教えてくれたのは……藤井崇博(ふじいたかひろ)先生
医学博士、循環器内科専門医。
専門領域は循環器内科で、2021年までの約10年間大学病院、関連病院で臨床、研究、教育に従事。
最近では循環器疾患含む内科外来の他にも、SNSやその他コラムなどでの健康に有益な情報の発信にも力を入れている。
「ブルーベリー」を食べることで得られるメリット
健康や美容のために、食生活にフルーツを積極的に取り入れている方も多いと思います。
フルーツの中でも夏に旬を迎える「ブルーベリー」は、食べるとどのようなメリットがあるのでしょうか?
藤井先生「一般に、ブルーベリーを含むベリー類は、ミネラル、ビタミン、脂肪酸、食物繊維などの栄養価の高い化合物に加え、フェノール化合物や有機酸などの生理活性化合物(生命活動や生理機能の維持および調節にかかわる化学物質)の含有量が高いことが特徴です。
そのため心血管疾患、癌、アルツハイマー病に対する予防効果があると報告されています。」
ブルーベリーの食べ過ぎはNG!知っておきたいデメリットとは
健康効果を期待して「たくさん食べよう!」と思うかもしれませんが、藤井先生によると「食べ過ぎることでリスクを抱えることもある」とのこと。
妊娠中(特に妊娠後期である28-41週において)の女性は、とりわけ食べ過ぎには注意が必要なのだそうです。
藤井先生「ブルーベリーは、食べ過ぎることで便秘を起こすことがあります。
その原因として挙げられるのがブルーベリーに含まれる不溶性食物繊維です。不溶性食物繊維は、適量であれば便通改善効果があるのですが、摂り過ぎると便の体積が増えすぎてしまうため、逆に便秘を招くこともあります。
また、ブルーベリーに含まれているポリフェノールの一種であるアントシアニンを多く摂取すると、お腹の赤ちゃんが胎児動脈管早期収縮という病気をおこす可能性があります。胎児動脈管早期収縮により胎児の心不全、肺高血圧症を引き起こす可能性があるのです。
もし胎児動脈管早期収縮と診断された場合には、赤ちゃんの発育を考慮しながら早期に帝王切開など手術で赤ちゃんを早く取り出す必要があります。」
知らずに取り返しのつかないことにならないように、日ごろから食品についてよく知っておくことが大切なのですね。
理想的な摂取の目安量は
では、1日どれくらいの量を摂取するのが理想的なのでしょうか?
藤井先生「農林水産省のガイドラインでは、1日のフルーツの摂取目安量は200gとされています。
そのため、ブルーベリー単体で食べた場合の1日の上限量は200gです。ただ、ブルーベリー1粒で約2gなので、200gとなると100粒となります。実際にはなかなか食べられない量なので、特に意識する必要はないかもしれません。
1日の中で他のフルーツも摂取する場合は果糖の摂り過ぎになる可能性があるので、ブルーベリーは1粒2gということを頭に入れておき、他のフルーツと合わせて1日200gを超えない範囲で食べるとよいでしょう。」
適量を食べることで、うれしい健康効果が期待できる「ブルーベリー」。特に妊娠後期には過剰な摂取を控え、食生活の中に上手に取り入れてみてはいかがでしょうか。
参考:
Katharina Miller et al.Bioactive Compounds of Strawberry and Blueberry
and Their Potential Health Effects Based on Human Intervention Studies:
A Brief Overview。 Nutrients. 2019 Jul 2;11(7):1510.