片頭痛と緊張性頭痛 異なる症状と対処法
前回取り上げたのは、ズキズキと脈打つような痛みがこめかみ付近の片側、または両側に現れる「片頭痛」。今回は、ズキズキではなく「ギューッ」と頭が締め付けられるような痛みが、首や肩の凝りを伴って起こる「緊張性頭痛」にフォーカスします。片頭痛編で何度も書きましたが、頭痛に素人判断は禁物。月に10回以上起こるような時には、市販薬を飲み続けるのではなく、医師の診断を仰ぎ、適切な処方箋で速やかな治療が必要です。
なぜなら、いわゆる「頭痛持ち」の人の大多数が経験する片頭痛と緊張性頭痛、実は全く対処の方法が違うからです。処方される薬が違うのはもちろんのこと、患部を冷やすと収まるのが片頭痛なのに対し、温めると良くなるのが緊張性頭痛。そして片頭痛ではコーヒーなどカフェインの摂取で改善がみられることもあるのに対し、緊張性頭痛では悪化することも……。まずはその症状と原因をよく理解しましょう。
では、今回も「頭痛チェックシート(埼玉国際頭痛センター長 坂井 文彦 先生 監修)」で、あなたの頭痛をチェックしてみましょう。
緊張性頭痛の原因
心身のあらゆるストレス
緊張性頭痛は、心身のあらゆる意味での「ストレス」が原因とされています。嫌なことがあったり、生活や職場の環境の変化など「精神的ストレス」で起こる頭痛は緊張性頭痛が疑われます。また、長時間パソコンに向かう、スマホを使う頻度が高い、椅子の高さや枕が合わない、など体にとって不自然な姿勢が続くことで「身体的ストレス」が生み出され、緊張性頭痛を発症することも多いようです。
足が冷えると頭痛になる?!
今回は、実際に「緊張性頭痛」のベテラン選手?!である筆者がメンテナンスに通う、癒し整体院くつろぎの小森博史院長に緊張性頭痛のメカニズムと簡単に行えるセルフケアについてお聞きしました。まず緊張性頭痛については「身体的または精神的なストレスは血行不良を引き起こします。そのため肩や首をはじめ体全体のコリを引き起こし、それが原因で頭痛になって現れるものと考えています。体のどこかが「悪い」というよりも「弱っている」状態だと捉えています。」とのこと。
実際に、私は頭痛になるとすぐに小森さんのところに伺うのですが、何度目かのときに「みやむらさんが頭が痛いと言って来るときは、いつも足が冷えていますよ。」と言われたのです。首や肩が凝って頭痛になる……というのは聞いたことがありましたが「足の冷え」が頭痛に繋がるとは!!
それからは頭痛を感じた時にはすぐに「足湯」をすることに。大き目の洗面器かバケツにティファールで(笑)沸かしたお湯と水を混ぜて適温にし、リビングの床にバスマットを敷いた上に置いたら、ソファに座りながら足湯でリラックス……途中でお湯が冷めたらティファールのお湯を足します。そうしていると、いつの間にか痛みが和らぐようになりました。そして、小森さんにお会いする回数がぐんと減りました(笑)。私と同じように「はち巻きで頭を締め付けられるような」頭痛のときは、足湯をぜひ1度試してみてください。もしもお風呂に入れる状態なら、お風呂の方がなお効果的。体を温めて、ゆるゆるとくつろぎましょう。
ポイントプッシュでメンテナンス
まずは顔回りを押してみる!
