「自分が謝れば終わるから謝った」
小5の長女と小2の次女がいる。長女と次女がリモコンの取り合いで姉妹喧嘩になり、言い合いが続いたあと、妹が泣き出した。するとすぐに長女は「ごめんね」と謝った。「ちゃんと謝れて偉かったね」と声をかけてその場は収まったけど、寝る前に長女が「あのときは妹が後から入ってきた」と呟く。話を聞くと、妹がリモコンを横取りして始まった喧嘩だったけど自分が謝れば終わると思って、すぐに謝ったそう。それを聞いてなんだかモヤモヤが残った。
兄弟喧嘩や親子喧嘩のあと、子どもが「ごめんなさい」と言ってその場が収まることは多いでしょう。
親はそこで、とりあえずちゃんと謝れたことにほっとするかもしれません。
しかしすぐに「ごめんなさい」が言える子ほど、見落としてしまう側面もあります。
謝る習慣の一歩先にある子どもの本当の気持ちを考えていきましょう。
とりあえず謝る癖が身につくとどうなる?
‟とりあえず謝る、謝ったら終わり”にしてしまうと、見過ごされるものがあります。
それは謝罪の奥に置き去りにされた気持ち。
本当は、‟悔しかった・悲しかった・わかってほしかった・怒っていた”気持ちがあっても、謝れば終わると思い、飲み込んでしまっているかもしれません。
とりあえず謝る癖が身についていくと、やがて「嫌だった」「悲しかった」「悔しかった」という気持ちに気づきにくくなることがあります。
大切なのは、謝ることより先に、自分の気持ちを知ること。
謝罪は人間関係を整える行動ですが、自分の気持ちを理解することは、自分自身を大切にするための力だからです。
‟とりあえず謝る”にならないために、家庭でできる3つの関わり方
「謝って終わり」にしない
これ以上話すとこじれそう、忙しいから早く終わらせたいと思い、「謝ったら終了」にしてしまう機会は多いかもしれません。
しかし、大切なのは謝ったあとの気持ち。
その場ですぐに時間がとれなかったら、あとから時間を作ってもよいので「謝ったあと、どんな気持ちだった?」と一緒に振り返ってみてください。
すると、
- 「あのときはイライラしながら謝った。でもそのあと元通りになってよかった。」
- 「納得していなかった。まだモヤモヤする。」
- 「本当は向こうにも謝ってほしかった。けど今は、まあいっかって思ってる。」
など、さまざまな気持ちが出てくることがあります。
振り返って言葉にする習慣があると、自分の気持ちも相手の気持ちも大切にできるようになります。
家庭の中で「言い分」を歓迎する
親がイライラしていると、子どもが「でも」「だって」と言い始めると「言い訳はしないの!」と言ってしまいがち。
もちろん、なんでも正当化すればよいわけではないのですが、「言い訳」と「言い分」は別で捉える必要があります。
たとえば、「叩いたのはよくなかった。でも先に嫌なことを言われて悲しかった」
これは言い訳ではなく、自分の気持ちの説明(言い分)です。
長い目で見たとき、自分の非を認めながら、自分の気持ちも伝えられる力は、友人関係でも将来の対人関係でも大きな支えになります。
子どもの言い分を聞き、その気持ちを受け止める関わりが、子どもの支えとなるでしょう。
「どっちも本当だよね」を学んでいく
子どもは物事を白黒で考えがちです。
「私が悪かった」「相手が悪かった」のどちらか一方に決めようとしてしまいます。
しかし実際の人間関係や気持ちはもっと複雑なもの。
そこで、
- 「言い方はよくなかったね。でも嫌だった気持ちも本当だよね」
- 「友達を傷つける言い方をしちゃった。でもあなたも傷ついていたんだよね」
というように、大人が両方の気持ちを認めてあげるのが大切です。
小学校後半になると、「白黒/0か100か」という考え方ではなく、「両方ある/グレーもある」という考え方を身につけていくのも課題となってきます。
「悪かった部分は認める。でも自分の気持ちも大切にする」を学べると、健全な人間関係を築く力につながります。
人にちゃんと謝れるのは、とても大切なこと。
ですが、謝るだけで終わらせず、「そのとき、ほんとはどんな気持ちだった?」と問いかけてみてください。
自分の気持ちを見つめられるようになると、自分も相手も大切にする人間関係の力が育ちます。
“ちゃんと謝れる子”ではなく、“自分の気持ちを理解した上で謝れる子”に育っていけるといいですよね。



