昔習った学習法ではペラペラにはなれない
40代の私たちが学生の頃習った英語学習法を思い出してみて下さい。文法や読み書きが中心、分厚い辞書を片手にわからない単語をその都度調べ、単語の下に日本語を書きながら、頭の中で必死に英語⇄日本語の変換をしていませんでしたか? この方法では読み書きが上達してもなかなか話せるようになりません。英語を独学で話せるようになりたいというあなたにお勧めしたい学習法がシャドーイングです。
シャドーイングとは?
シャドーイングは、英語を聞いて、それを影のように真似して復唱する英語学習方法です。私たちが昔学校で習ったように先生が文章を読み、”Repeat after me"と言った後にリピートするのではなく、英語を聴きながらすぐ後を追いかけてそのまま真似て発音します。
なぜシャドーイングが効果的なのか?
ものまねが得意な人は、歌や英語の発音が上手です。シャドーイングでは、聴きながら発音することを同時に行うことでリスニング力がつき、ネイティブのような自然なイントネーション、リズム、アクセントで発音できるようになります。
また、スピーチなどのシャドーイングを行うことで、堂々として人に伝わりやすい話し方ができるようになり、スピーキング力がつきます。最終的にトランスクリプトを見てわからない単語をチェックすれば、語彙力の強化にも繋がるでしょう。
シャドーイングのやり方
ニュースなどを見ながらシャドーイングをそのままやってもいいですが、次のようなステップで行うとより効果的です。
- スクリプト(台本)付きのニュースやスピーチの英語素材を準備します。
- まず最初はスクリプトを見ずにシャドーイングを行います。発音できているところ、できていないところを明確にするため、自分の声を録音します。
- 録音を聞き直し、発音できた部分、できていない部分を確認します。発音だけでなく、オリジナルの音声と比べて声の大きさやアクセント、イントネーションの違いなども比べてみましょう。
- スクリプトを見て、細かい部分をチェックします。わからない単語や聞き取れなかった単語があれば調べてわからない部分がないように明確にしておき、次のシャドーイングに備えます。
- もう一度シャドーイングを行い、自分の声を録音します。
- 録音を聞き直し、一回めと比べてみます。
シャドーイングにおすすめの素材は?
英語上級者であれば、さまざまなジャンルのシャドーイングに挑戦するのもいいかもしれませんが、英語初級者がいきなり難しい素材のシャドーイングに挑戦してもついていけません。
また、基本的なことがわかる前にドラマや映画などのスラングやカジュアルな表現が多い素材を選ぶのはあまりお勧めできません。正しい英語が使われているニュースや(著者はカナダのCBC、イギリスのBBC、アメリカのABCニュース、日本のNHKなどを使っていました)、TEDなどのスピーチがお勧めです。
CNN English Expressという英語教材があるのですが、これは内容が多岐に渡っている上に、ゆっくりスピードと普通スピードの音声がある記事もあるので、初心者はまずゆっくりスピードのシャドーイングから始めてみるといいかもしれません。日本語で馴染みがある内容だと英語も聞き取りやすいので、そのような素材が見つかればチャレンジしてみるといいでしょう。
いかがでしたか?
筆者は小さい頃から海外に憧れて、小学生の頃からセサミストリートを見たり、ラジオ講座を聞いたりしていました。歯科医師になった後も英語の夢を諦めきれず、カナダで通訳翻訳のコースを受講。そこで初めてシャドーイングに出会いました。目から鱗の勉強法で、最初は難しく感じましたが、何度も繰り返すうちに英語の力がかなりついたと思います。その結果歯科医師をしながら通訳、翻訳の仕事にも携わることができました。
シャドーイングを練習すると、全体の意味を把握できるだけでなく、今まで誤魔化してきたわからない単語や冠詞や前置詞などの細かい部分にも気を遣わなければいけません。不思議なことに、一度自然なスピードで完璧なシャドーイングができると、次に同じ表現が出てきたときにすんなり聞き取れるようになります。
今ではインターネットも発達して、昔と比べものにならないほどの英語勉強ツールが手に入るようになりました。スクリプトが手に入るものもたくさんありますので、まずは自分の興味のある分野から、シャドーイングに取り組んでみてはいかがでしょうか?