無意識の声かけ、子どもにとってはプレッシャー?
息子は小5で中学受験を控えている。普段は、言われなくても宿題をやる真面目なタイプ。しかし昨日は珍しく漫画を読んでいたので、「今日はやらないの? 疲れちゃった?」と声をかけると、「あとでやる」と素っ気ない返事。その後も動く気配がないので、「明日テストだっけ?」「今回のクラス分けどうなるかな」などと話しかけた。すると立ち上がって「わかったよ、勉強すればいいんでしょ」と部屋に行った。何気ない会話のつもりだったけど、子どもにとってはプレッシャーになってる?
このような会話は、受験を控えている家庭ではよくあるものでしょう。
しかし注意したいのは、どんな声をかけているかだけではなく、子どもがどのように受け取っているか。
同じように声をかけていても、気にせず受け止められる子もいれば、プレッシャーに感じる子もいます。
受験勉強を頑張っている子の、SOSサインについて考えます。
本当に心配なのは「勉強しない子」より「頑張れる子」
心理士としては、「勉強しない子」より「頑張れる子」の方が心配になることが多いです。
親の表情や会話の内容、家庭の空気から、自分は何を期待されているかを読み取り、応えてしまう子が長い目で見て危うくなるからです。
特に、「頑張れる子×頑張らせてしまう親」だと、親子共々知らず知らずのうちに、追い込まれてしまうことがあります。
自分から勉強しているうちの子は大丈夫、嫌がらず塾に通っているから大丈夫。
そういうわけではありません。
「うちはどんな親子だろう、子どもはどんな様子だろう」と振り返りながら、子どものSOSサインについて、考えてみてください。
頑張れる子のSOSにどう気づく?
1.「頑張り方」を見るのではなく「隠すもの」を見る
多くの親御さんは、勉強時間や成績を見て、調子がよいか、頑張っているかを判断しています。
しかし一方で、「何を見せなくなったか」もメンタル面では非常に重要。
たとえば、
- テストの結果をすぐ見せなくなった
- 塾の話をしなくなった
- 様子を聞いても、「別に普通」が増えた
こうした変化です。
頑張れる子は、困ったときに助けを求めるのではなく、見せないで隠すことを選びやすいもの。
そのため、SOSは反抗的な態度ではなく、会話や報告が減る形で表れます。
「そっけないな」で済ませるのではなく、‟負担を感じてるかな?”という視点をもつのが大切です。
2.「休む許可」を求めていないか見る
教育熱心な親御さんほど見落としやすいのは、子どもの「休む許可」について。
たとえば、
- 「今日ちょっと休んでもいい?」
- 「ゲームしてもいい? スマホ触っちゃだめ?」
- 「先に寝てもいい?」
親子で受験まっしぐらになっていると、このやり取りは当然のものになってきている家庭もあります。
しかし本来、疲れたら休むのは自然なことであり、子どもが親に許可をとる必要はないものです。
- 頑張ることが当たり前になっていて、休むことに罪悪感を感じている
- 休むと親の顔が曇る
- 親からの評価が下がってしまう気がする
こんな風に感じていると、親に休憩の許可をとるようになります。
そのため「ああ、休憩を自由にさせてあげられていないな」と親が先に気づき、関わり方を改める必要があるんですね。
3.「うまくいった話」だけになっていないかを見る
「うまくいっている」「大丈夫だよ」と、親を安心させる言葉ばかりになっているときも、SOSサインが隠れている可能性があります。
- 思った点数が取れなかった
- 居眠りをして先生に叱られた
- 友達とうまくいっていない
このような「うまくいかなかった話」が親にできない場合、親を心配させたくない・がっかりさせたくないという気持ちが背景にあるかもしれません。
うちの家庭は「うまくいかなかった話」も当たり前にできる空気かどうか、確認してみる必要があるんですね。
頑張れる子のSOSは、反抗や怠けではなく、見せる自分の範囲が少しずつ狭くなることとして現れやすいもの。
そのため時々、「頑張らせるにはどうすればよいか」ではなく、「自分たち親子は頑張らなくても大丈夫な関係か」に目を向ける必要があります。
受験が終わっても続いていく親子関係も大切にできるよう、子どものSOSに気づいていけるといいですよね。



