子どもだけじゃない。大人にも関係する「発達障害」の種類と特徴【医師監修】

心と体

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2025.10.25

「発達障害」という言葉を最近耳にする機会が増えた方も多いのではないでしょうか。しかし「聞いたことはあるけれど、実際にはどんな特徴があるのかよくわからない」という方もいると思います。発達障害は、子どもだけでなく大人にも関わるテーマです。今回は、不登校や大人の心のケアにも取り組んでいる精神科医、島田直英先生に、発達障害の基本的な特徴について伺いました。

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教えてくれたのは……島田直英(しまだ なおひで)先生

島田先生の画像

精神科医・総合診療医・漢方医。不登校/こどもと大人の漢方・心療内科 出雲いいじまクリニック副院長。島根大学医学部医学科卒業後、大田市立病院総合診療科、島根大学医学部附属病院総合診療科等を経て、2025年に同クリニックにて副院長に就任。飯島院長に医学生時代より師事し不登校・不定愁訴診療の極意を学ぶ。精神科単科病院にも在籍。

発達障害とは?その種類と特徴

発達障害の種類が書かれた積木出典:www.photo-ac.com

「発達障害」という言葉はよく耳にしますが、発達障害にはどのような種類と特徴があるのでしょうか?

島田先生「発達障害は、生まれつきの脳機能の発達の偏りによるもので、主なものにASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如・多動症)、LD(限局性学習症)があります。

ASDは、対人関係を築くことの難しさや、特定の物事への強いこだわり、感覚の過敏さまたは鈍さが特徴です。場の空気を読むことや相手の気持ちを察することが苦手な傾向があります。

ADHDは、『不注意』『多動性』『衝動性』が主な特徴で、集中力が続かなかったり、じっとしていられなかったり、思いついた行動を唐突に行ったりします。

LDは、全般的な知的発達に遅れはないものの、『聞く』『話す』『読む』『書く』『計算する』といった特定の能力の習得に著しい困難を示します。」

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特性は誰にでも当てはまる

カバンの中をのぞいている女性出典:stock.adobe.com

発達障害の特徴を読んで、「これ、少し自分にも当てはまるかも?」と思う人もいるかもしれません。このように、発達障害の特徴にいくつか当てはまると感じる人もいますが、それだけで発達障害と言えるのでしょうか?

島田先生「人は誰しも程度の差はあれど、発達障害の特性が一つや二つは当てはまることがほとんどです。全く当てはまらないと思っていても、自覚がないだけで、他者から見れば当てはまることもあります。問題は、どこからどこまでを“病気”として扱うかという点です。つまり、その特性が日常生活をどの程度困難にしているかで、治療の必要性や優先度が変わってきます。」

発達障害かどうかは、単なる性格の傾向とは異なります。日常生活や仕事などに支障が出ている場合には、専門家に相談することが大切なようです。

診断カテゴリーに入らない特性もある?

顔を覆う男性出典:stock.adobe.com

日常生活を送る中で「どうして自分だけできないんだろう」と「生きづらさ」を抱えるケースも少なくありません。そうした場合、発達障害の特性が関係していることがあるのでしょうか?

島田先生「生きづらさを感じることが、必ずしも発達障害であることを示すわけではありません。うつ病や不安障害や心理的な問題が背景に隠れていることも多いです。発達障害に関連する特性としては、代表的なものにDCD(発達性協調運動症)が挙げられます。これは、いわゆる“不器用さ”が特徴で、箸の使用や球技、字を書くことなどが極端に苦手な状態を指します。周囲からは努力不足と誤解されがちで、自己肯定感の低下につながることがあります。また、特定の音や光、匂い、肌触りに対する『感覚過敏』または『感覚鈍麻』も、診断基準の中心ではありませんが、日常生活における困難を引き起こす重要な発達特性です。」

発達障害は、親の育て方のせいではなく(※参考)、脳機能の発達が関係する障害とのこと。ASD、ADHD、LDなどの特徴に加え、DCDや感覚過敏といった発達特性も、本人にとっては大きな「生きづらさ」につながることがあります。まずは、正しい理解から始めましょう。次回は「発達障害のグレーゾーン」についてご紹介します。

※参考:政府広報オンライン「発達障害って、なんだろう?」
https://www.gov-online.go.jp/featured/201104/

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