何度言ったらわかるの?
「明日の時間割の準備、まだやってないの?」「だって、さっきYouTube見てたじゃん。やる時間あったでしょ?」寝る前になって宿題も明日の準備も終わっていないと言う小5の息子にイライラ。「忘れてたんだもん。今からやろうと思ってた」と言い訳をするので「いつも先にやっておくよう言ってるでしょ。何度言ったらわかるの!」とさらに怒ってしまった。
高学年くらいになると、親が指示しなくとも自分で自分のことをこなせるようになってほしいものですよね。しかし、気づいたら毎日同じ注意を繰り返していて、イライラしたり疲れてきたりすることも。
何度伝えても変わらないのは、「伝わっていない・反抗している」のではなく「できない理由がある」サインかもしれません。
親からの叱責は、子どもにとっては「責められている」「また怒られた」という体験として蓄積されてしまうこともあります。
すると、子どもは「できない理由」よりも、「どうやって怒られないようにごまかすか」を優先するようになってしまうんですね。
わが子にSOSが隠れていないかどうかを、考えてみましょう。
「困っているけどうまく言えない」子どもの心
子どもが「困っているけど言えない」理由は、さまざま。
例えば、
- 言われればわかるけど、時間管理の仕方がよくわかっていない。
- 学習のどこでつまずいているのか自分でもわからない。
- 学校での人間関係や部活、SNSのストレスで頭が思うように動かない。
こうした場合、大人の「やればできるでしょ」は、子どもにとってはプレッシャーになってしまいます。
まずは「やりたいけど、どうしてもうまくいかない」気持ちを受け入れてあげることも大切。
また、「なぜできないの?」ではなく、「どこが難しい?」と声をかけると、子どもは自分の困りごとに目を向けやすくなります。
「話しても怒られない」と感じられることで、自分の苦手や不安を少しずつ言葉にできるようになる子も多いんです。
子どもの“見方”を変える
心理士として相談を受けているとよく、「うちの子はすぐにさぼる」「怠け癖がついてしまっている」などの話をお伺いします。
ですが子どもと話していると、「どうしてできないのかわからなくて苦しい」と感じている子が多いんです。
「できることを前提に接する」のではなく、「難しさがあるかもしれない」と思って関わると、見え方が変わってくることがあります。
例えば、
- 「宿題また忘れたの?」→「今日はどんなことがあって、宿題をしそびれたの?」
- 「また片付けてない!」→「どうしたら片づけようっていう気分になる? 一緒に考えて決めてみよう」
かける言葉を変えるだけで、子どもは反抗的な態度や言い訳で自分を守らなくてもよくなります。
親自身が忙しいときには、余裕をもった声かけが難しいかもしれません。
毎回でなくても大丈夫なので、少し時間があるとき、一呼吸おけるときにぜひ普段と違う声をかけてみてください。
叱るのではなく、「なぜ?」、「何か隠れているのかな?」と探る姿勢が、子どものSOSに気づくヒントになります。
親子ともにストレスの少ないコミュニケーションを見つけていけるといいですよね。