立春の朝、突然に!
コロナ禍のまま明けた2022年。まさか今年のバレンタインもマスクのまま、3密を避けて!と言いながら言われながら過ごしているとは思いませんでしたが、いや、こればかりは全世界的に同じ条件で同じ怖さとの闘いなので、ひたすら気を引き締めて頑張るしかありません。
そんな、立春の朝、節分の恵方巻の残りをかじりながら、ふと「そうだ、京都に行こう!」と思い立ちました。私は大阪在住なので、チョコレートのイベントと言えば阪急うめだ本店の「チョコレート博覧会」がホームです。
(昨年の記事はこちら)
しかし、なぜだかこの日は「京都だ」と決まっていました。
Salon du Chocolat 2022 京都
流石はパリ発祥の世界的チョコレートイベントだけあって、会場にはパリはもちろん、ベルギーやイタリア、アメリカなどなど……世界中のファンを唸らせたチョコレートがずらりと並んでいます。
そして今回特筆したいのが日本人ショコラティエの人気ぶり。言わずとしれたビッグネームはもちろん、枡に見立てたチョコレートの中に、日本の素材がジュレとなって流し込まれた「瑞穂のしずく」で有名なベルアメール京都別邸や、四条河原町に個性的な店舗をかまえるRAU、京都府福知山の名店で修業後に独立したシェフが活躍するnelなど、京都にルーツを持つお店のショーケースの前には、すでに紙袋を抱えたお客さんが「これも!」と買い求めている姿がありました。
Bean to Barブームは続く……
行列が絶えないカフェを持つアラン・デュカスも、パティシエからショコラティエ転身した三枝シェフのブランドパレドオールも、パリの流れを汲むブランドが近年特に力を入れている(ように見える?)のが、Bean to Bar……カカオ豆の産地にこだわり、焙煎からチョコレートの製造までを独自で行うカカオ度数の高いタブレットもの。
もちろんボンボンショコラの新作も飛び切りのおいしさですが、これら大御所の方々は、シングルオリジン(1か所の産地のカカオ豆で作ったチョコレート)のタブレットを続々とデビューさせては、私たちにカカオのおいしさ、そして産地による違いを啓もうしてくれているように思えます。
この大きなムーブメントは「甘いものはあんまり……。」という人や、健康上、美容上の理由で糖分を気にする人たちにとってもおいしく食べらえるチョコレートとして広がり、新たなファンの急増に大きく影響しています。
愛らしくカラフルなキューブ・ルノートル
「ここ数年、世界のチョコレートは真っ黒、ブラックばっかりですよ!」と仰っていたのは、日本で一番有名なチョコレートバイヤーのこの方。それに加えて、Bean to Barブームにシングルオリジンタブレットの大きな波もあり、ショーケースに並ぶチョコレートのヴィジュアルはかなり地味……。
そんな中で、ひときわ目を惹くキュートなルックスをしていたのが、このキューブ・ルノートル。四角くて茶色い粒がぎゅうぎゅうに詰まったのがパリスタイルと思っていたので、カラフルでスカスカ?ディスタンス?いや、マージンを取った余裕の佇まいには「えっ?」。で、結論から先に言います。これ、必ず買いましょう!もちろん自分用に……。
世界最強のいちごチョコレート!
赤いキューブはいちご味のCube Fraise。ひと言でいえば「いちごよりもいちご」。とろりとしたペーストは、赤福のこしあんのようなテクスチャで(?)トロトロッと口の中であっという間に溶けてしまいます。ほんの数秒の間に弾ける酸味と甘みと香りを是非楽しんで!
世界の注目は抹茶から柚子へ!
キューブ・ルノートルには黄色い立方体が2つあるのですが、ベージュに寄ったものはパッションフルーツ、鮮やかな方が柚子です。10年ほど前から海外ブランドがこぞって味わい深い抹茶ガナッシュを作り始めましたが、一昨年あたりから急激に広がり始めたのがピスタチオとこの柚子です。早速断面披露!こちらもペーストがとても柔らかく味わえる時間は10秒未満。しかしこの「圧倒的柚子感」は間違いなく世界中の人々の心に強い印象を残すはずです。
可愛くて何が悪いの?…プラリベル
次に目と足がとまったのが、このプラリベルのパフェショコラ。名の通りパフェ風にさまざまなフレーバーのチョコレートが1つにまとめられ、しかもこの美しさ、可愛らしさの王道を行くデコレーションがオンナゴコロを奪います。
パフェショコラはデザート級の貫禄
ハートにピンク!しかも中身はストロベリーガナッシュがぎっしり。断面をお見せしようと試みましたが、フレッシュなペーストがあまりに柔らかくて、うまく切ることができないほどでした。同性の大切なお友だちにプレゼントするなら、これをオススメします。
カフェカップショコラ
こちらも何の遠慮も無く「カワイイ」をストレートに表現しているプラリベルのカフェカップショコラ。ベルギーチョコレートはモールド(型)を使うので、こんな素敵なフォルムを実現できます。老若男女を問わず、このヴィジュアルには笑顔になること間違いなし!ちょっと気を遣う……「義」家族さんにもきっとウケるはずです。
チョコレートは裏切らない
生活に長い間制限がかかり、しかも感染に対する恐怖心も抱えたままの2年間。まだまだ終わりが見えない日々ですが、そんな時にも世界中のチョコレートは進化を遂げ、バレンタインに向けて職人さんたちは自信作を送り出してくれています。
そう、しんどいこと、悲しいこと、報われないこと……生きていると日々色々なネガティブな出来事は起こるけど、どんなときでもチョコレートは私たちのそばにいます。
ショコラティエの魂のこもったひと粒は、きっと心を温め、身体にもエネルギーを与えてくれます。1年間の集大成がこめられたバレンタインのチョコレートで、パワーチャージしてくださいね。