後押しが欲しくて引いたはずのおみくじが凶だった!
「もう次で最後の治療にしよう」そう心に決めてクリニックに通院していた時期のこと。
その日は妹が妊娠し戌の日を迎えるため、安産祈願で有名なお寺に一緒にお参りに行きました。心配かけたり気を遣わせることが嫌で、家族には治療のことを黙っていた私。
妹の安産祈願だけをするつもりが、本堂の裏手にある『子授け地蔵』を見つけた途端いてもたってもいれなくなり、こっそりとお参りをしました。その時におみくじの箱を発見。不妊治療を始めてからはあえて避けていたおみくじでしたが、なぜかその時は引いてしまったのです。
凶でした。しかも、結果が出なくてもそこから学ぶべきことがある……。というような内容。「もう今度の治療に望みはないのか」と目の前が真っ暗になり、膝から崩れ落ちました。しばらく呆然としていましたが。せっかくのおめでたい日に水を差すことはできないと必死に何事もなかったかのように振舞いました。
誰にも打ち明けられなかった私が取った行動とは
最後の治療だと決めて、それに合わせてできる限りのことを片っ端からしてきた私。
もう晴れやかな覚悟の気持ちしかないと思っていたのですが、凶のおみくじを引いたことで、ずっと蓋をして見ないようにしてきた恐れや不安が一気に襲ってきました。1人になると涙が溢れて止まらなかったことを覚えています。
家族、夫、友人、誰にも本当の気持ちを打ち開けられなかった私は、某ネット掲示板に相談することにしたのです。その掲示板を利用するのは初めて。それ以前にチラッと読んだ時に中には辛辣なコメントも書いてあり、自分にも厳しいコメントが来るかもと不安がよぎりました。しかし、それよりも何か少しでも救いが欲しい思いの方が強かったのでしょう。藁をも掴む気持ちで投稿しました。
掲示板に届いたたくさんの励ましの言葉
私の投稿にはたくさんのコメントがつきました。どのコメントも見ず知らずの私を優しく励ましてくれるものでした。その中の一つのコメントに
「あなたは素敵なお母さんになります。」
「幸せなママになります。」
とありました。それを見た時、涙が溢れました。それまでの哀しみの涙とは違ったものでした。それから私はその言葉を何度も何度も読み返しました。「そうだ、私は素敵なお母さんになるんだ」と決めました。
そして私は本当にお母さんになりました。
呪いの言葉からの呪縛
実は、私は妊活を始める前にある占い師の方に「あなたは子どもを持たない運命だ」と言われたんです。子どもが欲しかった私は絶望……。
私はしばらくの間その言葉に囚われていました。妊活がうまくいかない理由にして、その呪いの言葉を脳内で復唱していたんです。それがおみくじで凶を引いたことで、ネット掲示板に相談。そこで呪縛を解くための魔法の言葉と出会ったのです。
私を縛りつけていた呪縛からようやく解放された時、私は「運命?そんなん知らん! とにかく私は子どもが欲しいんだ!」と心の中で叫んでいました。いろんな思いを断ち切った私は清々しい気持ちで治療に臨むことができたのです。
占いやおみくじはエンタメ的に楽しんだり、アドバイスとして受け入れることはいいと思います。ただ自分の人生を委ねてしまうものではないと強く思った出来事でした。