「訴える!」「犯罪だ!」意図しない写り込みでも訴えられるの?そんな時の対処法を弁護士さんに聞いてみた

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www.photo-ac.com

2023.04.01

まだまだ油断できないとはいえ、マスク生活も終わりを告げ、いよいよコロナ前の生活にゆっくりと戻っていけそうな春。お祭りやイベントも再開され、やっとお出かけの計画も進められそうです。ところが、観光地の写真をめぐるSNSでのトラブルが増えているのをご存知でしょうか? SNSでの写真公開で気を付けたいことを、弁護士の佐野英史さんにお聞きしました。

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お話しを伺ったのは、弁護士の佐野英史さん

佐野さん出典:xn--3kqu8hjf958bcjdkxv7na.jpLINEで気軽に相談できる!弁護士佐野英史さん。
クイックレスポンスで課題の本質をしっかり捉え、
噛み砕いてわかりやすく教えてくださいます。

東大寺学園、京都大学出身。
検察官として正義を追及する父の背中を見て、小学校のころから法律の道を志す。
京都大学で飛び級し、司法試験に現役合格。父と同じ街で弁護士として活躍中。
趣味は銭湯めぐり、バックパッカー、お菓子作り。
HP:https://xn--3kqu8hjf958bcjdkxv7na.jp/

名誉棄損罪に問われる場合も

隠し撮り出典:www.photo-ac.com男女カップルの写真に「不倫」などを連想させるキャプションを付けると
名誉棄損罪、侮辱罪などに触れる可能性がある。

ーーSNSの写真トラブルで、法律上で罰せられる可能性はありますか?

佐野さん:肖像権、プライバシー権の侵害に対する罰則はありませんが、投稿の内容によっては侮辱罪や名誉棄損罪が成立することがあります。例えば、男女がカップルのように見える写真に「●●さん不倫www」といったキャプションをつけて投稿すれば、名誉棄損罪が成立する可能性があります。また、「ブス」「バカ」などといった人を傷つけるような言葉のキャプションがあれば、侮辱罪が成立する可能性もあります。それと同時に、肖像権やプライバシー侵害とあわせて慰謝料など損害賠償を請求される可能性もあります。

テーマパークでの後ろ姿でも肖像権侵害?

夜間パレード出典:www.photo-ac.com

佐野さんに「観光地などでの写真の写り込み」事例についてお話を伺いました。

◆相談◆
テーマパークのパレードの写真をSNSで公開していたところ「私の後ろ姿が写っている。すぐに削除するように。」と、面識のない人からDMが来ました。こちらを向いている人たちの顔はスタンプで隠していましたし、群衆の中の後ろ姿は本人しかわからないのでは?と思うのですが…。

◆回答◆
佐野さん:後ろ姿など個人の特定されない写真は、肖像権の侵害にはあたりません。また、テーマパークにはたくさんの人がいますので、不特定多数の人に顔を見られても仕方ありません。ですので、写真撮影が肖像権の侵害にあたることはまずないと考えられます。一方、最近のスマホのカメラはとても高性能で、SNSにアップした写真の細部も簡単に拡大できてしまいます。隅のほうで小さく写っている人でも、拡大すれば顔がはっきり見えてしまうこともあります。これが直ちに肖像権を侵害するかというと微妙なところですが、細かいところも念のためにモザイクをかけておくと安心です。

フォト出典:www.photo-ac.com人ごみでの写真が肖像権侵害になる例は少ないようですが、
「今、ここにいるはずではない人」が写っていた場合は要注意!

但し、プライバシー侵害等については、例えば見る人が見れば後ろ姿だけでも本人が容易に特定できるような特徴があったり、不倫旅行や仮病でさぼっていたことが、家族や会社にバレてしまうなど…自分がその場にいたことが知られたくない理由がある場合は少し事情が異なるかもしれません。とはいえ、そのような事情は、今回の事例のようにたまたま居合わせただけの場合では知りようもないため、法的な責任を負うことはまずないでしょう。

「訴える!」「犯罪だ!」と言われたら…

サンプルイメージ出典:www.photo-ac.comもしも「訴える!」などの法的措置を踏まえたコメントが付いたらどうする?

ーー雑踏の中での写り込み写真では、肖像権やプライバシー権の侵害には繋がりにくいことは理解できましたが、SNSでは「訴えます」というようなコメントを実際に見たことがあります。そのような場合はどのように対処すればよいのでしょうか?

佐野さん:即、裁判……となる可能性は低いでしょう。時には執拗に怒りをぶつけられることがあるかもしれませんが、相手が「弁護士に相談したら●●と言っていた」「弁護士に依頼した」といっている程度なら、それほど慌てる必要はありません。
たとえSNS上で「訴える」「犯罪だ」などと迫り、金銭を要求するコメントやDMが来ても、慌てて相手の要求に応じるのではなく、まずは専門家への相談をおすすめします。仮にこちらの言い分が正しいとしても、相手に怒るチャンスを与えないように気をつけてください。謝罪や写真の削除など誠実に対応し、こじらせないことが大事です。

弁護士出典:www.photo-ac.com激高したコメントに感情を揺さぶられず、冷静に対応することが大切。

しかし、もしも相手の弁護士から連絡が来るようなことがあれば、こちらも覚悟を決めて対応する必要があります。相手が弁護士にそれなりの金額を支払って「争う覚悟を決めた」ことを意味するためです。
また、弁護士から連絡が無い場合でも、裁判所から直接書類が届く場合もあります。もしも、この段階まで進んでしまうようなことがあれば、速やかに専門家へ相談するべきです。例え費用の問題で弁護士への依頼はしないとしても、このような状況になった場合は、まずは市区町村の無料相談や法テラスなどで一度相談を受けることを強くおすすめします。

画像加工アプリの活用を!

携帯アプリ出典:www.ac-illust.com後ろ姿や個人が特定できない写真でも、念のために画像加工アプリの活用を!

佐野さんのお話にもあるように、観光地での他人の写真への写り込みは、スタンプやぼかしなどの加工を施すことで、特定できないようにするのも1つの手段です。写真を表示して指でなぞるだけでカンタンに顔部分をぼかすことができるので、テーマパークなどでの楽しい思い出をSNSで公開したい場合は手に入れておくといいですね。
Android:https://play.google.com/store/apps/details?id=jp.co.pointblur.android.app.quick
iphone: https://apps.apple.com/jp/app/id964220645 

強い言葉に対しても冷静な対応で

手のひら大切出典:www.photo-ac.com

ネットではつい気が立つと強い言葉で相手を非難しがちですが、そんな言葉を浴びせられた時に心がけることは「冷静に」振舞うことのみ。まずは写真を削除して丁寧に謝罪する…という初動が大切です。
間違っても「これくらい大丈夫」「みんなやっていること」などと相手に言ってしまわないように…相手が「怒るチャンス」を与えてしまわないように、慎重に発言しましょう。

訴訟に持ち込まれてしまうことは少ない事例のようですが、念のため他人の画像はアプリでぼかしやモザイクを入れて「個人が特定できない状態」にするのがマナー。少しの心がけで、ひとりひとりの個人情報やマナーを守ることができます。

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著者

みやむらけいこ

みやむらけいこ

ライター歴20年。「あなたに逢いに行きます」取材ではなく出会い、インタビューではなく会話。わかりやすい言葉で丁寧に「ひと」を伝えます。好きなものは、サーフィンと歌舞伎、主食はチョコレート。#人生はチョコレート

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