは「どうして?」に答えたくないときもあるでしょう。心配する気持ちはわかりますが、詰問にならないように、答えたくないようであれば無理に聞き出さないことも必要です。
家族は「支える側」から「支え合う側」へ
真面目でがんばる人ほど、家族を支えようと背負い込みがちです。けれど、家族の中で誰かひとりが無理をしてしまうと、全体のバランスが崩れてしまう。だからこそ、「手伝う」「任せる」ではなく、「一緒に回す」意識が大切です。
そして、それこそが「家事シェア」です。 家事でも育児でも、みんなが少しずつ役割を担えば、家族はもっとチームになります。
自立した家族は、完璧じゃなくていい
自立とは、距離を置くことでも、冷たくなることでもありません。お互いを信頼しながら、それぞれのペースで動ける関係のこと。
変化に合わせて柔軟に形をつくり直せる家族こそ、本当にしなやかな家族です。
がんばらなくても、つながっていられる。そんな関係を目指して、“支え合う家族”の第一歩を、踏み出していきましょう。