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不妊治療はお金がかかる?人には聞けないリアルな金額

家族・人間関係

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2021.11.21

晩産化がすすみ、高齢出産を望む人の中には「不妊治療」を必要とする人たちも増えています。しかしその治療法や費用については、当事者以外あまり知られていません。そこで、不妊治療の詳しい内容について、看護学博士であり現役の助産師でもある朝澤恭子先生にお話をうかがいました。 

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教えてくれたのは……朝澤恭子先生

東京医療保健大学東が丘・立川看護学部看護学科准教授。看護学博士。看護学修士。助産師。看護師。妊娠、出産、不妊治療の臨床の現場に立ち会いながら、産後ケアなど婦人科目の論文を積極的に発表。各種メディアにて、不妊や生理など女性特有の悩みについての正しい知識を発信し続けている。

一般的な出産にかかる費用

一般的な出産にかかる費用出典:stock.adobe.com

妊娠から出産まで、正常分娩の場合にかかる費用は、分娩料や入院料をまとめると、平均約50万円程度と言われています(個室代などは含まず)。
帝王切開(異常分娩)の場合は、さらに手術にかかる費用が加算されます。

参考:公益財団法人国民健康保険中央会「正常分娩分の平均的な出産費用について(平成28年度)」

不妊の場合にかかる費用は

高齢出産だからかかる費用はあるの?出典:stock.adobe.com

一方で必ずしもスムーズに妊娠できるとは限りません。朝澤先生によると、不妊に悩む方が出産を望む場合、まずは「妊娠するための治療」が必要になるとのこと。

「一般不妊治療であれば月数万円かかることになり、これが妊娠するまで続きます」(朝澤先生)

そして無事妊娠した後も、胎児の生育状態を確認する「出生前検査」を希望すればさらに費用がプラスされるとのこと。

「トリプルマーカー、クアトロテストは3万円ほど。新型出生前検査は20〜26万円。羊水検査が必要となれば10〜15万円かかります」(朝澤先生)

さらに高齢出産の場合にかかる費用もあるとのこと。

「高齢出産の場合は、妊娠中も妊娠糖尿病や妊娠高血圧腎症になりやすいため、もしなった場合はそのつど別途治療費や入院費がかかります。早産リスクも高いため、胎児が低出生体重児だった場合にはNICUに親が面会のために通う費用もプラスされることも」(朝澤先生)

さらに高度な治療になると大きな負担に

さらに高度な治療になると大きな負担に出典:stock.adobe.com

一般不妊治療で妊娠が叶わなかった場合、希望するならばその先の高度生殖補助医療に進むことができます。いわゆる、体外受精や顕微受精と呼ばれる治療ですが、こちらは1回50~100万円ほどかかるとのこと。こちらは対象者は限定されますが、1回10〜30万円の助成が受けられます。

ただどんなに高額な不妊治療を行っても、妊娠できるかどうかは誰にもわかりません。そのため、不妊治療のやめ時を見失ったり、無事妊娠できてもその後の育児費用が負担になったりする場合もあるようです。

「2022年からは、高度生殖補助医療にも一部公的医療保険が適用になります。だからこそ、不妊治療を始める前に、ぜひご夫婦で話し合いをしてください。どのような治療を、どれぐらいの期間、どれくらいまでかけるのかという費用の上限などを決めて、不妊治療に望むことをおすすめします」(朝澤先生)

夫婦で協力することが必要

夫婦で協力を出典:stock.adobe.com

朝澤先生によると妊娠したいと思ったときには、正しい知識を得ることがまずは大切なことのようです。また妊娠するための力を意味する「妊孕性(にんようせい)」は女性のみならず男性にも関わることとのこと。

「日本の性教育は、避妊などに力を入れている反面、妊孕生は学習指導要項にはありません。そのため、35歳を過ぎても正しい知識を得ていない方もいらっしゃいます。しかし日に日に卵子の機能は衰えていくので、高齢出産を望むなら、人生の優先順位の1位を今すぐ『妊娠』に変えて欲しいと思っています。
また、妊娠に関することは女性の問題だと考える男性もいらっしゃいます。妊娠は男性にも大きく関わること。妊娠を望むなら夫婦で協力して、妊娠や出産に備えることが大切です」(朝澤先生)

高齢出産を望む方は多いですが、高齢だからこそかかる費用もあることがわかりました。35歳を過ぎて子どもを望む場合には、ぜひ参考にしてみてはいかがでしょうか。

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