お話を伺ったのは……熱海康太さん
小学校教諭。小説の連載、講演、セミナー、動画制作なども行い、パラレルキャリアを形成している。著書に、『「明るさ」「おだやかさ」「自立心」が育つ 自己肯定感が高まる声かけ』(CCCメディアハウス)、『伝わり方が劇的に変わる! 6つの声を意識した声かけ50』(東洋館出版社)、『学校経営と授業で大切なことは、ふくろうのぬいぐるみが教えてくれた』(黎明書房)など。SNSでも情報発信中!
『今日から使える!宿題のもやもやスッキリ術 』
著者:熱海康太
価格:1,430円(税込)
出版社:実務教育出版
「なぜ勉強しなきゃいけないの?」という問いにどう答える?
「教師をしているとよく聞かれるのが、『どうして勉強をしなくちゃいけないの』という質問」と熱海さんはおっしゃいます。
その質問を深掘りしてみると、「なんでもスマホで調べられるのに、自分で計算したり、覚えたりする必要ないじゃん」という言葉がよく返ってくるそうです。
子どもに宿題・勉強をすすめて、同じように反論された経験がある方も多いのではないでしょうか?
今回は、「なぜ勉強しなきゃいけないの?」「なぜ宿題をしなきゃいけないの?」という子どもの問いへの解答例を紹介します。
解答例1:「スマホ検索するためには、それなりの知識が必要だよ」
デジタルネイティブである子どもにとって、タブレットやスマホなどの端末はとても身近なもの。わからないことを検索する親の姿を見ている経験も相まって、「勉強なんてしなくても、スマホで調べればよくない?」と考えるのかもしれません。
しかし、「そもそも知らないことはうまく検索できない」と熱海さん。知らない言葉や計算方法を調べるのは困難で、仮に調べられたとしても、書いてある内容がわからなければ意味がないとおっしゃいます。
スマホ検索をするためには、ものごとのアウトラインを理解している必要があります。中学校で習うくらいまでの知識は、一度は頭の中に入れておくといいと、子どもに伝えましょう。
解答例2:「勉強って、頭の使い方を学ぶことなんだよ」
前述の通り子どもに伝えても、「分数÷分数の計算なんて、ふだんの生活では使わないよ」と言い返されるかもしれません。そんなときは、「勉強って、頭の使い方を学ぶことなんだよ」と伝えましょう。
学校では体育の授業で逆上がりを教えることがありますが、それは大人になってから逆上がりが必要になるからではありません。逆上がりを通じて、逆さになる感覚・からだを支える感覚・からだが回る感覚を身につけるために行うのだと熱海さんはおっしゃいます。「問題を解くときの『頭の使い方』って、一生の財産になるらしいよ!」と伝えてみましょう。
解答例3:「勉強すると、将来できることが増えるよ」
それでも子どもが納得しないようなら、子ども自身の将来について話してみてはいかがでしょうか? 勉強すると希望の高校や大学に進学できること、高校や大学を卒業していないと就くことができない仕事も多く存在することを話してみましょう。「別にやりたい仕事なんてないし」と言われるかもしれませんが、「はっきり決まっていないからこそ、何にでもなれるように勉強しておくほうがいい」と熱海さん。勉強することで、子ども自身の未来の可能性が広がることを、説明しましょう。
「新しいことを知るのが楽しいから」「まわりに負けたくないから」「お金持ちになりたいから」「モテたいから」など、勉強に取り組む理由は人それぞれ。親自身が子どもだったときを振り返って、「なぜ勉強したか」を子どもに話してみるのもいいかもしれませんね!