急激に骨量が減少する閉経期以降、ぐんと高まる骨折リスク
髪や肌と同じように新陳代謝を繰り返している骨。私たちの骨は、古くなった骨を壊す働き(骨吸収)と、骨をつくる働き(骨形成)のバランスを取りながら、骨量を安定させ強さを保っています。しかし、女性は閉経期になり女性ホルモンの「エストロゲン」が減少すると、骨吸収の働きが盛んになり、急激に骨量が減ってしまうのだそうです。
骨量が減少して骨がスカスカになると、いわゆる骨粗しょう症と呼ばれる状態に。
「骨量が0.6g/cm2 くらいから骨折リスクが高まるといわれています。転んだりつまずいただけで骨折してしまったり、知らないうちに背骨に圧迫骨折が生じ、背中が丸くなったり身長が縮む、などの症状が起こることも。
骨量の低下という健康リスクは、自覚症状もなく、外見からは分かりづらいからこそ気をつけたいものです。カルシウムなどの栄養素を積極的に取り、生活習慣に気をつけるだけでも骨密度の低下を予防できます」(忰田さん)。
女性がとるべきカルシウム量はどのくらい?
まず、女性が1日に摂取したいカルシウムと実際の摂取量のグラフがこちら。
「このグラフでどの年代でも不足していることからわかるように、カルシウムは気をつけないと摂りにくい栄養素です。
40〜49歳の1日のカルシウム摂取量を例にとると、推奨量が650mgに対し、平均摂取量は441mg。およそ209mgのカルシウムが不足していることがわかります」(忰田さん)
では、一体どんな食品でカルシウムを補えばよいのでしょうか?
骨量の低下を防ぐ栄養素の取り方
カルシウムが多く含まれる食品は、こちら。
「特に牛乳や乳製品は、調理の手間もなくそのまま摂取でき、吸収率がもっとも高い食品のひとつでもあり、おすすめの食材です。
<食品によって異なるカルシウム吸収率>
牛乳:約40% 小魚:約33% 野菜:約19%
*出典:上西一弘ほか、日本栄養、食糧学会誌vol.51,259-299(1998年)
体に摂り入れたカルシウムは、小腸から吸収されない分は尿や汗などと一緒に体外へ排出されてしまいます。そこで、小腸でのカルシウムの吸収を高めてくれるビタミンDも摂取することが大事です」(忰田さん)
カルシウムの吸収を高めるビタミンD
魚やきのこ類に多く含まれるビタミンDの目安量はこちら。
「魚を1日1回食べると、目安量を摂取できるとわかります。
また、きのこ類は、食べる前に30分〜1時間ほど日光に当てることで、ビタミンDがアップするといわれています」(忰田さん)
カルシウムを沈着させるビタミンDやその他の栄養素
「骨にカルシウムを沈着させる働きのあるビタミンKも効果的。納豆なら1日1パック食べれば十分です。納豆が苦手な方は、青菜などの野菜を取るといいでしょう。
さらに、骨や筋肉の材料になるタンパク質も欠かせません。
基本的には1日3回のバランスの取れた食事によって、骨と筋肉を作る栄養素をとることが大切です」(忰田さん)
カルシウムの排出を促す食品に注意
逆に、過剰摂取に気をつけるべき食品もあります。
「インスタント、加工食品、スナック菓子などのリンを含む食品、食塩、カフェインを多く含む食品やアルコールなどはカルシウムの排出を促してしまうので、取り過ぎには注意が必要です」(忰田さん)
骨を強くするために気をつけたい生活習慣
カルシウムの吸収を助けるビタミンDは日光に当たることで体内で合成されることが知られています。
「1日20〜30分日光浴を兼ねてウォーキングするのがおすすめですが、このとき日焼け対策はできればしないほうが効果的。顔などの日焼けが心配であれば、手のひらを日光にかざすのもいいでしょう。
最近はコロナの影響で外出を控えている人も多いかもしれませんが、ベランダで洗濯物を干したり、庭仕事をしたり、ひなたぼっこしたり、といったことでも十分です」(忰田さん)
また、骨を丈夫にするには、骨に刺激を与えることが有効なのだとか。
「簡単で効果的な運動として『かかと落とし』があります。椅子の手や壁などに手をついて、爪先立ちをし、ゆっくり上げたかかとを勢いよく床に落とします。このようにかかとに刺激を与えると、骨を形成する細胞の働きが活発になり、丈夫な骨づくりが促されます」(忰田さん)
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