教えてくれたのは……立花佳代さん
単身で飛び込んだインドで、出会ったアクセサリーに惚れ込み、日本にその唯一無二の技術を届けたいという一心で株式会社スプリングを起業。最新著書に『やりたいこと、全部やりたい。』がある。
『やりたいこと、全部やりたい。』(アスコム)
著者:立花佳代
価格:1,430円(税込)
自分が楽しくないと、まわりも幸せにできない
知らず知らずのうちに、「家族のため」「職場のため」と、自分を犠牲にしていることに慣れてしまっていませんか?立花さんは、「自分が楽しくないと、まわりも幸せにできない」と本書の中で何度も語っています。
その経緯は、立花さん自身の起業したきっかけにあります。立花さんが選んだ事業は、インドでアクセサリーを生産して、輸入すること。なぜなら、立花さん自身が、アジアの民族系ファッションが元々好きだったことと、自分自身が納得して付けられるようなインドのアクセサリーが欲しかったから。「ならば、自分でつくってしまおう」と自分が楽しむために始めたことが、そもそもの起業のきっかけになったと。この「自分が楽しむ」というのが、うまくいった秘訣だったと立花さんは言います。
例えば、あまり興味がないことを、「誰かのため」になんとなく始めたとしても、その後もやり続けることが後に、難しくなってくることは簡単に想像できます。自分が心の底から楽しめることでなければ、周りの協力や理解も得られにくいのです。
「百聞は一見にしかず」は、本当です
創業当初、日本で販売できる商品のクオリティーをインド人の製作スタッフに追求するのが、とても難しかったと立花さんは振り返ります。商品が入った段ボールは砂埃まみれだったり、形がいびつだったりで、販売できるようなクオリティーになるまでにはなんと3年もの月日がかかったそうです。
そんな状況の中、立花さんはインド人スタッフを日本に招待し、スタッフの意識を大きく変えることに成功しました。
日本の美しい百貨店売り場を直接スタッフの目に見せたところ、それからは製作スタッフの技術がめきめきと上達し始めていったのです。
立花さんはこの経験から、まさに「百聞は一見にしかず」であることを体感されたと言います。このように物事が行き詰まってしまうときは、お互いの価値観が共有されていないことが多く、「自分の考えが当然」という認識でいると、そのことになかなか気付けず、すれ違ってしまうことが多いのです。
「なぜできないの?」を捨てること
文化や感覚がまるで違うインド人と仕事をしていく中で、立花さんは他の日本人スタッフと一緒に「なぜできないの?」という考えを捨てることにしたと振り返ります。
そう決心してからというもの、少しずつインド人スタッフの製作技術が上がってきていることに驚かされることが増えたそう。感謝の気持ちをきちんと伝えながら、やり取りを続けていった結果、始めの頃には想像もできないほど素晴らしい商品を作れるように成長を遂げました。
思い続けることが大切
「いいものをつくり、お互いにいい仕事がしたい」という立花さんの強い思いが伝わるまでに、相当な時間と労力がかかったそうです。しかし「やりたいことを全部やりたい!」と思い続けることが、自分自身とまわりの人を幸せにしてくれると立花さんは言います。
たとえ時間がかかったとしても、回り道をしたとしても、「やりたい!」という気持ちを持ち続けることが大切なんだと気付かせてくれました。