家事や育児をすることを「ママのために」というパパになぜモヤッとするのか

心と体

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2021.01.05 更新

こんにちは、日本唯一の家事シェア研究家の三木智有です。 今日は「ママに喜んでもらうために、家事をがんばっています!」というパパにどうしても、どうしても伝えたいことがあり、ここにその思いを記すことになりました。これを読んでくださっているのは「ママ」側だと思いますので、読み終わった後に「わかりやすかった!」と思ったら、ぜひパートナーへ共有してみてください。

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モヤっとする原因は何?

あなたのパートナーは「ママが喜ぶかと思って」「君がラクになるかと思って」という枕詞をつけて家事をしていると主張していませんか。
例えば「ママに自由時間をあげたくて、ぼくはがんばって家事育児したよ!」というふうに。

一見とても理解のある、すばらしいパートナーからの嬉しい一言に見えます。しかしなぜかどこかで引っかかってモヤっとした経験があるのではないでしょうか。
今回はその「モヤ」の原因を考え、「モヤ」っとしないためのアプローチを考えてみます。

「ママのため」「妻のため」ってうるさい!

家事をする男性出典:stock.adobe.comあなたのパートナーに「君のために家事を洗濯をほしたよ」と言われたら…

ぼくは、もう10年以上もパパ向けに家事シェア講座を行っています。
そこでとにかくパパたちが口をそろえるのが「ママのため」という言葉。

最初の頃こそ「妻思いの素敵な夫だな」と思っていました。でもそれは10年も昔の話。

育メンという言葉が定着し、育メンモドキなんて言葉も生まれ、もはや育メンと言われることが少し恥ずかしい時代になりました。もう、パパが家事をするのに大げさな大義名分を掲げていることがダサい時代です。

ことさらにパートナーのためを謳わなくても、今や育児はもちろん家事をシェアすることなんて「当たり前」なのです。

家事は「ママのため」にするんじゃない。
強いて言うなら「家族」のため「生活」のためにするんです。
そしてその家族の中には子どもはもちろんのことパパ自身だって含まれるんです。

心地よく暮らせるように生活を整えることは、そこに住む人みんなの最低限のつとめです。

なにより、「家事をするのはママのため」と言っている人ほど、「家事はママの仕事」と思っているように聞こえてしまいます。だって家事はママの仕事だから、変わってあげることでママが喜ぶんでしょ?

そうした無意識に持っている自主性のなさを感じてしまうから、「ママのため」と言われたママはモヤッとした気持ちになるのです。

家事は加点方式じゃない

また、そうしたパパから感じる違和感が、自分でやる家事を「加点方式」だと思っているところ。
つまり家事をするほど評価されて、愛情や信頼がアップしていくものだと思いこんでしまっていませんか。

もしかしたら、これを読んでいるママの中にも「最近は夫が家事してくれても、あんまり感謝の気持ちが高まっていかないんだよな」と不思議に思っている人もいるかもしれません。それもそのはず。

多くの場合、家事は「減点方式」なのです。

「ママに喜んでもらうために家事をしている」パパは、お皿を洗う度に、トイレ掃除をする度に、掃除やゴミ捨てや洗濯干しをする度に自分の評価がアップするのを期待するけれど、ママがご飯を作ったり、洗濯をしたり、お風呂を入れたり、子どもの着替えを手伝ったり、おむつを捨てたりする度に、ママへの愛情や信頼のポイントは加算されているでしょうか?

していないですよね。
だから「おいしいとか感謝とかを伝えて欲しい」と嘆くママがこんなにも多いのです。

しかし、例えば1か月ほど長い期間「私も忙しいので」と今まで主担当で料理や家事をしてくれていたママが「料理しない、掃除も洗濯もしない」となった場合、パパからのママへの信頼のポイントはガタガタに落ちることになりませんか?

つまり、家事はやったから加算される「加点方式」ではなくて、やらないと減点される「減点方式」で思われていることが多いのです。

それは、ママからパパへだって同じことです。家事をやって評価が上がったのではなく、「下がらなかった」のです。

家事をお互い加点方式で捉えてみよう

ここまでせっかく家事をやろうと思っているパパへ、だいぶ厳しいことを書いてきました。
家事をやるモチベーションのなかに「ママのため」というのが含まれていることが、全部悪いわけではありません。
ただ、本当にそのためだけに家事をするとなると、お互いのモヤモヤは溜まっていってしまうかもしれません。

家事は減点方式だと書きましたが、それを自覚したうえで、加点方式に切り替えませんか、というのがぼくの主張です。
家事だけでなく、どんな些細なことにも上手に感謝を伝えあっている夫婦は、とても強い信頼感で結ばれています。

「当たり前のこと」ではなく「家族のために頑張ってくれたこと」という気持ちを忘れずに、ちゃんと夫婦でお互いに伝え合うようにしてください。

感謝を伝えるところまでが、家事なのだと思うといいかもしれませんよ。

※表示価格は記事執筆時点の価格です。現在の価格については各サイトでご確認ください。

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著者

三木智有

三木智有

NPO法人tadaima!代表 日本唯一の家事シェア研究家/子育て家庭のためのモヨウ替えコンサルタント。著書に『家族全員自分で動く チーム家事』がある。

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