ご相談「私の老後資金が足りなさそうで不安です……。」
相談者情報
相談者:女性、46歳、正社員、独身
家族構成:79歳の母と同居
住まい:埼玉県、マンション(賃貸)
相談内容
わたしは独身。高齢の母との二人暮らしです。
母は生涯専業主婦で、今は働くわたしの食事面をサポートしてくれています。お昼もお弁当を作って持たせてくれているほど。
今は毎月8万円貯金できるようになってきましたが、私が元々散財グセがあり、貯金を全然してこなかった結果、母の貯金とあわせても現在400万ほどの金額です。
このままでは私の老後資金が足りなくなるのではと不安です。アドバイスをお願いします。
家計収支状況
それでは、お金のプロであるファイナンシャルプランナー視点で、問題点の洗い出しと改善方法を見ていきましょう。
家計の問題点
ファイナンシャルプランナーの下中英恵です。
ご質問者の方は、高齢のお母さまと同居されていますね。お母様の年金と、ご自分の収入から、毎月の支出額を引いた約8万円が毎月の貯金額となっています。このままの貯金ペースや、今までの貯金額で、自分の老後資金が準備できるのか不安を感じているようです。この家計において、注目したい問題点は、大きく2つあります。
1.お母様と自分の貯蓄を分けて考える
まずは、貯蓄についてです。ご質問者様は、お母様の貯蓄と自分の貯蓄を合わせて400万円と計算していますが、お母様の貯蓄はあなたのものではありません。お母様の貯蓄を自分の老後資金として直接使うことはできないので、家計を見直す上では、お母さまの貯蓄と自分の貯蓄を分けて考える必要があります。
2.普通預金にお金があるだけで資産運用をしていない
普通預金に貯蓄がありますが、ただ銀行口座にお金を置いておくだけではお金は増えません。当面使う予定がないお金は、資産運用に回して、自分の老後資金を準備することが大切です。
家計を改善するアドバイス
では、具体的に家計を改善するためのポイントを見ていきます。
1.自分の必要な老後資金を計算する
ご質問者様自身が老後を迎えた時に、必要となる老後資金を計算してみましょう。現在、ご質問者様の家計では、お母様と合わせて毎月225,200円の支出がありますが、もしご質問者様が1人暮らしになった場合、どのくらい支出を減らすことができるでしょうか。
例えば、食費や光熱費、保険料などの費用が月2.5万円減ったとすると、毎月の支出は約20万円。
65歳から20年間元気に生活するケースを考えると、老後の支出は、4,800万円(20万円×12ヶ月×20年間)となります。
ご本人の年金が毎月10万円もらえたとすると、年金収入は、2,400万円(10万円×12ヶ月×20年間)です。差額の2,400万円(4,800万円-2,400万円)が老後資金として必要となります。
2.貯蓄計画、資産運用計画を立てる
ご質問者の場合、今から65歳までの20年間で2,130万円(必要な老後資金2,400万円-現在のご質問者の貯蓄270万円)を準備する必要があります。
現在毎月8万円貯金されているとのことでしたので、銀行に預金し続けた場合は、1,920万円(8万円×12ヶ月×20年間)となるので、必要金額には200万円足りません。また、お母様がお亡くなりになり年金収入がなくなった場合は、毎月できる貯金額が減ってしまう可能性があります。
さらに、万が一大きな病気をして医療費がかかった場合や、少し贅沢して旅行に行きたい場合、自分が100歳近くまで元気に長生きした場合などを考えると、あと500万円くらい多く準備しておきたいですね。
ただ貯金するだけではお金が増えないので、毎月の貯金のうち、一部を資産運用で増やしていきましょう。月3万円を年率5%で積立投資した場合、投資元本720万円が20年後には1,200万円くらいまで増えます。この500万円の運用益は、ちょうど老後資金の不足分を補うことができます。
このように、自分に必要な老後資金をどのように準備したら良いか、貯蓄計画や資産運用計画を立ててみましょう。
まとめ
老後の生活に漠然とした不安を抱えている方は多いですが、具体的に必要な老後資金を把握したり、そのお金を準備する計画を立てると、モヤモヤが解決するケースがほとんどです。今回のご質問者様と同様に、老後資金が足りるか悩んでいる方は、ぜひ具体的なマネー計画を立ててみましょう。