教えてくれたのは……板倉弘重先生、浅野まみこ先生
医学博士 板倉弘重先生
芝浦スリーワンクリニック名誉院長、医学博士。国立健康・栄養研究所名誉所員。東京大学医学部卒業。東京大学医学部第三内科講師を経て茨城キリスト教大学生活科学部食物健康科学科教授に就任。退職後、品川イーストワンメディカルクリニック院長等を歴任。テレビなどメディア出演多数。著書に『ズボラでも血糖値がみるみる下がる57の方法』(アスコム)など多数。
管理栄養士、健康運動指導士 浅野まみこ先生
食と健康のコンサルティング会社・(株)エビータ代表。総合病院、女性クリニック、企業カウンセリングにて1万8000件以上の栄養相談を実施してきた経験を生かし、企業のコンサルティング、食育活動やレシピ開発をはじめ、講演、栄養指導など多方面で活躍中。
『ズボラでも脱糖尿病 血糖値 上がらないのはどっち?』(アスコム刊)
著者:板倉弘重、浅野まみこ
定価:1,320円(税込)
糖質を意識するなら「ロースかつ」「一口ひれかつ」「野菜巻きかつ」どれを選ぶ?
健康やダイエットを意識していると、カロリーも糖質も高い揚げものを我慢することが多いのではないでしょうか。とはいえ、どうしても食べたくなるときもありますよね。
板倉先生、浅野先生によると、「同じ揚げものでも、メニューの選び方次第では糖質の量を減らすことが可能」なのだそうです。
ここでクイズです。
「ロースかつ」「一口ひれかつ」「野菜巻きかつ」、この中で血糖値を上げにくいメニューは、どれだと思いますか?
1「ロースかつ」
2「一口ひれかつ」
3「野菜巻きかつ」
正解は……?
血糖値を上げにくいのは「ロースかつ」です!
正解のカギになるのは、「衣の量」。揚げものの衣に使うパン粉や小麦粉、片栗粉は炭水化物、しかも粒子が細かいので、血糖値の上昇を早めてしまうのだそうですよ。
ロースかつは1枚肉なので、断面の多い一口かつや野菜かつに比べ、衣の量を減らすことができます。
一口かつは肉の量が変わらなかったとしても、小さく切ることで断面が増え、その分、衣の量も増えます。これでは衣に吸収される油脂量も上がってしまいます。
野菜巻きかつは、一見、ヘルシーそうに感じますが、実はそうではありません。
細切りの野菜などをばら肉で巻くと、結果として衣の量が増えます。また野菜は、油の吸収率が高いため、衣と野菜と併せて、吸収する油の量が増えます。体によいものを食べているつもりが、糖質や脂質が一番増える可能性があるのです。直接の血糖値上昇には関係がありませんが、肥満は血糖値悪化の一因ですので、脂質を考えた場合は、ロースよりも脂質の少ないヒレ(100gあたりカロリーの差が179kcal)を選ぶ方がよりよい選択といえます。
揚げものを食べるときには、下記のポイントを押さえておきましょう!
- 主材料が大きくて衣が薄いものを選ぶ。
- 食物繊維は糖の吸収をゆるやかにするので、キャベツのせん切りやグリーンサラダなどを添えて食物繊維を足す。
栄養価は下記のとおりです。
※一般的な商品の数値を目安に計算しています。
◆ロースかつ1皿(150g)あたり
カロリー:326kcal
食物繊維:0.8g
糖質:13.7g
◆一口ひれかつ1皿(200g)あたり
カロリー:498kcal
食物繊維:1.0g
糖質:18.7g
◆野菜巻きかつ1皿(250g)あたり
カロリー:516kcal
食物繊維:2.5g
糖質:21.4g
揚げものの糖質オフのためには「油の質のチェック」も忘れずに
揚げものの糖質を抑えるためには、「油の質のチェック」も重要なポイント。
油は、加熱、酸素、光によって酸化し、酸化した油は体内で血管を傷をつけ、動脈硬化などの生活習慣病を悪化させる一因になり得るとのこと。使い込んだ油は粘性を増し、揚げものの吸油率をあげて脂質量も増加してしまうので、何度も使い込んだ油ではなくフレッシュなもの使うのがベストのようです。
「たまにはサクサクの揚げものを食べたい!」そんなときには、少しでも糖質を抑えられるメニューを選び、楽しみながらヘルシーな食生活を心がけられるとよいですね。