【犬山紙子×川村真木子】あなたのその「発言」、自分や後輩女性への呪いになっていない?

心と体

2021.02.06

身の回りにひそむ「何かこれっておかしくない?」と、普段思っていることありませんか? 社会派コラムが大人気のバリキャリ金融女子、川村真木子さんとエッセイストやコメンテーターとして活躍する犬山紙子さんに、無意識でしてしまう自虐など、自分やまわりの女性を傷つける「発言」について語ってもらいました。

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つい自虐に走ってしまう理由とは

川村真木子さん(以下川村):はじめまして。今日はよろしくお願いします! 犬山さんの本も『負け美女』とか読ませていただきました。モテに対する洞察力がめちゃめちゃ面白くて。

犬山紙子さん(以下犬山):よろしくお願いします。読んでいただいた『負け美女』はデビュー作で、美女って人生イージーモードといわれているけれど、まわりの子たちを見ていると全然そんなことない、という内容なんですね。でも人をカテゴライズしたり、恋愛がうまくいっている=勝ちという風に定義していたり、そもそも勝ち負けで女性を区切ってしまったことに今は猛省中なんです。

川村:何かを発信するのってある程度カテゴリゼーションって必要だと思うんですよね。皆さんにわかりやすく伝わるわけだから。私もよく「日本人は…」「女性は…」とかすぐカテゴライズするって人から言われますけど(笑)。

犬山:あの本を執筆したときから、今は少し変わっていて、今の私はどちらかというと主語を大きくしないという風に方向転換したんですよ。大きな主語にするとどうしても固定観念でカテゴリゼーションしてしまうので。

川村:考え方が変わっていくのはいいことですよね、必ずあります。それを恐れていると発信できない。ほかにも何か考え方が変わったところはありますか。

犬山:ありますね。その当時って自虐が流行っていたので、私自身もすごい自虐的な発言をしていたんですよ。

笑いをとるために自分を下げる。そうしない限り人に認めてもらえないって勘違いしていたんです。でもその自虐が、例えば「4年間彼氏がいなくてやばーい」って言ったとすると、それって自分だけじゃなくて同じ属性の人全員をおとしめているっていうことに後々気付くんですよ。その当時は自虐だから、他人を攻撃していないからセーフだよねって思っていたけれど、その後色んな人の話を聞いていく中で、自分がやっていることって女性差別を助長させるようなことなのかもって気づいたんですね。

川村:なるほど。自虐は、普通に皆やってしまっていますけどね。

犬山:自虐って自分を守るためのひとつの処世術だと思うんですよ。セクハラを笑って返すみたいなことで、自虐しないとまわりからいじられるじゃないですか。

例えば「お前結婚していないの?」とか、男社会の中でプライベートをいじられてすごく辛い思いをする。それを、人からいじられる前に自分から自虐をして、「私やばいんですよー」って言っておくと、自分の心にバリアをはれたような感じがする。

でも、結局は自虐って、その場はしのげても自分で自分に呪いをかけるというか、「私ってやばいんだ」って、自分の口でいうからダイレクトに自分にきちゃうんですよ。そう思うと、同じ属性の人をおとしめるだけじゃなくて、自分にとってもよくないなって。

犬山さんコメント自虐とは

川村:自虐させられてしまう場面はありますよね。私も若いころありました。

金融機関でずっと働いていて、私が若い頃は秘書じゃない女性は社内にほとんどいなかったので、そうすると必然的にいじられたりからかわれたり、もちろんセクハラもあったし。そういうときに“自分はモテないキャラ”を演じると楽なんですよ。

犬山:めっちゃわかるー! 男社会の中にいると、“お前はほかの女のことは違う、本音喋れるよポジション”を得ないとものすごく生きにくい。

川村:そうそう、同化しないといけないんですよね、男性に。

犬山:でも「それって、何? その男性側の意見、男っぽいっていうのが誉め言葉になるわけ?」って、腹がたちました(笑)。もともと女より男の方が上だっていう発想がないと出てこない意見ですよね。

川村:やっぱり、その社会で誰がマジョリティで誰がマイノリティかっていう話だと思うんですよ。仕事をしていく中では現状は男性がマジョリティなんですよね。それってアメリカでは圧倒的に白人が強くて、黒人とかほかの人種の人がなんとなく白人に合わせなきゃいけないという風潮と同じことだと思う。でもそれは社会の圧であって、男性一人一人、白人一人一人が悪いわけではないんですよね。

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