私立中学と公立中学の違いとは?
学費
学費を家計から捻出できるかどうかは、子どもの進路選択において最重要事項かと思います。
文部科学省の調査によると、公立の中学校に通う中学生1人あたりの年間教育費は約49万円に対し、私立の中学校に通う中学生1人あたりの年間教育費は約140万円と、約3倍の費用が必要となっています。
基本的な教育費に加えて、学校指定品(制服や鞄、靴など)、通学定期代、クラブ活動にかかる費用(用具費用、遠征費など)、学校によって求められる金額が異なります。
また、多くの場合、私立中学には金銭的に余裕がある家庭のお子さんが多く通っているので、交際費が高くなりやすいようです。
ギリギリの家計費で私立に入れるのか、金銭的に余裕のある活を公立で送るのか。
長期的かつ多めに見積もった計画を立てていくのが大切です。
友人関係
地域や小学校の雰囲気によって異なりますが、一般的に地元の公立中学校に進学する子の方が過半数を超えると思います。
子どもが小学校で友人と楽しく過ごしているか、それともあまり馴染めず環境を変えたいと感じているか。
また、女子校や男子校か、共学のどちらがよいか。
子どもの性格や周囲との関係性を踏まえて考えていく必要があります。
通学方法
公立中学は徒歩や自転車での通学圏内、私立中学になると電車やバスを使って通う子が多いかと思います。
同じ時間であっても、大人が感じる通勤時間の負担と、中学1年生の子が感じる通学時間の負担は異なった感覚。
登校時間・下校時間に合わせた通学を体験した上で検討してみるのがおすすめです。
学習環境
中高一貫校であれば、高校受験の必要がなくなり、中学のうちは、さほど内申点を気にせずにいられます。
大学の付属校であれば、内部進学に必要な成績を収めればよいかもしれません。
ですが進学校であれば、中学の時点から難関大学進学を見据えたカリキュラムを組んでいる学校も多いので、中学受験を乗り越えたあとも厳しい学習スケジュールに追われる場合もあります。
学習に対する姿勢や苦手意識もやはりそれぞれの子どもによって全く異なります。
本人がどの程度勉強に力をいれたいか、親が求める最低限の進学ラインはどこか、夫婦や親子間で話し合っていく必要があるのではないでしょうか。
その他、力を入れている取り組みや校風などは学校によって様々。
学校説明会やオープンスクールには子どもも一緒に足を運び、雰囲気を確かめるのがおすすめです。
大切なのは子ども目線での話し合い
「小学生に判断させるのは難しい」、「親が道を作ってあげるべき」などの考えもありますが、子どもとの話し合いの中で進路を選択するのはとても大切な過程です。
長い目で考えると、偏差値や金銭面、通学距離から大人が合理的に決めるのではなく、子どもにわかる言葉で説明し、希望を聞いて話し合うのが重要。
親がよかれと思って導いても、子どもの受け止め方は複雑なケースも多いです。
- 親にレールを敷かれた
- 親の希望に沿わないと叱られる、嫌われてしまう
- 楽しく遊んでいた時間を否定された
- 「合格」という条件ありきの愛情しかもらえない
- 学歴や成績で人の価値が決められる
特に、スムーズに話が進んでしまう、Noと言わない子・努力家で真面目な子ほど慎重に決めていく必要があります。
子どもの意思を尊重して決める過程は親への信頼感にも繋がり、のちの関係性に大きく影響します。
子どもの将来を「〜でなければ」と決めつけず、一度「なるほど」と受け入れ、対等に話し合えるとよいのではないでしょうか。
また、どのような進路であっても、家庭内の雰囲気や家族の関係性は子どもの健康に大きく影響します。
子どものためを思って決めた中学受験で、夫婦喧嘩が増えて雰囲気が悪くなったり、合否が家族仲にネガティブな影響をもたらしてしまうのは、本末転倒。
家族全体でのコミュニケーションも大切にしてください。
複数の視点から考えるのが大切
友人の言葉やネットニュース、近しいコミュニティでの考え方に影響され、「中学受験をしなければいけないのか?」と感じる方もいらっしゃると思います。
ですが、大事な選択だからこそ、視野を広げて、本人の意志と家庭の教育方針、家計をよく照らし合わせながら検討する必要があります。
子どもの健康と笑顔を大切にした道を見つけられるといいですよね。
参考資料
文部科学省「平成30年度子供の学習費調査」https://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/chousa03/gakushuuhi/kekka/k_detail/mext_00102.html