「チョコレートとアートでしあわせに!」チョコレートバイヤーみりさんの<It's my life>

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 「チョコレートとアートでしあわせに!」チョコレートバイヤーみりさんの<It's my life>

2024.01.20

世界各国のショコラティエをめぐり、数々のレアチョコを発掘してきたのが「チョコレートバイヤーみり」こと、木野内美里(きのうちみさと)さん。日本に初上陸させたチョコレートは約250ブランド!そんなみりさんのライフワークは臨床美術。チョコレートと同じく「みんなを幸せに」するマジックがそこには潜んでいるようです。

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お話を伺ったのは…チョコレートバイヤーみり(木野内美里)さん

みりさん

美術系の高校、大学を卒業後にお花を扱う大手企業に就職後フェリシモへ入社。食品の担当の後、チョコレート担当に。コロナ禍を除き、毎年世界中を回ってチョコレートを発掘し、27年間で日本初上陸を果たしたブランドは約300にも。日本にチョコレート文化を根付かせたキーパーソンのひとり。プロレスとお茶ととうもろこし、絵を描く時間を愛する神戸生まれの56歳。阪神大震災直後に結婚したご主人とふたり暮らし。

オリンピックよりも草野球に惹かれます!

リンツ1フェリシモ本社2階にあるチョコレートミュージアムにて。

「私が紹介するチョコレートは、地元に根付く家族経営の小さなお店がほとんどです。もちろん有名店の作品はおいしいし、技術も素晴らしいけど、それは他のバイヤーさんや百貨店さんにお任せしたらいいかなって。オリンピックはもちろん感動するけど、草野球もまたいいじゃないですか(笑)。お母さんたちが子どもの少年野球に熱狂する、みたいな(笑)。人気や知名度より費やしている熱量に共感できるチョコレートを探し当てたくて。」

ミィ可愛らしいワンピースは、ムーミンの登場人物ミィのイメージのフェリシモの商品。

競技用美術とチョコレートコンクール

3歳の頃から近所の絵画教室へ。先生は独学で美術を学んだというバイタリティの持ち主で、みりさんの座右の銘『ぬりえはするな!』も、先生からの言葉。「とにかくたくさん褒められるのがうれしくて」はじめは楽しく描いていたはずなのに、受験を意識して絵を描き始めた途端、心境の変化が…。

リンビー出典:rin-b.felissimo.co.jp臨床美術をベースとした「Rin-b!(リンビー)」のオリジナルのアートプログラムをレクチャーする、みりさん。

「私は、絵を描いていれば機嫌のいい子で、言葉で話すより文章を書くよりも絵を描く方が楽なくらい。それほど大好きだったのに、受験生の頃に『点を取るための競技』をしているような気持になって…全然楽しくなくなって。」志望校への合格通知を手にしても、どこか気持ちは晴れなかった。

幸福のチョコレート出典:www.felissimo.co.jpみりさんチョイスの各国のチョコレートが購入できる
フェリシモ「幸福のチョコレート」。

チョコレートにも同じことが言えるのかも…と言葉を続ける。「勝つためのチョコレートっていう方向性も世の中にはあるんでしょうけど、私の伝えたいものとは違うなって。」みりさんが世界中から発掘する「幸福(しあわせ)のチョコレート」には、受賞歴や知名度は関係なく、さまざまな国の味が並ぶ。「個性あふれるショコラティエとお仕事できるのが一番楽しいんです。」と目を輝かせた。

母の死と臨床美術との出会い

花出典:www.photo-ac.com

チョコレートバイヤーとしての活動が広がる中、悲しい別れもあった。
「母は私が20代の頃に乳がんを患い、10年以上闘病する中、だんだん家に引きこもるようになり、やがてはうつ症状に苦しんで…そんな母が亡くなった後から臨床美術と出会いました。絵を描くしあわせを実感。しかも、自分だけじゃなく万人が。それこそ真っすぐ垂直にハマりました(笑)。」

Rin-b!出典:rin-b.felissimo.co.jp心を軽やかに解放し、自由に楽しむ…そんな活動がRin-b!。

Rin-b!(リンビー)は、臨床美術を基としたアートコミュニケーション。絵を描くことで心を解放し、ストレス発散にも効果的。「『母と一緒に絵を描きたかったな』って今、すごく思います。一番身近な人にアートのしあわせ感を伝えることができなかったのが残念で…。」そんな過去の自分と向き合いながら、ひとりでも多くの人と絵を描くことに時間と心を捧げる日々。

お絵描きはしあわせの魔法?!

絵を描く子ども出典:rin-b.felissimo.co.jp

臨床美術と出会って以来「アートのハッピーを伝えたい」一心で、週末も子どもたちと絵を描く活動を続けている。あるときはチョコレートの旅から帰国した10時間後に公民館で子どもたちと絵を描いていたことも!

りんびー出典:rin-b.felissimo.co.jp

「私は残念ながら母と絵を描くことができなかったけれど、もしかしたら今日、悩みを抱えた人やその家族が来てくれるかも…と思って家を出ます。クタクタな日にやっとの思いで会場に辿り着いても、誰も来てくれない日もあるんですけどね(笑)。それでも『なんや、今日は私ひとりか!』って笑ってひとりで描いています。」

砂絵出典:www.photo-ac.com

「例えば牢獄に入れられても(笑)紙と鉛筆があれば大丈夫。砂漠でひとりぼっちになっても、砂に指で絵を描いてさえいれば、私はご機嫌でいられる自信がありますよ(笑)。私にはアートという友だちがいます。」

先を見ない、心配を作らない

日曜日の夜「いつも明日が楽しみ」とケラケラ笑うみりさん。「ああ、仕事だ。」とちょっとブルーになりがちな日曜日の夜も遠足前の子どものような気分を楽しむ。

シャボン玉出典:www.photo-ac.com「今」をちゃんと楽しむ のが、みりさん流。

「人って先を見ちゃうと『将来が不安…』ってなるんじゃないかな?まずは、今日やるべき目の前のことを1つずつやり切ることだけに集中するんです。未来のための今じゃなくてもいいじゃないですか。コロナで海外出張ができなくなったり、戦争でロシアのチョコレートが手に入らなくなったり…『何が起こるかわからない』ということを体験したので、特に思います。色んなことが起こるわけだし、だったら今の自分を大切に。必要以上に心配は作らない方がいいですよね。」

しあわせを感じられる人が、しあわせを伝えられる

チョコレートマップ自作の神戸チョコレートマップを手に。

「チョコレートも絵も似てるんです。評価を得るために作ったものじゃなくて、自分らしくしあわせな気持ちで作られたものは、きっと誰かをしあわせにしてくれるんですよ。ね?まずは自分をご機嫌に(笑)しあわせにすること。自分自身がしあわせを感じられないと、人には伝えられないですもんね。誰かのために自分が好きなことで寄り添うことができれば、素晴らしいですよね!」

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著者

みやむらけいこ

みやむらけいこ

ライター歴20年。「あなたに逢いに行きます」取材ではなく出会い、インタビューではなく会話。わかりやすい言葉で丁寧に「ひと」を伝えます。好きなものは、サーフィンと歌舞伎、主食はチョコレート。#人生はチョコレート

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