【犬山紙子×川村真木子】あなたのその「発言」、自分や後輩女性への呪いになっていない?

心と体

2021.02.06

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「マイノリティ」である女性として社会で働くこと

川村:女性が日本でマイノリティとして働くと、ポジションが上になればなるほど、男性からうざがられたりするんですよ、これがまた(笑)。上司が女性だと嫌だ、どう接していいかわからないとか言われます。女性が自分より立場が強いっていうことに対してアンコンフォタブルだと感じる、実際に口にする男性は多いと感じています。

犬山:そういった「女性が上に立つと不快だ」というような男性の部下に対しては、どういう風にふるまっているんですか。

川村:私はなるべく自分を出すようにしていますね。男性に対しても女性に対してもフラットにつきあうように心がけています。海外で生活したのもあるんですけど、自分が年が上だから、ポジションが上だから偉いっていう感覚があんまりないんです。だから自分よりもだいぶ年下の親友もいるし、立場が上だろうと下だろうと、男性にも普段の私で接して、「これわからないから、やって」という風に普通に接していると、「あれ? この人実はそんなに怖い人ではないのかも」って徐々になっていく。

犬山:昔のなごりじゃないですけど、自虐的なことだったり、男性に合わせるような発言が出ることはないですか。

川村:無意識で出ちゃうことはあると思うんですけど、自分の中では実は気を付けている。私がそうすることで、私の後輩女性たちがすごく迷惑するだろうから。

犬山:後輩女性が迷惑する、本当にその通りですね。かっこいい!

川村真木子さん 負の連鎖を断ち切る

川村:どんな場面でも言いたいことは言うし、男性が女性に対して何か面倒くさい発言をしてきたときには、必ず「それは違う!」って教育しています、私(笑)。私も含め、上の人が変わらないと。まだインパクトの薄い新人の方が変わっていきたいと思っても、それは愚痴に聞こえてしまったりして、意見としてすんなり通らないですからね。

犬山:頼もしい~(笑)。本当に負の連鎖って次の世代に受け継いではいけないですよね。一気にストップさせるのは難しくても、徐々にそういう方向にしていくには、インパクトのあるポジションにいる女性が気を付けてくれるのとそうでないのでは大きな差がある。

女性はどうしても自責する人が多い気しています。なぜなら女性が不平等を訴えると「めんどくさいやつだな」とレッテルを貼られてしまったり、「そういう前に努力したの?」と環境を整える話がなぜか自己責任論に収束されてしまったりと、自分が悪いと思わされてしまう社会の圧がある。

だから女性の立場をよくしていくには政治に変わってもらうしかないですよね。選挙っていう形で示したり、あとは最近はSNSもあるし。こちらもすぐには変らないけれど、小さなことからコツコツと。InstagramやTwitterで自分の意見を可視化させていくことが大事だな、と思います。

川村:一番だめなのは、私みたいなシニアの女性で自分はある程度の立場にいるにも関わらず、自分はここまで自力でのぼってきたからって、下の人をいじめる奴がいるんですよ。

犬山:あー……いますよね。

川村:「私はここまでくるのがすごい大変だったんだから、あなたはそれに比べたら、全然できていない」って、言いだしたり、男性の味方をしたりだとか。そういう方もけっこういましたよ。

一方で私を引き上げてくれた女性の上司もいました。そういう人をみていると私も女性の味方になりたいなと思ったし、背中でみせていきたいなって。自分が苦労したからって若い女子をつかまえて自分みたいな苦労をさせようっていう人には絶対なりたくないなと思っています。

犬山:わかります(苦笑)。“私のした苦労はお前もしろ”派閥ですよね。

川村:背中で見せていく、って大事です。自分ひとりの生きざまは小さな力かもしれないけれどでも半径何メートルの人たちにはそういう女性がいるっていうことが力になるかもしれないですよね。

例えば、男の人ばっかりの中に私が1人という状況だと、委縮してしまうことがあります。「ここででしゃばるとイメージ悪くなるかな」など思ってしまう。それを吹っ飛ばす方法として、おすすめなのはロールモデルとなるような強い女性を思い浮かべることです。理想の女性のパワーを借りて喋るとリラックスして喋れる。本当にかっこいい先輩の姿、尊敬できる人の姿を自分の中に持っておくっていうのは、比喩とかじゃなくて力になるはずです。自分もそういう理想とする女性の一人になれたら最高ですよね。

犬山紙子さん、川村真木子さん プロフィール

犬山紙子さん

1981年大阪府生まれ。コラムニスト、イラストエッセイスト、コメンテーター。『負け美女 ルックスが仇になる』(マガジンハウス)でデビュー。著書に『アドバイスかと思ったら呪いだった。』(ポプラ文庫)、『女は笑顔で殴りあう マウンティング女子の実態』(瀧波ユカリとの共著 筑摩書房)、など多数。2017年に長女を出産。児童虐待をなくすための活動 #こどものいのちはこどものもの ボランティアチアームのメンバー。

川村 真木子さん

奈良県生まれ。一児の母。高校時代に渡米、UCバークレーを卒業する。卒業後、米投資銀行ゴールドマンサックスを経て米大手投資会社に転籍。4万人のフォロワーを抱える社会派インスタグラム@makikokawamura_が人気。

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