「うちの子は自分から勉強するから大丈夫」の落とし穴。“頑張れる子”ほど見えにくい受験生のSOSサイン

家族・人間関係

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2026.07.21

臨床心理士・公認心理師のyukoです。中学受験を前に、「うちの子は自分から勉強机に向かうタイプなので」「子どものやる気がすごいんです」と話す親子ほど、危うさを感じることがあります。なぜなら、頑張れる子ほど親に言えていない負担を抱えていることがあるから。親が無意識にプレッシャーをかけてしまっていないか、子どもは重荷に思っていないか。見落としがちな子どものSOSサインを考えてみます。

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無意識の声かけ、子どもにとってはプレッシャー?

息子は小5で中学受験を控えている。普段は、言われなくても宿題をやる真面目なタイプ。しかし昨日は珍しく漫画を読んでいたので、「今日はやらないの? 疲れちゃった?」と声をかけると、「あとでやる」と素っ気ない返事。その後も動く気配がないので、「明日テストだっけ?」「今回のクラス分けどうなるかな」などと話しかけた。すると立ち上がって「わかったよ、勉強すればいいんでしょ」と部屋に行った。何気ない会話のつもりだったけど、子どもにとってはプレッシャーになってる?

勉強する子ども出典:stock.adobe.com

このような会話は、受験を控えている家庭ではよくあるものでしょう。
しかし注意したいのは、どんな声をかけているかだけではなく、子どもがどのように受け取っているか。
同じように声をかけていても、気にせず受け止められる子もいれば、プレッシャーに感じる子もいます。
受験勉強を頑張っている子の、SOSサインについて考えます。

本当に心配なのは「勉強しない子」より「頑張れる子」

心理士としては、「勉強しない子」より「頑張れる子」の方が心配になることが多いです。
親の表情や会話の内容、家庭の空気から、自分は何を期待されているかを読み取り、応えてしまう子が長い目で見て危うくなるからです。
特に、「頑張れる子×頑張らせてしまう親」だと、親子共々知らず知らずのうちに、追い込まれてしまうことがあります。

自分から勉強しているうちの子は大丈夫、嫌がらず塾に通っているから大丈夫。
そういうわけではありません。
「うちはどんな親子だろう、子どもはどんな様子だろう」と振り返りながら、子どものSOSサインについて、考えてみてください。

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頑張れる子のSOSにどう気づく?

1.「頑張り方」を見るのではなく「隠すもの」を見る

多くの親御さんは、勉強時間や成績を見て、調子がよいか、頑張っているかを判断しています。
しかし一方で、「何を見せなくなったか」もメンタル面では非常に重要。

たとえば、

  • テストの結果をすぐ見せなくなった
  • 塾の話をしなくなった
  • 様子を聞いても、「別に普通」が増えた

こうした変化です。

悩んでいる子ども出典:stock.adobe.com

頑張れる子は、困ったときに助けを求めるのではなく、見せないで隠すことを選びやすいもの。
そのため、SOSは反抗的な態度ではなく、会話や報告が減る形で表れます。
「そっけないな」で済ませるのではなく、‟負担を感じてるかな?”という視点をもつのが大切です。

2.「休む許可」を求めていないか見る

教育熱心な親御さんほど見落としやすいのは、子どもの「休む許可」について。

たとえば、

  • 「今日ちょっと休んでもいい?」
  • 「ゲームしてもいい? スマホ触っちゃだめ?」
  • 「先に寝てもいい?」

親子で受験まっしぐらになっていると、このやり取りは当然のものになってきている家庭もあります。
しかし本来、疲れたら休むのは自然なことであり、子どもが親に許可をとる必要はないものです。

  • 頑張ることが当たり前になっていて、休むことに罪悪感を感じている
  • 休むと親の顔が曇る
  • 親からの評価が下がってしまう気がする

こんな風に感じていると、親に休憩の許可をとるようになります。
そのため「ああ、休憩を自由にさせてあげられていないな」と親が先に気づき、関わり方を改める必要があるんですね。

3.「うまくいった話」だけになっていないかを見る

「うまくいっている」「大丈夫だよ」と、親を安心させる言葉ばかりになっているときも、SOSサインが隠れている可能性があります。

  • 思った点数が取れなかった
  • 居眠りをして先生に叱られた
  • 友達とうまくいっていない

このような「うまくいかなかった話」が親にできない場合、親を心配させたくない・がっかりさせたくないという気持ちが背景にあるかもしれません。

悩む子どもと親出典:stock.adobe.com

うちの家庭は「うまくいかなかった話」も当たり前にできる空気かどうか、確認してみる必要があるんですね。

頑張れる子のSOSは、反抗や怠けではなく、見せる自分の範囲が少しずつ狭くなることとして現れやすいもの。
そのため時々、「頑張らせるにはどうすればよいか」ではなく、「自分たち親子は頑張らなくても大丈夫な関係か」に目を向ける必要があります。
受験が終わっても続いていく親子関係も大切にできるよう、子どものSOSに気づいていけるといいですよね。

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著者

yuko

yuko

臨床心理士・公認心理師

臨床心理士・公認心理師。現在は小児の総合医療センターと大学の心理教育相談センターにて勤務。児童期から思春期の子どもへのカウンセリングやプレイセラピー、子育てに悩む保護者の方への育児相談を専門にしています。色彩心理学やカラーコーディネートについても学んでおります。

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