緊張性頭痛も片頭痛と同様に、ツボを指先で押すことで痛みの緩和につながる可能性が高いと聞いて、早速「1番最初はどこを押せば?」と聞くと「おでこからこめかみにかけて、いくつかのポイントがありますよ。」とのこと。写真では頷厭(がんえん)という「髪の生え際に指をあて、口をパクパクしたときに動くところ」を押しています。このままこめかみあたりまで指を滑らせてみると、気持ちよく感じられるポイントがいくつか見つかります。実はこの原稿を書きながら筆者も首の後ろのこわばりで頭痛がすでに起こっているのですが、おでこからもみあげまでのいくつかのポイントを指やこぶしの出っ張りで押していると、痛みが和らぎ(血が巡った!というようなスッキリ感があります)作業を続けることができています。
そして、次は頭の後ろ、首へと
写真で押さえているポイントは、風池(ふうち)といって、耳の後ろの骨と、後頭部のくぼみの中間にあります。ここを刺激すると周囲の血行が良くなり、周辺のこわばりが緩むのが分かります。力を入れて押すと他の部分に緊張が新たに起こってしまうので、呼吸と共に柔らかく深く、を心掛けます。
両手の親指を風池に当てて、そのまま仰向けに寝転がると頭の重さで適度な刺激が風池に送り込めます。この時のコツは「右手は左目の奥、左手は右目の奥に向かって押すようなイメージで、刺激をナナメに入れると効果的。」だそうです。(他の指は刺激を入れず頭を支えるために添えるだけにします)つい強めのグイグイとした刺激が「イタ気持ちいい」と感じることが多く、誰かに押してもらいたい人も多いかもしれませんが「人に強い刺激を入れてもらうと、知らない間に刺激を受ける方が身構えてしまい、呼吸を止めたり体が硬くなりがちです。自分でゆるめに刺激を入れる方が実は体には効くんです。」と、少々びっくりなお答えが返ってきました。体を緩めるには、セルフケアを心掛ける、ということですね。
侮れないのが副鼻腔
「鼻がつまると頭痛になる」という人はいませんか?「いつも鼻づまり」という人は、もしかすると副鼻腔炎を起こしているかもしれません。副鼻腔炎は悪化すると蓄膿症になるため、長く鼻の症状が続く場合は診察の上、そちらの治療を行うべきですが、たまに起こる鼻づまりが頭痛のタネ……という場合には、鼻のツボを刺激することで呼吸を楽にすることができます。このときの注意点は「グイグイ押したりはせず、指先を小鼻の横に置いて左右に滑らせる程度で十分効果があります。皮膚の薄い部分なので、強い刺激は肌の黒ずみの原因になるので注意が必要です」とのこと。鼻づまりの影響で「口呼吸」をしてしまう人には、頭痛持ちさんが多いそうです。気になる症状は1つずつクリアしておきましょう。
そして最後は、鎖骨と脇の間のゴリゴリ!
デスクワークをしている人に「絶対オススメ」なのが、この鎖骨と脇の間です。写真の「人差し指で押している位置」を参考に自分で探して押してみると「んぐぐ……」となるポイントが見つかります。ここは机の上に腕を置いているとちょうど折れ曲がる場所で、筋肉が縮まってしまうため、押してみると痛みを感じるのです。指を軽くあてながら、そこを支点にしながら腕を後ろに引く動作をするか、または10秒ほどギューッと押したあとに指を離してみると、刺激の後の開放で血液の流れを感じることができるため、すっきりします。「セルフマッサージをするときには、くれぐれも強く押しすぎないように。そして呼吸は穏やかにゆっくりと。」がコツのようです。
それでも治まらないときは……
内科や頭痛外来での緊張性頭痛の治療は、鎮痛剤や筋肉の緊張を緩める筋弛緩薬、漢方薬などで痛みを和らげます。しかし、精神的な不安やストレスが原因と見られる場合には、心療内科で抗うつ薬などを用いることもあります。つまり「ストレスを感じているのは体なのか?心なのか?」によって治療が異なる、というわけです。「市販の頭痛薬では効かないな」と感じる人は、片頭痛と同様に処方箋が無いと手に入らない薬もあるため、1度は病院で診察を受けてみることをお勧めします。
お話を伺ったのは……癒し整体院くつろぎ 院長小森博史さん
カイロプラクティック専門学校入学前より治療院で修業を始め、16年間でのべ2万人以上の施術実績を更新中。独自のメソッドにて、ほぐさない、痛みのない「整える施術」が評判を呼んでいる。学生時代に不登校や対人恐怖症を経験した後、高3から2年間で20キロのダイエットに成功!その後は持ち前の精神力で、リバウンド無く18年間体型をキープしている。整体院経営の傍ら「整体で心とカラダと考え方を整え、心身共に豊かな毎日を手に入れるきっかけに」と、さまざまなメディアで情報発信中。