「すぐ教えない方がいい」は本当?高学年家庭でよく起きるジレンマ
小学5年生の息子が、国語の宿題をしながら「なんて書けばいいかわからない」とノートを差し出してきた。「ここの文章をよく読んだら?」と説明しようとしたが、少し迷って手を止めた。最近「子どもの考える力を伸ばすには、すぐ答えを教えない方がいい」とよく言われている。だから「まず自分で考えてみたら?」と言ってみると、息子はすぐに不機嫌に。宿題を投げ出そうとしたので、結局ほとんど答えを教えることに。教えすぎてもよくない気がする。でも放っておくのも違う気がする。どうしたらいいんだろう。
小学校高学年になると、こんなふうに「どこまで手を出すべきか」で迷う場面が、家庭の中で増えていきます。
最近の子育てでは、「答えをすぐ教えない」「子どもに考えさせる」などの関わりがよく勧められます。
たしかに、自分で考える経験は思考力や主体性を育てます。
ただ、実際の家庭ではこんな場面も多いよう。
- 「わからない」と言うので説明すると、途中から全然聞いていない
- ヒントを出しても「もういい、わかんない」と投げ出す
- 「自分で考えて」と言うと、機嫌が悪くなる
親としては、「教えすぎ?」「放っておきすぎ?」と正解がわからなくなってしまいますよね。
子どもの「わかんない」とどう付き合っていくのがよいかを考えていきます。
まずは安心。その次に思考
すぐに答えを教えては、子どもの考える力が育たない。
一理ありますが、子どもが学ぶ環境における大前提として「安心」というキーワードを忘れてはなりません。
人は安心しているときにこそ探索や思考が広がるといわれています。
つまり、子どもが考える力を発揮するためには「1 安心→2 思考・探索」という順序が必要なんです。
- どうして親は自分に寄り添ってくれないんだろう。
- なぜ困っている自分を放っておくんだろう。
など、不安な気持ちが心を渦巻いている間は思考する力が停止してしまいます。
まずは、子どもの心の余白を見ていく必要があるんですね。
では、具体的に子どもの余白と切迫の見極め方と関わり方を見ていきましょう。
子どもが安心して思考する力を育てる関わり方
「どこまでわかってる?」と聞く
子どもが「わからない」と言ったとき、実は最初から全くわからないわけではないことも多いものです。
まずは「どこまでわかってる?」 「どこから迷った?」と尋ねてみてください。
このとき、「全部!」などと答える子は、「どこがわからないのか、わからない」かもしれません。
その場合、わかっているところまで戻り、どこからつまずいたのかを一緒に見てあげる必要があります。
「わかることは、分けること」といいます。
まずは、「わかっていること/半分わかっていること/全くわからないこと」を分けるお手伝いをしてあげてください。
小さなヒントだけ渡す
すぐに答えを言う代わりに、ヒントだけ出す方法もあります。
たとえば、
- 前に似た問題あったよね。
- 授業のとき、先生はどうやっていた?
このくらいの声かけでも、「自分で考えなさい」と言う対応とは全く違います。
小さなヒント・ちょっと寄り添った声かけで、子どもの頭はもう一度動き始めるでしょう。
本当に困っているときは、先に助ける
子どもがイライラしていたり、机に突っ伏していたりするときは話が変わります。
この状態で「ちゃんとやりなさい」と言われても、なかなか立ち直って自分で動き出すのは難しいもの。
そんなときは、「これは難しかったよね」「一回一緒に見てみようか」と、先に助けてしまっても大丈夫です。
まずは安心を手渡す。そのあとに、できることを自分でやる力が見えてきます。
「すぐ答えを教えない方がいい」「自分で考えさせることが大切」と聞くと、親は「教えない方がいいのかな」「甘やかしすぎ?」と迷うのは当然。
正解はどこにもありませんが、子どもの隣で「どうする?」と一緒に考えてくれる大人がいること。それ自体が、子どもにとって大きな支えになっていくでしょう。



