教えてくれたのは……岩野上 幸生(いわのうえ こうせい)さん
東京で飲食店を複数手がける人気料理人。YouTubeチャンネルの「飲食店独立学校 /こうせい校長」では、さまざまな料理のテクニック、役立つ情報を発信。著書に『プロのコツでいつものごはんが100倍おいしくなるレシピ』(KADOKAWA)。
「絵本に出てくる目玉焼き」の作り方
ふだんから、何気なく作って食べている目玉焼き。「今さら、目玉焼きの作り方……?」という声が聞こえてきそうですが、ノンノンノン。
プロの料理人のこうせいさん直伝の下処理をすることによって、見た目も味も格段に違う目玉焼きになるんです。それはまるで、絵本に出てくるような理想の目玉焼き。
まずは、処理していない目玉焼きも作って比較してみましょう!
処理していない目玉焼き
まず、卵は室温に戻すと、黄身がダレてべちゃっと広がりやすくなり、色も薄くなります。
左が冷蔵庫から出したばかりの卵、右が室温に戻した卵です。
目玉焼きを作るときは、冷蔵庫から出したばかりの卵を使う方が、ふっくらして、卵黄の色もキレイに仕上がります。処理していない卵焼きは、室温に戻した卵を高い場所から、直接フライパンに割り入れます。
卵黄のタンパク質は「卵黄球」よばれる細胞に覆われていますが、卵黄球は衝撃に弱く、壊れやすい性質を持っています。
ですので、高いところから割り入れるなど、強い衝撃を与えて卵黄球を壊してしまうと、加熱したときにタンパク質同士が結びつき、黄身がべちゃっとしてゴムのように固くなってしまいます。
フタをして蒸し焼きにしましたが、明らかに、失敗した目玉焼きといった感じです。
黄身が崩れなくても、常温に戻した卵をそのまま割り入れると、形がいびつになります。
次に、処理した目玉焼きを作っていきます。
処理した目玉焼き
1.卵を割る
冷蔵庫から出したばかりの卵を、穴付きお玉、またはザルの上で割ります。このように、水っぽい卵白を切ることで、きれいに焼きあがります。
2.白身と黄身を分ける
卵をボウルに移してから、手で卵黄をすくい、別の器に分けておきます。
3.白身を焼く
フライパンに油を引き、キッチンペーパーでうすくのばします。弱火にかけ、卵白を優しく入れます。
卵白の形が崩れないよう、フライパンはあまり動かさないようにします。
4.黄身を白身にのせ、蒸し焼きにする
卵白にある程度火が通って、形が定まったら、上に卵黄をのせます。
卵白の上で卵黄が滑りやすいので、卵黄が固定されるまで、油をぬったスプーンで押さえておきます。
黄身を固めに仕上げたい場合は、さし水をしてからフタをして、蒸し焼きにしますが、今回は半熟にしたいので、さし水はせずにフタをします。
黄身の固さは、お好みで調整してください。
これで完成です!
絵本に出てきそうな、形も色もキレイな目玉焼きができました! 目玉焼きはシンプルな料理ですが、丁寧に下処理することで、仕上がりがこんなに違ってくるんですね。皆さんも、ぜひお試しください!